表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
224/230

第107話『Powered By "Gamble"(賭けた力と天性)』 B Part

Forteza(フォルテザ)をやらせはしないッ!』


「──ッ!」


 言わずと知れたロットレン一家の大黒柱。

 大車輪の活躍を見せるローダ・ロットレンがEL・Galesta(エル・ガレスタ)で家族と戦地を(めぐ)る。金色の砂粒を創造に用いて機体の限界を伸ばす圧倒的な飛躍(ひやく)()げた。


 扉の候補者、ローダが無線を通じて敵の少女に()える。

 格闘に精霊の力を()()する妻ルシアと、世界の声を聞き届け自身の力に転換する娘ヒビキの()を借りた三位一体(さんみいったい)


 一方、300年前に生を受けた黒い女神(レヴァーラ)の能力『閃光(エンツォ)』を無断借用しているルヴァエルと彼女の操るRavinGray(ラビィングレイ)


 ルヴァエル、ローダの(創造)を『人類が手に入れてはならぬ()まわしき力』と斬って捨てた筈の者が、金色の砂粒と同質と云える星の(くず)を好きに扱う矛盾(むじゅん)にて相対する。


 頂上決戦を思わすローダ達とルヴァエルの一戦の陰影(いんえい)に堕ちる残された者同士の争い。


 エルミュラ・フィス・スケイルとエレーネの搭乗するRavinGray(ラビィングレイ)

 全高約5m、後ろ脚だけで立てば、12mのEL・Galesta(エル・ガレスタ)とかみ合う機動兵器に、生身の人間三名が相手取る。


「ハァァァッ!」


 不死鳥(フェニックス)の炎を己の(からだ)(きざ)んだリイナ・アルベェラータ、まさしく(ほむら)の化身。

 修道服(シスター)姿の少女(リイナ)尊敬(そんけい)の念を抱くルシアに習った体の燃える体術を振り(かざ)し、全身を(ひね)り炎の渦を(まと)いつつ夜空を舞う。豪快(ごうかい)に2機もの巨大兵器にたったの独りで強襲を仕掛けた。


 先祖伝来であった筈の不死鳥(フェニックス)強奪(ごうだつ)されたエルミュラ。()()の少女に意識を(とら)われた歯軋(はぎ)り。異空間に消え失せた他の二人へ注力を出来ずにいた。

 止むを得ない状況──。視認はおろか反応(センサー)すら(とら)え切れない相手達だ。待ち構えるなど土台(どだい)不可能な話。


 ビィンビィンッ──!


 エレーネとエルミュラ、操縦席(コックピット)内に鳴り響くけたたましき警告(ALERT)()()に互いの(まゆ)(ひそ)めた。やはり無理もない、その警告が示す異常。機体の()()に『侵入者在り』の合図なのだ。


 ズダダッ! ズダダッ!


 エルミュラ、褐色(かっしょく)の肌をピアスが揺らす。最早、()()()()よりも聞き入れたくない自動小銃(レイジメンド)(かな)でる()()()


「チェェェァァッ!!」


 エレーネとて、決して受け入れ(がた)猿叫(えんきょう)。絶叫が彼女の聴覚を()()。何れも回避不能の不条理(ふじょうり)


 発射時の反動を重力制御で喪失(そうしつ)させたLey(レイ)themend(ジメンド)を空間転移の異能を用いて好きに飛ばしていたレイ。


 煙草(たばこ)(くわ)えた笑みを絶やさず、自分だけでなく他人であるガロウ・チュウマも共に異なる空間へ飛ばした異能の覚醒(過大解釈)


 ──外が硬い? だったらさぁ……(なか)はどうなんだ? ふふッ……!


 人同士の意識を疎通(そつう)し合う金色の砂粒を(かい)するまでもなきレイの狙い目。


 レイの撃ち出す銃弾はおろか、炭化タングステン製の剣を(たぎ)らすガロウの示現我狼(じげんがろう)威力(いりょく)すらも、RavinGray(ラビィングレイ)の学習型AIが護り切れる硬さまで硬度を高めた。


 然も操縦席(コックピット)以外の機体内部への侵入。だから決して避けようのない理不尽なのだ。 

 機械の内側でド派手に()()()()レイと二丁の自動小銃達(ダンスパートナー)

 

「斬れんッ!? やったら(だったら)さらに燃やすだけじゃッ!」


 黒い刃、本来の持ち主ローダよりも黒を紅色に染め抜くガロウの()()()


 確かに短い方の剣を借り受けたガロウ。

 剣を振るいながら刀鍛冶(かたなかじ)を同時に決める異端が大太刀に進化をさせた。内側は(もろ)い敵機に過剰(かじょう)な剣を振るい、情け無用で斬り裂いた。 


 ガガッ! ズガンッ! ズガンッ!


 ガロウの剣術とレイの二丁拳銃が好きに暴れ狂ったエルミュラとエレーネの乗るRavinGray(ラビィングレイ)連鎖(れんさ)する誘爆、もう止めようがない。機体を捨てたエレーネとエルミュラ、外へ脱出を図った。


 グッ──!


「や、やりましたよあの三人!」


 兵器を完璧に凌駕(りょうが)した味方の様子に、キーボードを叩く指の豆を巻き込み拳を握ったドゥーウェン。此方側の争いは完遂(かんすい)したに思えた。


()()……気が早いぞ」


 外連味(けれんみ)じみたドゥーウェンでなく、昔馴染(むかしなじ)みの名で注意を(うなが)すサイガン・ロットレン。白髪の老人、とうの昔に(さと)っていた。


 黒猫の姿を()した機動兵器は、Forteza(フォルテザ)への強襲を掛けるための強化服(パワードスーツ)に過ぎない現状を。


 老人の想定は、(またた)く間に具現化を果たす。

 機体から飛び降りた少女エレーネ。長い金色(こんじき)の髪を炎の様に滾らす(揺らす)。細い全身に白布を巻き付けた姿。頭や肩の装飾も炎の獅子を呼びだす者に相応(ふさわ)しき出で立ち。


「クォォォンッ!」


 エレーネ、自由落下しながらその身を反らして人とは思えぬ雄叫(おたけ)び。途端(とたん)に少女の全身が燃え盛り、何と彼女自身が炎の獅子(ライオン)に化けた。

 然も背中に翼を生やし、落下が浮遊に転じる。そしてやはりRavinGray(ラビィングレイ)から脱出した()エルミュラをその背に乗せたのだ。


「なッ!?」

「ふぅ……」


 着ている黒スーツの肩を着崩(きくず)すかに思えたドゥーウェンの瞠目(どうもく)

 想定通りの溜息(ためいき)(こぼ)したサイガン、エレーネが自機を獅子へ転身させたのは彼女自身の異能。依って機体を捨てても体現可能だと読んでいた。


「見よ、あの二人を。やたらと()()()()()()()。エルミュラの神を冒涜(ぼうとく)した術に機体が必要か? 寧ろ(むしろ)これからが本領発揮(ほんりょうはっき)であろうな」


 サイガン、姉妹と(おぼ)しき両者を(しわ)だらけの指で差した。


 シャリィィィンッ!


「リイナ・アルベェラータッ! 我がスケイル家のパルメラが生んだ不死鳥(フェニックス)ッ! この手に堕ちぬのならば、私の裁きを以て()らすのみッ!」


 蒼いサリーの袖口(そでぐち)に重なる腕輪(バンクル)を鳴らして不死鳥リイナを名指ししたエルミュラの怒り。ヒンドゥーの力を引き出し、先祖が成した力を超える宣言を告げた。


 シュバッ! ズダダッ!


「よぅ、()()の姉ちゃん。余所見(よそみ)してっと、その綺麗な眉間(みけん)に風穴が開くぜ、ククッ!」


 エルミュラの妖艶(ようえん)を絵に描いた褐色(かっしょく)色艶(いろつや)を、敢えて時代錯誤(さくご)の否定から入る(あお)りに使ったレイ。


 旧スペイン領(レコンキスタ)()()、レイが自慢の銀髪を散らして、同じ銀髪仲間の可愛い嬢ちゃん。飛ばしたLey(レイ)themend(ジメンド)でリイナを()()に援護する構え。


 けれどもエレーネとて負けてはいない。レイの神出鬼没(しんしゅつきぼつ)な銃弾、エレーネ自らを燃やした(たてがみ)の熱量がそれらを溶解させた。


「ガアァァァァッ!」


 誰もが爆散するかに思えたRavinGray(ラビィングレイ)の片割れ──。


 不死鳥(リイナ)炎の獅子(エレーネ)、そして()(たぎ)る刃。

 やたらと赤い力ばかりが折り重なる最中、破壊に焼け(ただ)れた火が何と、地獄の番犬(ケルベロス)彷彿(ほうふつ)させる遠吠(とおぼ)えを上げた。


おい()に血()流した()は、やっせんかったな(駄目だったな)ッ!」


 エルミュラの降らした血の雨が己の魂にさらなる()を入れた叫び。自身の握る剣を燃やせるガロウ・チュウマの狂乱(きょうらん)。未だ逃げずに(機体)に居るのか?

 燃えて(くず)れ落ちる寸前の巨大兵器を、まるで彼自身が振るい(かざ)す狂気を(はら)ませた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ