第9話 ミヤの意思と怖い人
ミヤのおじいちゃんが気づいた。
「おや、ミヤおかえり。八雲さんも珍しいですね」
「ああ、ちょっとな。お邪魔するよ」
「おや、そちらの方々は?」
黒豹の3人に気づくおじいちゃん。
「本日ミヤさんと一緒に行動させていただいた、冒険者のものです」
豹が丁寧に挨拶をした。
「今日は実戦練習をしたんだね。どうだった?」
おじいちゃんの質問に誰も答えることができず、沈黙が続いた。
「ミヤが倒れた」
八雲が唐突に話した。ギョッとするミヤと黒豹の3人。
(いやいや、この人いきなりストレートに言ったよ)
ミヤが続けて言う。
「ゴブリンがいて、ちょっとだけビビっちゃってさ。でも、怪我とかはないよ?ほんとにちょっとビビっちゃっただけ」
その言葉を聞いておじいちゃんの表情が強張る。
「倒れた?ビビってこけた。と言うことか?」
その質問にミヤは言葉を詰まらせる。
「えっとー…」
ミヤが考えていると、
「すまない、おじいさん。俺がミヤちゃんを冒険に誘ったんだ。特訓してるって言うから、実戦も交えた方がいい経験になるんじゃないかと思って…まあ、後は俺がミヤちゃんにかっこいいところを見せたくて…すまない…」
最後の方はゴニョゴニョ話した虎だが、豹も続けた…
「私たちがミヤさんの事情も知らず、勝手に進んでしまって、トラウマを蘇らせてしまいました。申し訳ありません」
「す、すみません」
黒豹の3人は頭を下げた。
おじいちゃんは3人の話を聞いて、
「お前さんたちはミヤの為を思ってやってくれたんでしょう。ただ、もうやめていただきたい。ミヤは可愛い孫なんじゃ。倒れたなど心臓に悪すぎる」
おじいちゃんが話していると、八雲が口を開いた。
「ミヤ、お主はどうしたいんじゃ?」
ミヤは自分の素直な気持ちを伝えるべきか、おじいちゃんの気持ちを汲むべきか悩んでいた。
「ミヤ、じいさんに素直な気持ちを話してあげた方がいい。気持ちを隠して過ごすのはお互い辛いことじゃ。言いたいことははっきり言いなさい」
優し顔でミヤに声をかけた八雲。ミヤも決心する。
「おじいちゃん、私ね、冒険者になりたい。今回の件で改めて思ったの。私みたいな人を助けれる人になりたい。私みたいな人を減らせる人になりたい。って。でも、今の私じゃ何もできないから、これからも黒豹の皆さんと冒険をしたい。今はまだこんなだけど、いつかみんなを助けれる人間になりたい。だから、冒険をしたい。だめかな?」
ミヤの真剣な目を見て、おじいちゃんはため息をついて答えた。
「ミヤ、冒険者っていうのはいつも危険と隣り合わせだ。命を落とすかもしれない。それはわかっているか?」
「うん」
「はぁ、わかったよ、好きにしなさい」
「ほんと?ありがとう」
ミヤの目には涙が浮かんでいた。
「ただし条件がある。実力がつくまでは近くの森で特訓すること。実力がつかない間は外に出るのは許さない。いいね?」
「うん、わかった。約束する」
「そこは私たちも協力させていただきます」
「そーだな、ミヤちゃんが成長できるように俺たちも手を貸すよ」
「うん」
無事ミヤの冒険者になるという話は終わった。
「さて、ご飯を食べよう。と言いたいところなんだが」
というと、おじいちゃんは八雲の方をポンと叩き、
「八雲さん、少しお話があります。ミヤ、黒豹の皆さん、すこーし外で待っててくれますか?」
と、とても笑顔で話した。
「わし、帰る」
と八雲は席を立って逃げようとしたが、ぎゅーっと肩を握られ、
「どこに行こうとしているんですか?こうやって触れている間はずーっと一緒に移動になりますけど、構いませんかー?」
とだんだん怖い顔になるおじいちゃん。八雲は観念したのか、
「わかった」
と一言。ミヤと黒豹は、怖くなり、
「じゃ、じゃあ、私たち外にいるね」
「そ、そうですね、外にいましょう」
「そうだな、外に逃げ、じゃない、行こう」
「ブンブンブンブン」
そそくさと外に逃げていった。
「さて」
とおじいちゃんが話を切り出す。
「八雲さん、あなただから任せているのに、倒れた?何をやっているんです」
「すまない。まさかそこまでトラウマになっているとは思わなかった」
「まあ、こればっかりは本人が乗り越えるしかないですが、今後どうするつもりですか?」
八雲はおじいちゃんの質問に少し考えて答えた。
「魔法を増やそうかと思っている」
おじいちゃんはその回答に、複雑な表情になった。
「あなたならそういうと思いましたが、そうなってくると、彼とも戦うことになりますよ?」
「そうじゃな。だが、ミヤの夢を聞いてしまったら、その手助けをしたいと思ってしまった。それに冒険者をしていたら、いずれあやつとも戦うことになるじゃろう。その準備はしておかないとな」
「険しい道になってしまいますね…」
「そーじゃな、だが、似てきてしまったな」
八雲は少し嬉しそうに話した。
「似て欲しくありませんよ、そんなところ」
おじいちゃんも嬉しそうではあったが、少し残念そうだった。
八雲とおじいちゃんが話している間、ミヤと黒豹は外で少し話していた。
「おじいちゃんのあんな顔、初めて見た…怖かった…」
「ほんとに怖かったな、ミヤちゃんのおじいちゃん」
「ただならぬ雰囲気でしたね」
「なんか、誰かに、似てた」
「怒った時のお前の母ちゃんか?」
と虎は茶化したが、豹も少し考えていた。
(確かに、どこかで見たことのある顔でした。どこで見たのか思い出せませんが、まあ、気にすることはないですかね)
するとガチャっと玄関が空き、
「お待たせ、ご飯にしよう。皆さんもどうぞ」
「ありがとうございます。お言葉に甘えて」
「食べよー、お腹空いたー」
皆気になることはありながら、そんなことは忘れてご飯を食べるのであった。




