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第54話 アルベルトの憶測

ミヤたちがサンドリザードの討伐に出た頃の魔王城、とある場所

「サンドリザードを5体送り込みました」

「よし、そのまま結果を待つ」

「今回も討伐されますかね」

「討伐されたとしても問題ない。今回はただの実験だ。そしてデータが集められれば良い」

何者かがそういった会話をしていると、

「サンドリザード討伐されました」

と外から報告が入った。

「討伐方法は?」

「数で押したもの、魔法などを駆使して討伐した者、そして最も警戒すべきはやはり騎士団長でした。なんと単騎、そしてサンドドラゴンの攻撃を受け切った後、1撃でした」

その報告を聞いて何か作業をしている。

「よし、では今回のデータを元に物理攻撃に強く、魔法も少し効きにくく改良する。やはり騎士団長の大剣での攻撃が1番危険だな」

そう言って作業している後ろには大量の魔物がいた。しかし通常の魔物ではなく、変異している魔物たちだった。そして中央には3mほどの培養槽があった。その中にいたのは異形の魔物だった。

「こやつが完成し、クライ女王国を落とした暁には、魔王には退いてもらい、私が魔王となる。待っていろ、魔王」

怪しげな計画を練っている者。どうやら魔王の座を狙っているようだった。


討伐を終え、王城へ戻ったミヤたち

「女王様、今回のサンドドラゴンは3体食用として討伐することができました。何とぞ労いの意味も込めて、宴会を開いていただければと思います」

アルベルトが女王へ提案をした。

「アルベルト、まずは討伐の報告だと思うが?」

女王は苦笑いしていた。

「おや、大変失礼いたしました。5体しっかりと討伐いたしました。そして3体は食用とできます」

アルベルトは食用を強調しながら報告をした。

「ミヤが食べたくなっていたな。最初の一口はお主にやろう、存分に味わうといい」

するとミヤは目を輝かしていた。

「いいんですか?やったー」

その姿を見て全員が微笑んでいた。先ほどまで背筋が凍るような集中力を見せていた少女が今はご飯を楽しみにしている。そのギャップに戸惑う者もいたが、これがミヤなのだなとすぐに納得していた。

「宴会の準備は家臣に頼んでおいた。貴様らは一旦体をキレイにし、休んでおれ。よくやった」

騎士団員たちは揃って一礼をし、トルネとカイルも一旦解散した。

「私たちも一旦失礼いたします」

豹がそう言うと、黎明の4人は王城内の部屋へ案内されていった。

「では、私も一旦失礼しますぞ」

アルベルトがそう言って立ち去ろうとすると、女王が引き留めた。

「待てアルベルト、少し聞きたいことがある」

「なんでしょう?」

「いや、その前にトルネとカイルも呼んでくれ、2人にも聞かせたい」

アルベルトは首を傾げていた。トルネとカイルが着替えて戻ってきた。

「すまない、待たせた」

「お待たせいたしました。母上、アルベルトさん」

「いいや、2人とも疲れているのに申し訳ない」

「いやいや、私は騎士団と共に行動していたので、そこまで」

「私のところには結局1体も来なかったので、全く疲れていません」

トルネとアルベルトは女王の隣に来た。

「アルベルトに聞きたいことがあってな。お主たちも気になっているかもしれないと思ってな」

女王はアルベルトに確認したいことがあった。

「アルベルト、ミヤとの手合わせの際、我々には引き分けに見えた。しかしお主はあっさりと負けを認めたな?なぜだ?」

「あ、それは私も気になっていました」

女王とカイルは疑問に思っていたようだった。しかしトルネは少し違っていた。

「アルベルト、私の予想通りなら、構えの話か?」

トルネはアルベルトに質問した。女王とカイルはその質問の意図がいまいちわかっていなかった。

「流石トルネ様、半分正解です」

「半分?」

トルネは不思議に思っていた。

「はい、半分です」

「説明せよ」

女王は前のめりで聞いていた。

「まずトルネ様がおっしゃった構えについてですが、ミヤ殿がどのように構えていたか、覚えていらっしゃいますか?」

するとカイルが剣を取り、同じように構えてみた。

「こう、片手で持って半身。このような姿勢ですか?」

「はい、対して私はこうです」

アルベルトも自分の構えをした。

「さて、カイル様、質問です。両手と片手でどちらの力が強いですか?」

「それはもちろん、両手…あ」

カイルが答えたところで女王もカイルも気づいた。

「そう、両手の方が強いんです。しかしミヤ殿は両手の私とずっと片手で渡り合っていました」

女王とカイルは少しずつ理解してきた。剣術最強言われる男相手にミヤは余力を残して戦っていたのだ。

「なるほど、ミヤさんはまだ余力を残していたと。だからアルベルトさんはすんなり負けを認めたんですね?」

「ええ、半分はそれが理由です。本気で来られていたら、私に楽しむ余裕なんてなかったでしょう。ですが残りの半分は私の憶測にすぎません」

「そこはわかった。あとの半分は何だ?もったいぶらずに話せ」

女王はもう半分が特に気になっていた。

「おそらくですが、ミヤ殿にはもう一段階上があります。いえ、もう何段階もでしょうか。正直言って底が知れません」

「お主にそこまで言わせるのか?」

「はい」

女王は頭を抱えていた。剣術最強の男がここまで言う少女が国に属さず、冒険者として活動している事、そしてもし敵対した場合はどうなってしまうのか、その不安でいっぱいだった。

「エリザ、ミヤさんとは良好な関係を築いておくしかありませんね」

「そうだな、しかし今後の関わり方をどうするべきか決めかねるな…」

女王が考え込んでいるとアルベルトがあることを提案する。

「では女王様、彼に頼ってみてはいかがですかな?」

「彼とは?」

「虎どのですよ。彼の方の勘は素晴らしいですからな」

「アルベルト、国の命運を勘に任せろと?」

「全てという意味ではありませんよ?あくまで個人の意見として聞いてみましょう。彼なら女王様相手でも裏表なく発言するでしょうし」

「確かに、虎さんなら母上相手でも気にせず話してくれますね」

カイルもアルベルトの意見に賛同した。女王は少し考え、トルネの方を見た。

「女王はエリザです。最後に決めるのはあなたですが、私の意見として言うと、虎さんの意見を聞くのはいい案だと思います」

「そうだな、アルベルト、虎を呼んできてくれるか?」

「かしこまりました」

アルベルトは虎を呼びに行った。虎の知らない所で、虎の肩にクライ女王国の未来がかかっていた。

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