第53話 サンドドラゴン討伐
まずはトルネと騎士団員たちが応戦した。隊列を組み魔法と剣で次々と攻撃していった。1人1人の強さはそれほどでもなかったが、組織力で1体ずつ確実に仕留めていった。そして、騎士団長アルベルト。ミヤとの手合わせでは使っていなかった大剣を携えてサンドドラゴンの前に立っていた。
「ははは、こいつはやりがいがありますな。パワーも申し分なし」
笑いながら戦っていた。サンドドラゴンは突進したり、尻尾で攻撃したりしていたが、アルベルトは受け切っていた。サンドドラゴンの攻撃パターンを読み切り、突進のタイミングに合わせて攻撃した。するとサンドドラゴンはひっくり返って身動きが取れなくなっていた。
「さあ、これでゆっくりと狙えますな。ふー」
次の瞬間、アルベルトは大剣を振った。大剣とは思えないほどの速度だった。サンドドラゴンの首は一撃で落ちた。アルベルトはサンドドラゴンに向かって手を合わせた。
「安らかに」
そういうとアルベルトは周りの様子を確認した。豹と鷹も順調に討伐が進んでいた。
「鷹、こちらに誘導してください」
「うん」
鷹はアースウォールで進路を限定し、豹たちが先ほど作った穴に誘導していた。するとサンドドラゴンは急に加速して鷹の方に突っ込んできた。鷹はすぐに盾を構えて受けた。
「むっ」
サンドドラゴンの突進を受け切った鷹は、そのまま魔法を唱えた。
「ウインドサイクロン。飛べ」
するとサンドドラゴンの下に小さな竜巻が発生し、サンドドラゴンを飛ばした。
「豹、あと、お願い」
豹は水魔法を唱えていた。しかし今まで使っていた水魔法とは少し違っていた。
「ウォーターカッター」
すると水刃がサンドドラゴンの方へ飛んでいった。そしてサンドドラゴンの首を落とした。
「さすが」
鷹は豹の魔法に感心していた。それを見ていたアルベルトは不思議に思っていた。
(結局あの大きな穴は何だったんだ?結局使わず終いか?)
アルベルトがそう思っていると、上からサンドドラゴンの頭と胴体が降ってきた。そして水を張っていた大穴に見事に落下した。ザバーンという音と共に、大量の水が大穴から溢れた。この大穴は空に飛ばしたサンドドラゴンを傷つけないようにするためのものだった。
「ははは、そんな使い方か、やりますな」
アルベルトは豹と鷹の戦い方を見て感心していた。
「さて、あとは」
アルベルトはミヤと虎の方に目をやった。ミヤは剣を構えて待っていた。
「虎さん、いつでもいいですよ!」
「了解。さて、新しい魔法はうまくいくかなぁ」
虎はいつになくワクワクした顔をしていた。
「サンダーネット」
するとサンドドラゴンの前に雷の網ができた。サンドドラゴンは虎の魔法に当たり、痺れていた。
「お、うまくいったな。ミヤちゃん、こいつは雷が効きにくいから持って20秒くらいだ。あとは頼んだぜ」
「はい、わかりました」
(みなさん新しい魔法覚えてる。これからがワクワクするなー)
ミヤは豹たちが新しい魔法を使ったことを喜びながらも、サンドドラゴンの首を落とすことに集中した。約5秒間、ミヤは目を瞑った。討伐を終えた騎士団員、トルネ、アルベルト、豹に鷹、そして虎までもがミヤの攻撃に注目していた。ミヤがゆっくり目を開くと、トルネやアルベルト、そして豹たちは寒気がした。そして少し動いたかと思ったら、キンという音が鳴った。
「ふう」
その音はミヤが剣を納めた音だった。しかしサンドドラゴンの首は落ちていなかった。騎士団員たちはまだ切っていないと思っていた。しかしトルネとアルベルトは違っていた。
「凄まじいですな」
アルベルトは背筋が凍った。あまりにも素早い斬撃、自分と戦った時はまだまだ全力ではなかったのだと改めて実感した。そして豹たちも呆気に取られていた。
「まさか数ヶ月でここまでとは」
「これは、ちょっと、すごいね。というか、怖いね」
豹と鷹はミヤの成長が末恐ろしかった。そしてそれを間近で見た虎は、畏怖すらも感じていた。
「はは、ミヤちゃんが敵じゃなくてよかったわ」
そしてミヤが振り返ると、ゆっくりとサンドドラゴンの首が落ちた。
「終わりました」
ミヤは先ほどまでの集中している顔とは打って変わって、ニコッと笑っていた。すると騎士団員たちはワーと声を上げた。アルベルトが全てのサンドドラゴンの討伐を確認し、声を上げた。
「討伐終了!騎士団、手分けしてサンドドラゴンを回収し、城へ帰還しろ」
「おー!」
騎士団員は全員で協力しながら5体のサンドドラゴンを回収していった。騎士団員が回収している間、トルネと黎明は少し休んでいた。
「ミヤさん、またとんでもなく強くなってますね」
「な!剣まで使えるようになって、すごいを通り越して恐ろしいわ」
「うん、ちょっと、怖い」
「剣術はみなさんに少しでも追いつきたくて、おじいちゃんに時間をかけて教えてもらいました。でもおじいちゃん的には50点らしいです…集中までの時間が長すぎると…」
ミヤはしゅんとしていたが、豹たちは違った。
(おじいちゃんは何を求めているんだ?)
と全員が思った。そして、トルネはおじいちゃんが師匠なのかと思っていた。そうこうしているうちに準備が終わり、帰還することになった。
「では帰りますぞ」
アルベルト先導のもと、王城へ帰還した。その道中、ミヤは豹たちと話していた。
「みなさんはこの数ヶ月どんなことしていたんですか?」
「そうですね、石割りに薪割り、あとは魔法の特訓ですかね」
「そーだな、より繊細なコントロールができるようにって思ってな」
「でも、なんだかんだ、石割りと薪割りに、一番時間、かけたかもね」
ミヤは嬉しいような恥ずかしいような気持ちになっていた。
「もー、本当あんなこと王城でしないでくださいよ、恥ずかしい」
みんなで笑っていた。虎はミヤに聞き返した。
「ミヤちゃんは何してたんだ?」
「んっとー、魔法の特訓に体術、剣術、やれることは全部やろうって決めてやりました。まあ、ほとんどが基礎練でしたけど。またお披露目する時がきたら、頑張ります!楽しみにしていてください」
ニコニコするミヤを他所に、豹たちは思った。
(この短期間でどんだけ詰め込んでんだよ。また規格外になったんだろうな)
と。口には出さないが3人とも共通で思っていた。




