第52話 アルベルトの一撃
アルベルトは構え直した。
「ミヤ殿、無理だと思ったら、避けてくださいね。これは対魔物用に習得したものなので」
「え、私魔物扱いですか?」
ミヤはショックを受けていた。その言葉を聞いてアルベルトは笑いながら答えた。
「ははは、今まで出会った魔物の中で1番手強いですよ」
ミヤとアルベルトは楽しそうにしていた。騎士団員は前のめりで見学していた。
「ミヤさんはあの技を受け切りますかね?」
「受け切るにしてもどのように受けますかね?」
騎士団員はいつの間にか2人の手合わせに熱中し、技を吸収しようと見入っていた。
「では、いきますよ」
そう言うとアルベルトは魔法を唱えた。
「ファイヤーソード」
するとアルベルトの剣に火が纏われた。この技はアルベルトが過去、討伐に苦労した魔物に対して決定打となる攻撃が欲しいと思い、習得した技だった。自身の剣に自身の火魔法を纏わせ斬撃と炎の2つを同時にぶつけるものだった。ミヤはその姿を見て称号を思い出していた。
「絶対に受け切ってみせます!」
ミヤも片手の構えでしっかりと受ける準備をした。アルベルトはミヤに向かっていった。そして剣を振った。ミヤの剣とぶつかる瞬間にすごい爆発が起こった。そして砂ぼこりが舞い、2人お姿を隠した。
「どちらが勝った?」
女王は結末が気になっていた。
「さあ、どちらでしょう?」
「どっちだー?」
「どっちだろーねー」
豹たちも目を離さずにいた。
「どうなった?」
「見えないぞ」
騎士団員たちも結末が気になっていた。砂ぼこりが晴れ、2人の姿が見えてきた。すると、2人とも剣が折れていた。その姿を見て周りの騎士団員たちは引き分けだーと盛り上がっていた。しかしアルベルトは違っていた。
「いやぁ、まいった、私の負けですな、あっぱれです。まあ、終始私が劣っておりましたがね。ははは」
「いえ、剣が折れてしまっているので、引き分けですよ、お手合わせありがとうございました」
アルベルトはミヤの言葉に納得していない顔をしていた。
「まあ、そういうことにしておきましょう。明日から私も一緒に特訓しても構いませんかな?」
「え、騎士団長さんもですか?んー、教えれませんからね?」
「構いませんぞ。勝手に盗ませてもらいます」
2人は握手をして手合わせは終了した。女王はアルベルトの不満そうな顔が引っかかっていた。なのでアルベルトを呼ぼうとした。
「アルベルト」
すると家臣が走ってきた。
「女王様、失礼致します。魔物が迫ってきています!」
「種類と数は?」
「サンドドラゴンです。数は5。移動速度はかなり遅いですが、こちらに向かっています」
女王はすぐさまアルベルトに指示を出した。
「アルベルト、騎士団の準備を。豹、お主らにも頼って良いか?」
「はい、お任せください」
「よし、やるか」
「準備しよう」
「私もいきます」
黎明の4人はすぐに準備をした。
「トルネ、そなたもいけるか?」
「いつでもいいですよ」
トルネも討伐の準備をしていた。
「カイル、お主は城門へ迎え、討伐漏れがあった場合は頼むぞ。騎士団員も何名かカイルにつけ」
「お任せください、母上」
「皆の者、準備が出来次第討伐へ向かえ!」
女王の的確な指示で、その場にいた全員が迅速に準備を進め、すぐに出発した。移動中、アルベルトは黎明と討伐方法を相談していた。
「5体いるということなので、担当を分けましょう。騎士団を2つに分けますので、それで計2体。私が1体、黎明のみなさんで2体お願いできますか?」
「わかりました。では、私たちはどのように別れましょうか?」
「あのー、すみません、サンドドラゴンってどんな魔物ですか?」
ミヤは豹からサンドドラゴンの詳細を聞いた。サンドドラゴンはドラゴンという名前はついているが、トカゲであること。砂に潜り攻撃してくること。そしてドラゴンと呼ばれる所以は硬い鱗であるということなどだ。
「ちなみに弱点は水です」
「あとはアルベルトさんみたいに叩っ斬るかだなー」
「あれは例外でしょ」
「んー、どうしましょうかね」
ミヤたちが考えているとアルベルトがミヤにあることを伝えた。
「ミヤ殿、食事がお好きとお聞きしました。あのサンドドラゴンは首を落として討伐するとかなりうまいんです。知っていましたか?」
「え、そうなんですか?」
ミヤの目の色が変わった。
「どうやら首から頭の間に砂の中でも呼吸できる特別な臓器があるようで、そこを傷つけないように倒すと、体の肉がかなりうまいそうですよ。逆に傷つけてしまうと肉が苦くなってしまいます。なので、首を落とす。これが1番なのです」
その説明を聞いてミヤは俄然やる気になっていた。
「豹さん、今回の組み合わせどうしますか?どうやって別れますか?どの組み合わせが1番美味しいお肉を取れますか?」
ミヤの頭の中には、もう美味しいお肉を取ることしかなかった。
「申し訳ないが、騎士団は数で対応するので美味しい肉にはなりません。私の1体とそちらの1体だけでも確保できれば、今晩のご飯は贅沢になりますぞ?」
ミヤはもうやる気満々だった。虎はアルベルトの対応に感心していた。
(アルベルトさん、流石すぎる。いろんなタイプの部下を持ってるから、どうやったらのせれるか把握するのがはえー)
相談の結果、今回は豹と鷹、虎とミヤで対応することになった。
「虎さん、やってやりましょう!首ですよ、首!」
「わかったわかった、了解だ」
「お2人もできるだけお願いしますね!首!」
豹と鷹も頷いていた。
「それでは、参りましょうか」
黎明、騎士団長、騎士団で協力し、サンドドラゴン5体討伐へ向かった。約1名は討伐ではなく、食材確保の感覚で向かっていた。遠目にサンドドラゴンが見え始め、各自準備を始めた。騎士団は陣を組んだ。そして豹と鷹は魔法を使っていた。
「アースホール」
「ウォーターボール」
かなり大きな穴に大量の水を溜めていた。
「これだけあれば落とせますかね?」
「多分大丈夫」
「さて、あとはここに追い込んで落としましょう」
「はぁい」
そして騎士団長はドーンと正面に構えていた。そしてなぜか地面に線をかいていた。
「ここからここまでは入らないように注意しておいてください。お願いします。怪我しますからね」
そしてミヤと虎はまだ相談していた。
「さあ、どうする?」
「どうしましょうか、私たちは水魔法がないですからねぇ」
すると虎があることを思いついた。
「ミヤちゃん、何秒動きを止めたら首を切れる?」
「んー、10秒ですかね」
虎はニヤリと笑って、何かを決断していた。
「よし、OK、どうにかなりそうだ。首は任せるな」
「わかりました」
各自準備が完了し、いよいよ5体のサンドドラゴンと対面した。




