第49話 女王との対面と虎のミス
カイルが走って戻ってきた。
「はぁはぁ、お母様、4名とはどういうことですか?」
「私にもわからん、ダイヤモンドクラブの依頼で来ると聞いていたが…」
そう言いながら、女王はギルドマスターの手紙をもう1度確認した。そして、あることに気がついた。
「…梅のやつ、私が勘違いするとわかっていてこの書き方にしよったな。おかしいと思ったんだ」
「どうした?」
トルネは不思議そうに女王に聞いた。すると女王はギルドマスターからの手紙をトルネに渡した。
「ダイヤモンドクラブを討伐したこと、そしてその達成報告…何かおかしいかい?」
「よく読んでみろ。梅は依頼達成の報告とは書いているが、ダイヤモンドクラブの討伐依頼とは書いておらん。わざわざ最初にダイヤモンドクラブのことを書き、その後に依頼達成と記載しておる。これは絶対にわざとだ。こちらが間違えて受け取ることをわかって書いておる。全く厄介な女じゃ」
女王は頭を抱えていた。トルネも苦笑いをしていた。しかしカイルは全く違う反応だった。
「では、もうミヤさんに会うことができるんですね?楽しみです!手合わせしてもらえますかね?」
その言葉を聞いて、女王は頭を抱えた。いつから息子はこんなに戦うことが好きになったんだろうと。
「黎明の方々が到着いたしました」
女王はふぅと一息ついてから
「入れ!」
と言った。扉が開き黎明が立っていた。しかしどう見ても3人の姿しか見えなかった。
「おい、お前たち、4人ではなかったのか?」
女王の問いかけに豹が答えた。
「えっとー、4名おります…ここに」
と豹は鷹の後ろを指差した。よく見ると鷹の後ろにミヤが隠れていた。少しずつ鷹の後ろから出てきたミヤ。ガチガチに緊張していた。それを見た女王とトルネ、カイルは共通の考えが浮かんでいた。
(この少女がミヤ?)
「女王様、依頼達成の報告に来たぜー」
虎がいつも通り話していると、
「虎さん、女王様に失礼ですよ、不敬罪とかになっちゃいますってー」
ミヤが小声で虎に注意をした。今だに信じれずにいた女王は、豹たち3人に確認した。
「お前たち、その者が本当にミヤなのか?」
すると虎は笑いながら言った。
「もうこのやりとり面倒だから、論より証拠だな。ミヤちゃん、あの3人鑑定してみ」
ミヤは戸惑っていた。
「いやいや、女王様と旦那様と息子さんですよ!?ダメですって」
ミヤはまだまだ小声だった。
「じゃあ、名前と称号、あとはレベルくらいか?秘密はやめとけ、知っちゃまずいこと知ったら面倒だから」
「だから嫌なんですよー」
ミヤはなんとか虎を止めようとしたが、女王もそれに同意した。
「良い、名前、称号、レベルくらいなら構わんぞ。では1つ確かめる方法として、トルネの以前の職業を当ててみよ」
ミヤは驚いていた。少し迷った後、実行することにした。
「では、失礼します…鑑定」
鑑定結果(使用者の意思により任意の情報のみ表示します)
エリゼ・クライ 第5代女王(女性として初の王) レベル:93 称号:初の女王 豪快な女帝
トルネ・クライ エリゼの旦那 レベル:95 称号:女王の守り手 女王の剣 結婚以前はガンロックと同じパーティーに所属していた
カイル・クライ クライ家の王子 レベル:40 称号:クライ女王国王子 黎明の弟子
「えっと、トルネさんはガンロックさんと同じパーティーにいたと出ました…はい」
女王たち3人は驚いた。
「はは、本当にこの少女が鑑定の娘さんなのか。すまないな、見た目で判断してしまって」
「私も申し訳ありません」
「僕も、申し訳ありません」
「いえいえ、冒険者ギルドでは追い出されそうになりましたから、それに比べたら全然…」
ミヤは思い出して少しショックを受けていた。
「あと、すみません、私こういった場所に全くなれていないので、おそらく失礼があると思います。どうか不敬罪だけは勘弁していただければと思います」
ミヤは恐る恐る切り出したが、女王は笑いながら答えた。
「ミヤよ、虎の先ほどの物言いを見たであろう?何も問題ないぞ。そのようなことで不敬罪など言わぬ」
女王はミヤの不安を取り除こうと説明した。
「そそ、これで不敬罪なら、俺はもう死刑だよ。はは」
虎も和まそうとしたがミヤはまだ硬かった。そして虎はワーク王の時と同じように話をした。
「よし、女王様、飯ないか?」
女王は虎のその言葉を聞いて、先ほどの自分の判断が素晴らしかったと自画自賛していた。そして家臣の方を見ると、家臣は拍手をしていた。女王は嬉しそうに言った。
「もちろん準備しているぞ!自信のある料理を振る舞おう」
そういうと家臣たちは準備を始めた。あっという間に豪華な食事が並んだ。
「さ、ミヤちゃん、とりあえず食べようぜ」
虎のその様子を見た豹と鷹は流石だなぁと感心していた。
「じゃんじゃん食べなさい。お代わりもあるぞ」
ミヤはまだ緊張していたが、どれから食べようか考えていた。
「あの、女王様、どれが1番お好きですか?」
ミヤの質問が嬉しかった女王は、笑顔で答えた。
「私はその肉が好きだ。しっかりとした弾力があるのに、噛むと蕩けるんだ、少しでも良いから食べてみてくれ」
ミヤは女王に勧められた肉を食べた。予想以上に美味しい肉に、ミヤは感動した。
「お、美味しい」
ミヤはそのお肉にかぶりついた。勢いよく食べ進めるミヤを見て女王たちはほっこりしていた。しかしそこで虎が余計な一言を言ってしまった。
「やっぱりミヤちゃんは食事してからじゃねーと始まらないな」
豹と鷹は、あ。と思ったが遅かった。虎に目掛けてフォークが飛んでいった。
「あぶねー。ミヤちゃん!?」
ミヤはすごい顔をしていた。
「向こうでもそうでしたけど、虎さん、失礼です」
ミヤはナイフを持って虎の方へ迫って行った。虎はやってしまったーと思いながら必死に謝った。そのやりとりを見て女王は大笑い、トルネとカイルはクスクスと笑い、豹と鷹は呆れていた。少し虎を追いかけ回していたミヤ。家臣たちは王城でこんな賑やかな食事会を経験したことがなく戸惑っていた。
「ミヤさん、落ち着いてください、虎、もう一度しっかり謝りなさい」
豹の言葉を聞いて冷静になったミヤ。そしてしっかりと土下座をする虎。女王は笑いすぎて涙まで流していた。
「さあ、食事を続けよう」
女王の一言で2人とも席についた。




