第48話 黎明の4人
魔王城、とある場所
「 様、ダイヤモンドクラブが討伐されてしまいました」
「なに!?誰にだ?」
「人間の冒険者のようです。うまく連携されたようです」
「くそ、クライ女王国の周辺に誘き寄せ、人間にも魔王にもダメージを与えようと計画していたのに…ゴブリンジェネラルに続いて今回も失敗とは…くそっ」
「どうなさいますか?」
「今これ以上動くと魔王に悟られるかもしれん、一旦体制を立て直す。練り直しだ」
どうやら魔王城の内部に反魔王を抱えるものもいるようだった。
そしてミヤを送り届けた後のおじいちゃんと八雲はというと、一旦おじいちゃんの家に帰っていた。
「さて、ミヤは彼らと新しい依頼を受けに行ってしまいましたし、どうしましょうか」
「一旦家の周りの掃除でもするか。ミヤがだいぶ壊してくれたからの」
「いやいや、これは私たちにも責任がありますよ」
「そーじゃのー、ミヤの成長が嬉しくて色々教えてしまった結果じゃからなぁ」
2人は話しながら玄関を出た。外の光景はかなり様変わりしていた。山はえぐれ、周辺の森は焦げ、川の水は干上がっていた。
「はぁ、こんな景色他の人が見たら大騒ぎですよ。おそらく次この規模でやったら、魔族が来ますよ」
「それは避けねばならんなぁ。では、証拠隠滅ということで」
そう言うと八雲は手を前に出した。
「元に戻れ」
そう言うと山も、森も、川も元通りになった。
「よし、完了」
「八雲さん、やっぱり以上ですよ。あなたは」
「なんでじゃ?普通じゃろ?」
「いや、普通じゃありません!」
相変わらず理解不能な行動をする八雲であった。おじいちゃんも半分くらい諦めた様子だった。
「はあ、では紅茶でも入れましょうかね?」
「そうじゃな、頼む。あとは3人が望んだ場合の特訓も考えとこうかの」
「そんなことになりますかねぇ?」
「ふふふ、あやつら意外と見込みがあるぞ」
2人はその後紅茶を飲みながら豹たちにやらせる特訓を考えた。
クライ女王国、王城周辺
「ミヤちゃん、諦めろってー」
「うん、ここに行かないと、依頼達成に、ならない」
「そうです、行くしかありません」
3人はミヤを説得中だった。
「だってー、王様の次は女王様って…無理ですよ、不敬罪で死刑になりますってー」
「いやいや、本当に大丈夫だから、信じてくれって」
ミヤは自分が礼儀などを全く知らないということを理解してきたため、どうしてもえらい人の前に行くことに抵抗があった。ギルドマスターにはある程度免疫がついたが、国王、ましてや隣国の女王様となると余計嫌になった。その様子を見た虎が豹にこそっと話しかけた。
「豹、これはもう報酬でつるしかねーよ」
「いやいや、報酬を聞いただけで行きますか?こんなに嫌がってますよ?」
「兄ちゃん、でもミヤは本当にご飯が大好きだからいけるんじゃないかな?」
3人は報酬の女王、そしてギルドマスターとの食事という内容の、食事の部分を強調伝えてみることにした。
「ミヤさん、今回の依頼内容は、挨拶と食事です。食事。費用も何もかからない食事です」
(こんなことでうまく行くわけないでしょ)
「王城での食事ですか?」
「そ、食事して話すだけ。それ以外はないよ」
「ワーク国の、食事と、また違った料理で、美味しいよ」
「んー…」
虎と鷹はここしかないと思い、豹の方を向いて畳み掛けろ!という顔をした。
「えっと、ミヤさん、今回はデザートでも追加してもらいますか?」
(こんな感じでいいのか?)
するとミヤは悩むことなく、
「プリンで」
と目を輝かしていた。豹たちはミヤの気持ちが変わらない間に行こうと、王城へ急いだ。王城では家臣が女王へ伝令を行っていた。
「女王様、黎明の方達がこちらへ向かっているようです」
「なんだ忘れ物か?」
「どうやらダイヤモンドクラブを討伐したのが彼らのようです。ギルドマスターより書状もきております」
「ふむ、確認しよう」
【ダイヤモンドクラブの討伐が完了しました。この後、黎明が依頼達成の報告へ伺うとのことですので、よろしくお願いいたします。黎明と火焔の剣という2つのパーティーが貢献しておりましたが、主に黎明です。火焔の剣にはこちらで報酬を渡しておきますので、黎明はお願いいたします】
「ふむ、確認した。梅め、また他人行儀な文章を書きおって。普段通りせんか。まあ良い、それはまたの機会にするとして、もうあやつらが戻ってくるのか。見送った意味がないではないか。すまないがトルネとカイルを呼んでおいてくれ。あやつらもすぐに会えて嬉しいじゃろう。あと、部屋の用意を。今晩は泊まるだろうからな」
「かしこまりました。料理はどうしましょう?」
「適当で良い。あやつらも初日以外はここで食べておらんかったからな」
「かしこまりました。失礼します」
家臣が出て行こうとした時、女王はなぜか不安になった。
「待て。…料理は初日の様に準備しておいてくれ。すまないな」
「かしこまりました。ではそのように」
なぜか料理のことが気になってしまった女王。この選択が間違いではなかったことを後で知ることになる。
家臣たちが準備をしていると、トルネとカイルが入ってきた。
「エリザ、もう彼らが戻ってくるのか?」
「そのようだ。どうやら先ほど発生していたダイヤモンドクラブを倒したのはあやつらのようだ」
「流石御三方ですね!もう1度特訓してもらえませんかね?」
カイルは豹たちにもう1度会うのがとても楽しみな様子だった。するとトルネが
「カイルよ、次に会うときまでに成長したと言われないといけないのではなかったか?」
その言葉にカイルはドキッとした。
「流石にこの数時間で強くなるのは…でも、薪割りだけしてきます。お母様、構いませんか?」
「ああ、もう少しだけ時間があるじゃろう、終わったらすぐに戻っていきなさい」
「はい、行ってきます」
カイルは薪割りをしにいった。
「トルネ、少しいいか?」
「どうした?」
「少し、ほんの少しだが、寒気がせぬか?」
するとトルネは女王の方を向いた。
「エリザもか…先ほどから少しだけだが、寒気がしていた。なぜだろうな」
「ついにこの年になって風邪でも引いたかな?ははは」
2人は冗談を言い合いながらお互いの不安を共有していた。すると家臣が1人走ってきた。
「失礼いたします。黎明の方々が到着いたしました…で、あの…」
家臣は言い淀んでいた。
「なんだ、何かあったのか?」
「それが、その…黎明の…4名がいらっしゃいました」
「なに!?4名!?すぐにカイルを呼んでこい」
家臣は急いでカイルを呼びに行った。女王とトルネも急いで迎える準備をした。




