第47話 最速での達成
素材の採取が終わり、冒険者ギルドへ戻ろうとしていた時、鷹がずっと疑問に思っていたことをミヤに聞いた。
「ミヤ、いつこっちに、来たの?」
「さっきですよー。そしたら戦闘音が聞こえたので来てみたら皆さんがいたので助太刀しました……あ」
ミヤは何かを思い出したように
「豹さん、今からの依頼ってどのくらいかかりますか?」
「えっと、どうでしょう、2、3日でしょうか?」
「わかりました、伝えてきます」
(伝えてきます?)
するとミヤはどこかへ走って行った。そして帰ってきた。
「すみません、お待たせしました」
「どこへ行っていたんですか?」
「八雲さんとおじいちゃんのところです。送ってきてもらいました」
その言葉を聞いて豹は納得した。
「あ、なるほど、だからここにいたんですね。てっきり1ヶ月前にすでに出発していたのかと思いました」
「いやいや違いますよ、さっきです」
ミヤと豹は笑いながら話していたが、近くにいたゼンは何言ってるんだろ?と理解に苦しんでいた。
「それで、八雲さんたちはどうなさるんですか?」
「一旦帰って、また3日後に迎えにくるそうです」
「平然と言ってますけど、おかしな話ですよね、それ」
「八雲さん、普通じゃないですよねぇ、でもなんか慣れてきちゃいました」
それもおかしいと思った豹だったが、口には出さないようにした。
「さて、素材の回収、終わりましたかね?」
「はい、できました」
「俺らもOKです!」
「では、冒険者ギルドへ向かいましょうか」
黎明と火焔の剣はクライ女王国の冒険者ギルドへ討伐報告をしに戻った。帰りの道中、ミヤはみんなを鑑定しようか迷ったが、みんなから直接話を聞きたくなり、鑑定するのをやめた。冒険者ギルドへ到着すると、職員が出迎えてくれた。
「みなさん、お疲れ様です。その様子だと討伐は完了したようですね。こちらもけが人の治療がほぼ終わりました。あとは皆さん…はもう治療済みですか?」
豹のヒールのおかげで全員が応急処置が済んでいたので、簡単な治療で済んだ。
「ギルドマスターはどこでしょうか?」
「奥にいらっしゃいますよ。討伐の報告ですか?」
「そ、討伐の報告と指名依頼の達成報告〜」
「あれ、指名依頼は本日受けられてましたよね?虚偽の報告は絶対にダメですよ?」
「いやいや本当に達成なの。俺らも予想外だったんだけどな」
ギルド職員はまたまたーという顔をしていた。
「あのー、すみません、その依頼内容ってなんなんですか?」
ミヤが質問するとギルド職員はびっくりしていた。
「うわ、びっくりした。こらこら、こんなところに来てはダメですよ、危ないですからね」
そう言われているミヤを見て豹たちは笑いを堪えていた。ミヤはそれに気付き、頰を膨らませた。
「みなさん、助けてくださいよ。私、追い出されそうなんですけど」
その言葉に我慢できなかった虎。
「はー、おかし。ごめんごめん、ちょっと面白かって。この子がうちのメンバーのミヤだよ」
ギルド職員はまだ信じていなかった。
「もー、どうしたらいいんですか。また誰か投げ飛ばしましょうか?」
ミヤは冗談を言いながら豹たちの方を向いた。
「ミヤさん、落ち着いてください、ギルドカード持っているでしょう?それを見せれば解決しますよ」
豹の言葉に冷静になったミヤ。あ。っと言う顔をしてギルドカードを取り出した。
「確認お願いします」
ギルド職員は半信半疑のままミヤからギルドカードを受け取り確認した。そしてEランク冒険者であること、豹たちとともに黎明のメンバーであることを確認した。そして事実であったことに驚きながらも、しっかりと謝罪をした。
「申し訳ありませんでした。確認いたしました。皆さんこちらへどうぞ」
ミヤはホッとした様子で豹たちと共に奥へ進んだ。ミヤの登場にギルド内もざわついていた。豹たち3人の残り1人のメンバー。女性だとは聞いていたが、まさかまだ幼子のようにも見える少女だとは誰も思っていなかったからだ。ミヤたちが奥に入って行った後、冒険者たちは集まり、様々な意見を言い合った。強さについて。見た目以上の年齢なのか。もしかして何か事情があり、哀れみで入れているのではないかなど、様々な意見が飛び交った。そして先ほどまで一緒にいた火焔の剣の面々を捕まえ、話を聞いていた。しかし火焔の剣もまだミヤの強さについて理解することができていなかった。火魔法を使うこと、3人と非常に仲が良さそうに見えること。そしてあの虎を落ち着かせることのできる少女であると。その話が広まると、陰でミヤを姉御と呼ぶ人物が増えていくのだった。
「失礼します、黎明の皆さんをお連れしました」
中に入るとギルドマスターは大量の書類仕事をしていた。
「ちょっと待ってな、後少しでひと段落するから。その辺に座っておいておくれ」
ギルドマスターは顔をあげる事なく書類仕事を進めた。そしてそのまま話し始めた。
「今回は急な依頼だったのにすまなかったね。討伐してくれて助かったよ」
「どういたしましてー。まあ、火焔の剣のやつらが割と頑張ってくれてたおかげだよ」
「ほぉ、あやつら、虎に多少褒められるくらいにはなったんだね」
「多少な、多少」
虎は少し恥ずかしそうにしていた。
「そういえば虎さん、なんで兄貴なんですか?」
虎はミヤからの質問に動揺していた。
「いや、それは今はいいだろ?今は依頼の達成報告に来てるんだし」
「虎はねぇ、ここのギルドの荒くれ者たちを実力で黙らせて、ボコボコにしたんだよ。だが、そのままにせず、改善点を伝えたり、細やかなサポートまでしたもんだから、随分気に入られてね、それで兄貴ってわけさ」
「なるほど、かっこいいですね」
「おい、梅ちゃん、いいって。ミヤちゃんも」
ギルドマスターは、はははと笑いながら書類仕事を進めていたが、ふと我にかえった。聞き覚えのない女の子の声に気がつき、バッと顔をあげた。そこには見知らぬ少女がいて、思わず、
「なんだいあんたら、誘拐でもしてきたのかい!?」
まさかの一言に虎は椅子から落ちそうになった。
「ばーか、誘拐なんてするか!この子がうちのメンバーのミヤだよ」
その言葉を聞いて、最初は耳を疑ったが、ミヤからただならぬ雰囲気を感じ取った。
「嘘ではなさそうだね」
「さすが梅さんですね、見て一瞬で感じ取るとは」
ギルドマスターはペンを置いた。
「バカ言うんじゃないよ。しっかりと見るまで感じさせないって事が異常だよ。普通ならこの部屋に入ってきた瞬間に気づくんだよ。それが全く感じなかった」
「あー、おじいちゃんに気配を消す練習をたくさんさせられまして。特訓してる最中に気配がダダ漏れで、魔物が逃げちゃって特訓にならなくて…なので気配を消して悟られないようにしたんです。えへへ」
その話を聞いてギルドマスターは不思議に思った。
(普通は逆で気配があると魔物が襲ってくるんだがね。弱い魔物なら逃げることはあるが、ある一定以上の魔物が逃げることは少ない。つまりそれほどの強さってことかい?こりゃとんでもない子かもしれないね)
「ということは、あんたたちの行っていた依頼の達成報告というのは、両方かい?」
「はい、私たちも予想外でしたが両方いっぺんに達成してしまいました」
豹が笑いながら答えた。ギルドマスターは苦笑いした。
「今日依頼して今日達成かい。予想外すぎるよ」
「僕たちもだよ。だから、この後、また王城に、行くことに、なるんだー。あー、嫌だ」
「女王、トルネさん、カイルもびっくりするだろうなー」
鷹と虎の話を聞いたミヤは困惑した。
「えっと、待ってください、依頼内容ってなんなんですか?それに冒険者ギルドの後、もう1つ行く場所があるって言っていたのって、まさかとは思いますけど…」
ミヤは豹たちの方を向いた。すると3人は一緒に
「王城」
と言った。
「やっぱりー」




