第46話 再会
その声と共にダイヤモンドクラブに向けてファイヤーボールが飛んできた。そのファイヤーボールは炎が抑えられ、吹き飛ばす力が強かった。その爆風で、全てのダイヤモンドクラブは宙に舞い、ゼンは豹の方へ飛ばされた。全員がファイヤーボールが飛んできた方向へ目を向けると砂埃の向こうに人影があった。
「誰だ?あれ?」
火焔の剣の面々は目を細めて見ていた。
砂埃がはれ、徐々に姿が見えてきた。
「女の子?」
「なんでこんなところに女の子が?」
豹たちは何かに気づいた。
「ははは、マジで?」
「なぜこんなところに?」
「わかんない、でも、ナイスタイミング」
その人影はこちらに走ってきていた。
「皆さーん、お久しぶりでーす!」
そこにいたのはミヤだった。
「みなさん、彼女は誰ですか?」
「あれは俺たちのパーティーのメンバー、ミヤだ」
その言葉を聞いて火焔の剣のメンバーは耳を疑った。なぜならそこにいたのは一見すると普通の女の子。
「この子が例の黎明の最後の1人?」
「普通の女の子じゃん」
そう話していると、ダイヤモンドクラブが迫ってきた。
「このカニさん、倒して良いやつですか?」
ミヤは戦闘態勢に入った。
「良いやつ!ミヤちゃん、そっちの2体、鷹と任せていいか?こっちはダダと俺でやる」
「わかりました。すぐに終わらせますね」
鷹もミヤの側に行き、話し合った。
「ミヤ、どうする?」
「さっき鑑定して、関節が弱点なのはわかりました。今回は私が足止めするので、鷹さんが攻撃してくれますか?」
「わかった」
「行きますよー。ファイヤーボール!」
ミヤが1体に向けてファイヤーボールを放った。するとダイヤモンドクラブは丸くなり、防御の態勢をとった。
「あれじゃー魔法は効かねーよ」
ガルが治療を受けながら言ったが、豹は心配していなかった。
「大丈夫です、まあ、見ててください」
すると先ほどと同じように爆発し、2体のダイヤモンドクラブが宙を舞った。落下してくるダイヤモンドクラブを鷹の魔法が待ち受けていた。
「アースニードル」
鷹の魔法が落ちてきたダイヤモンドクラブを串刺しにした。しっかりと関節が狙われていた。鷹は以前よりも繊細な魔法のコントロールができるようになっていた。
「よし、おしまい。鷹さんナイスです」
「うん、ミヤもナイス」
2人はハイタッチした。一方の虎とダダは少しだけ苦戦していた。
「ちっ、決定打に欠けるな」
「関節部分を狙おうにも、さっきの戦闘で賢くなって庇ってますぜ、兄貴」
2人の様子を見ていたミヤが声をかけた。
「虎さーん、手かしましょうか?」
虎はミヤの方を確認した。しっかり2匹とも仕留められていた。
(さすが)
虎はニヤッと笑いながら答えた。
「いらねーよ、まあ見てな!ダダ、ちょっと俺の後ろに下がれ」
「は、はい、兄貴」
ダダが下がったのを確認した虎は、ふぅと息を吐いた。虎の方向へ2体のダイヤモンドクラブが突っ込んできた。ダダはそれを見てかなり焦った様子で虎に声をかけようとしたが、鷹がダダの肩をポンと叩いて静止した。
「大丈夫、下がってて」
「は、はい」
虎は2体のダイヤモンドクラブが重なるタイミングを待っていた。そして重なったところで手を前に出した。
「アースウォール」
虎はアースウォールで挟み、ダイヤモンドクラブの動きを止めた。
「ふう、これで動けねーだろ。さてさて、あとはっと」
虎はダイヤモンドクラブに近づいて行き、関節の辺りに手を出し、サンダーボールを放った。すると2体同時に関節への攻撃を当てた。重なる位置にしたのは1つの魔法で2体の関節を攻撃する為だった。その後も何発か放ち、討伐をした。
「よし、終了、待たせたなー」
虎が振り返ると、他の面々は呑気におしゃべりをしていた。
「ミヤさん、初めまして、火焔の剣のリーダーをしています、ゼンです」
「剣士のガルです」
「火の魔法使い、ベンです」
「剣士のダダです」
「あ、えっと、黎明のミヤです。初めまして」
それを見た虎は唖然とした。
「おーまーえーらーなーっ!」
虎が少し怒ったような顔をして迫って行った。それに気づいた火焔の剣の面々はビビっていた。
「あ、虎さん、終わりました?お疲れ様です」
と満面の笑みで言うミヤを見て、一気に怒りが収まった虎。ふっと少し笑った。虎のそんな表情を見たのは初めてだった火焔の剣の面々は、密かにミヤのことを姉御と思うようになっていた。
「さて、みなさんの治療も終わったので、ギルドに報告へ行きましょうか。ミヤさんもいるのでもう1つの依頼も達成しに行きましょう」
「お、本当だ、まさかの依頼を受けた日に達成できるとはな!」
「2人とも、予想外、だろうねぇ」
「え、何か依頼受けたんですか?ずるーい!」
ミヤが残念そうにしていると、豹が軽く説明した。
「大丈夫ですよミヤさん、この依頼はあなたがいないと達成できませんから」
豹がニコッと笑いながら言ったのを見て、ミヤは少し嬉しそうだった。
「また火魔法しか効かないモンスターですか?どこに行きますか?」
一気にテンションが回復したミヤ。虎が笑いながら
「目的地は冒険者ギルドとある場所だ」
と教えた。
「まずは、冒険者ギルド、だね」
鷹も説明した。3人が楽しそうに話しているのを見て、火焔の剣は改めて姉御と思った。
冒険者ギルドに戻る前に、ダイヤモンドクラブの素材を回収している時、虎がある疑問を火焔の剣に聞いた。
「ところでお前ら、よくダイヤモンドクラブ4体も相手にあそこまでもったな。しかも途中で怪我したやつら運んでたんだろ?」
「あ、はい、新人研修で勉強したことが役に立ちました。常に声をかけ続けて、自分の状況と周りの状況を交換し合う、当たり前のことですが、重要なことでした。後、怪我をした冒険者はベンに運ばせて、普段から近接戦闘に慣れている俺らで逃げ回ってました。いやぁ、突っ込んでたばっかりの頃に比べると成長したなって思いますけど、正直皆さんが来てくれなかったら、死んでましたねー。あはは」
「やるじゃねーか」
「成長しましたねぇ」
「うん」
「まだまだですよ、もっと頑張りますね」
「そう言えるようになったのも成長ですね」
豹たちと火焔の剣の話を聞いていたミヤがゼンに質問した。
「あのー、1つ気になることが…」
「なんでしょう?」
「なんで虎さんは兄貴なんですか?ご兄弟ではないでしょうし…」
「あ、それはですね、虎の兄貴は…」
すると何処かからダイヤモンドクラブの素材が飛んできて、ゼンの頭にぶつかった。
「いたっ」
「おー、わりいわりい」
犯人は虎だった。虎はゼンに余計なこと言うんじゃねー。という表情でニコッと笑い、
「それ、しまっといて」
と言った。ビビったゼンは
「はい、兄貴」
と素材をしまいに行った。
「ミヤさん、そのことはまた後ほど依頼の時にでもお話ししますね」
「はーい」
ミヤは気にはなったが、後で話してもらえるならいいやと思いながら素材採取を再開した。




