第45話 最初の依頼
ワーク国王城
「国王様、クライ女王国より書状が届いております」
国王は中身を確認した。するとその内容を理解できなかったようだった。
「おい、ちょっとこれを読んでみてくれ」
「よろしいのですか?」
「おそらく構わん…おそらく」
「はぁ、では拝見いたします」
家臣も内容を読んだが理解することができなかった。
「これは、えっと…彼らは何をしたんでしょうか?」
「知らん。だが一応、礼が書かれているだろう?」
「はい、ありがとう。と…ですが、薪?石?なんでしょうね…」
書状の内容はこうだった。
【元黒豹の3名に指名依頼を出していたが、無事終了しそうだ。ただ、あやつらの指導方法が変すぎる。私は最高級の訓練場でも用意するつもりでいたが、あやつらから依頼されたのは薪と石だ。バカにしているのかと思っていたが、実際カイルは成長した。今までにない成長ぶりだ。しかし、納得ができない。本当に。そちらではこういった特訓を行っているのか?ぜひ詳しく話を聞きたい。時間があれば会って茶でも飲みながら話そう。まあ、あやつら3人をこちらに送ってくれたことには感謝している。ギルドの状況も改善されたしな。ありがとう】
「全く意味がわからん。帰ってきたらここに来るようにギルドマスターに伝えておいてくれ。直接聞かないとわからん」
「かしこまりました」
家臣は冒険者ギルドへ使いを出した。
クライ女王国
「みなさん、本当にもう行かれるのですか?」
カイルは残念そうに言った。
「すみませんカイル様、私たちにも待たせているパーティーメンバーがおりますので」
「そ、ごめんなカイル、また来るからさ」
「また、来ます」
3人は少し申し訳なさそうに話していた。
「カイル、こやつらのおかげでお前も強くなった。これからも続けて行き、次会うときに驚かしてやりなさい」
「そーですよカイル、今ではあなたがやっている特訓を真似して自分たちもやってみようかと騎士団内で話が出ているほど、カイルの成長は素晴らしいんだ。次会う時まで続けなさい。そして3人を越せるように頑張りなさい」
「強くなった実感があるからまだまだ教えてもらいたいんですよ…またすぐ来てくださいね?」
カイルの言葉に虎が少しからかいながら返事をした。
「カイルー、すぐきたら成長してないって俺らに言われちまうぞ?」
「う…では、少し経ってから…いえ、すぐに来られても成長したなと言われるくらいやっておきます!」
カイルの言動が可愛く笑う豹たちだった。
「さて、それでは約1ヶ月間お世話になりました」
「こちらこそだ。またいつでも来い」
「お待ちしております」
豹たちは礼をして立ち去ろうとした。が、女王が呼び止めた。
「そういえば、ギルドマスターが面白い依頼をお前たちに出したそうだな。その依頼は私からの連名ということにしておいてくれ。楽しみにしているぞ」
すると虎が女王に聞き返した。
「報酬は?」
女王はニヤッと笑って答えた。
「私たちとの食事だ」
虎はため息をつきながら答えた。
「彼女が良いって言えばなぁ」
「それで構わん」
「では、また」
3人は改めて礼をして王城を後にした。街を出ようと歩いていた3人に冒険者ギルドの職員が走ってきた。
「はぁはぁ、よかった、みなさんがまだ居てくれて。すみません、冒険者ギルドへ来て頂けませんか?」
3人は嫌な予感がしていた。だが、自分たちをわざわざ探しに来た様子から問題が発生していることを察し、ついて行った。
「ギルドマスター、連れてきました」
「おお、間に合ったか。お前たち、すまないが緊急の依頼じゃ」
冒険者ギルドに怪我をしている冒険者が複数いた。
「これはどうしたんですか?」
「ダイヤモンドクラブが複数体発生しました」
ダイヤモンドクラブとは、ロックリザードよりも硬い甲羅をもつ魔物で、通常の武器は弾かれ、魔法も効きにくい事で討伐難易度がBランクの魔物だ。それが複数体も発生しているのなら難易度が上がりAとなる。
「複数体か…それは危険度が高いな…」
「火焔の剣が対応し、こちらの怪我をした冒険者たちを運んできてくれました。その後また討伐に出て行きましたが、彼らでは正直きつい相手だと思い、みなさんを探していました」
「あの方達、無茶ばかりして…」
「早く、行かないと」
「おい、その依頼俺たちが受ける。ただし、黎明としてだ。構わないか?」
虎の質問にギルドマスターは即答した。
「わかった。先に口頭での依頼になるが、黎明に指名依頼だ。ダイヤモンドクラブの討伐を頼む。報酬は追って相談、すまないが頼むよ」
「了解!」
豹たちはすぐに出た。門を出ると近くで戦闘音が聞こえてきた。
「後ろ気をつけろ、こっちは俺が見てる」
「魔法、準備します」
「OK、私が引きつけます」
そこには良い連携を取りながら戦う火焔の剣とダイヤモンドクラブが4匹いた。
「あいつら、良い連携してるじゃねーか」
「でも、なかなか、怪我してる」
「2人とも、私が1人ずつヒールで直しますので、彼らと協力して引きつけてくれますか?」
「了解」「うん」
豹たちも戦闘に参加した。
「あんたら、来てくれたんだな」
「ゼンさん、一番怪我しているのはどなたですか?」
「ガルだ。俺が怪我したやつら運んでいる間、耐えてくれてたから、なかなか消耗してる。その次がダダです」
「わかりました。虎、ガルさんと交代してください」
「了解、ガル、下がれ!」
「あ、兄貴、すみません」
ガルは虎と交代して豹のところに来た。
「この傷なら5分ですね。鷹、消耗しているダダさんのサポートを。5分で下がらせてください」
「うん、わかった」
鷹はダダのサポートに行った。
「さて、すぐに治しますよ。ヒール」
豹がガルの治療をしている間、他のメンバーでダイヤモンドクラブの相手をしていた。しかしゼンが不意をつかれてダイヤモンドクラブの1撃をくらい、蹲ってしまった。
「やばい、間に合わねー」
虎はそのことに気づいたが間に合う距離にいなかった。鷹も同様に間に合う距離ではなかった。全員が諦めかけた時、どこからか声が聞こえた。
「ファイヤーボール!」




