第42話 雲を眺めて
一方のミヤはというと
「あー、また失敗。なんでだー」
どうやら少し失敗が続いているようだった。おじいちゃんと八雲は静かに見守っていた。
「ふぅ、もう一回」
ミヤは指先に集中し、小さな火を灯した。するとその火の大きさを大きくしたり小さくしたりしようとしていた。
「八雲さん、ミヤのあれはあなたが教えたんですか?」
「教えとらんよ。またあの子は自分で色々試して、すごいことをしだしたな」
「あの子は本当によく考えてやってみようって気になりますね」
「それがあの子のすごいところじゃよ」
2人はのんびりと紅茶を飲んでいた。そしてミヤからの質問があった時に答える方法をとっていた。
「もー、また失敗。ちょっと休けーい!おじいちゃん、私もちょうだーい」
そう言いながらおじいちゃんと八雲の方へ歩いてきた。その間もブツブツと呟きながら考えていた。
「ミヤ、どうしてさっきの練習をしているんじゃ?」
八雲はミヤに質問した。
「さっきのですか?いや、だいぶ魔力の調整ができてきたんですが、形を変えることってできないかな〜と思って。でもなかなかできませんでした。ファイヤーランスを打てたときは最初にこういうイメージって固めてから魔法を唱えたんですが、それを発動した後にできないかなぁと。まあ、ちょっとした休憩中のお試しです」
ミヤは笑いながらそう言ったが、八雲は関心していた。
「ミヤ、少し面白いものを見せてあげよう」
八雲はそう言うと少し離れて魔法を唱えた。
「ファイヤーボール」
すると小さなファイヤーボールが出た。木に当たり、木が燃えた。
「八雲さん、普通の魔法使えるんですね!ちょっと意外でした」
ミヤは八雲がファイヤーボールを唱えたことに驚いていた。
「ははは、そりゃできるよ。普通にな。さて、見てなさい」
そういうと八雲はもう一度ファイヤーボールを唱えた。
「ファイヤーボール」
すると八雲のファイヤーボールは最初赤かったが急に青くなった。そして木に当たると先ほどとは比べものにならないくらい燃えた。
「え、なんですか今の!?青い火?もう一回やってください」
ミヤは鑑定をしながら八雲のファイヤーボールを見た。すると最初は普通のファイヤーボールだが、急に温度が上がっていた。
「八雲さん、温度が急に上がってます。なんでですか?」
「なんじゃ答えを言ってもいいのか?」
ミヤは少し悩んでいた。
「んー、どうしよう…気になる…」
悩んでいるミヤに追い打ちをかけるように八雲はもう一度ファイヤーボールを唱えた。
「ミヤ、お主の今やろうとしていることはこういう物か?ファイヤーボール」
するとファイヤーボールは飛んで行きながら鳥の形に変わった。
「それー!それそれ、それです、八雲さん!別の魔法ではなく、同じ魔法で使い分けれないかなと思っているんです」
すると八雲は不思議そうに質問した。
「今のミヤにはあまり関係ないんじゃないか?」
するとミヤは真剣な表情で話しだした。
「1つの魔法が複数の役割を果たすことができれば、色んな魔法が使えなくても、できることが増えると思うんです。これから先いろんな人に出会うと思うんですけど、1つしか使えないという人もいるかもしれません。その時に何か手助けできないかなって考えていたんです。でも、自分ができないと教えてあげれないから、ずっと試してたんです。できる方法があるんですね!それがわかっただけでも一歩前進です!」
嬉しそうに話すミヤ。おじいちゃんが紅茶を持ってきてくれた。
「はぁ、美味しい。おじいちゃん、八雲さんってやっぱり普通じゃないねぇ」
ミヤはほっこりしながら言った。八雲も紅茶を飲みながら、答えた。
「普通なんじゃけどな。ふぅ」
「普通じゃありませーん。ふぅ」
「美味しいですか?」
2人は頷いた。そして先ほどの魔法についてミヤは質問攻めを始め、八雲はとぼけながら紅茶を飲み続けた。ミヤが諦め掛けた頃、八雲が口を開いた。
「ミヤ、どの魔法も形を決めるのはイメージと何かな?ふふふ」
その言葉を聞いてミヤは考えた。ブツブツと頭の中を整理して、イメージした。そして、紅茶を飲み終え、立ち上がり、また特訓を再開した。その後も何度も失敗を重ねていたミヤ。ミヤは地面に寝転がった。
「できなーい。今日も空が綺麗だな〜」
ミヤが空を眺めていると、雲が目に入った。
(綺麗な雲だなぁ。好きなように形を変えて、羨ましいなぁ。ファイヤーボールもあんな風に形変えれたらなぁ。何が足りないんだろ。雲は自然にくっついたり離れたり)
ミヤは空を眺めながらぼーっとしていた。すると何かを思いついて急に立ちあがった。
「ファイヤーボール」
ミヤはファイヤーボールを唱えた。そして、ファイヤーボールに魔力を流した。するとファイヤーボールは大きくなった。それを確かめた後、ミヤは改めて何かをイメージしていた。そして改めてファイヤーボールを唱えた。
「ファイヤーボール」
そして次は魔力の流し方を細くしてみた。するとファイヤーボールは細くなった。
「できたー!見ました?細くなるだけですけど、形を変えることができました!」
八雲とおじいちゃんは拍手していた。
「本当にすごいぞ」
「ミヤは自分で考えてそこまでやるんですからすごいですね」
「次はこんな感じでどーだろ?」
そういうとミヤはファイヤーボールを唱え、魔力を流した。すると、ファイヤーボールが星の形になった。
「やっぱり、魔力を流すのもイメージでできるんだ!たのしー!」
ミヤがまた勝手に成長し、おじいちゃんと八雲は少し不満そうにしていた。
「カイン、わしらいらないんじゃないか?」
「八雲さん、認めたくないんですから言わないでください」
ミヤの成長がすごいことは嬉しいが、もう少し教えてあげたいという複雑な心境になっていた。ミヤはその後も色々試しながら特訓を進めていった。
「よし、今日はここまでにしよ。おじいちゃん、明日またいつもの特訓するから相手してねぇ。八雲さんももっと魔法教えてくださいね!さ、お風呂」
そう言いながらミヤはお風呂に向かった。
「カインよ、わしらはまだ必要みたいだな」
「よかったですね、さて、明日の準備でもしておきましょうかね」
そういっておじいちゃんは次の特訓の準備を始めた。八雲もおじいちゃんを手伝って明日の準備をした。
「これは早々にあの3人のところへ向かうことになるかもしれないな」
八雲はそう言いながら、豹たちを迎えに計画も考えた。




