第40話 討伐終了と梅ちゃん
「あーあ、俺らの役目終わっちまった。あとで怒られるなぁ」
「はぁ、また、怒られる。逃げる?」
虎と鷹はなぜか暗い顔をしていた。するとヒールをしていた豹が立ち上がり、ヒールをかけていた冒険者に声をかけた。
「すみません、応急処置は終わってるので、少しお待ちくださいね」
すると豹はミヤに教えてもらった石割りの構えをした。ふっと息を吐きながら拳を突き出した。するとロックリザードが弾け飛んだ。
「はーーーーー!?」
冒険者たちは目が飛び出るほど驚いた。虎と鷹もまさか素手でやるとは思わず、少し驚いていた。
「素手かぁ…豹、ずっと続けてたんだなぁ。すげぇわ」
「兄ちゃん、かっこいい。負けない」
しかし、憧れの目を向けていた2人に対して、厳しい表情をみせる豹。
「2人とも、2.3分お願いしましたよね?聞いてましたよね?」
「すみません」「ごめんなさい」
2人はきちんと謝った。しかし、豹の小言はまだ続いた。
「そもそもなぜあのタイミングで武器をしまったのですか?まだ決着はついていないでしょう?油断ではないですか?怪我しますよ?」
そこから少しの間ガミガミと母親のように小言を続けた。虎と鷹は気をつけをして話を聞いていた。
「さぁ、素材回収して帰りますよ。私は治療の続きをするので、やっといてください」
虎と鷹は頷いて行動した。そして他の冒険者たちもそれを見て移動した。冒険者たちは豹たちの凄さを理解し、行動を改めようと心に誓った。決して豹が怖かったという理由ではない。決して。
「ふぅ、終わりました。もう歩けるはずです。いかがですか?」
「あぁ、大丈夫だ。迷惑かけて申し訳ない」
冒険者のお礼に豹は笑って話しだした。
「なぜ自分たちの実力を過信してあーいった行動をするんですか?」
治療した冒険者は黙っていた。すると他の冒険者も集まってきた。
「改めてですが、あなたたちはなぜあんなにも馬鹿なんですか?自分の実力を過信して、問題行動ばかり。ありえないですよ?」
「それはですね、ギルドマスターもあんなばぁさんですし、ギルド職員も弱そうなやつばっかりで、俺らに勝てる奴なんていないだろうと思ってしまってまして…はい…」
すると豹はため息をついた。
「はぁ。あのですね、そもそも目上の人を敬え。というのが私の意見です。そして、相手の実力も測れない状態で冒険者を続けるのはやめた方がいいですよ。すぐに死んでしまいます。あなたたちがギルドマスターに突っかかって生きているのはあの人が優しいからであって、あなた方が強いからではありませんよ?」
すると冒険者の1人が質問した。
「あのばぁさん…いや、ギルドマスターは強いんですか?」
すると鷹が話し始めた。
「あのね、僕たちはあの人に、鍛えてもらってた時期がある。そして離れてからも、修行し続けた。でも、勝てるイメージ、湧かない。そこの人、昨日ギルドで、問題起こしてたよね?覚えてる」
「あー、躓いて転けたやつですか?」
「あれね、ギルドマスターに投げられたんだよ。気づかなかったでしょ?」
冒険者たちは驚いた様子だった。
「え!?いつ!?そんな風には見えなかったよな?」
冒険者たちはざわついてた。
「ギルドマスターは、怪我させないように、衝撃をあまり与えないように、投げたの。それに気づかせないほどの、実力差なんだよ」
冒険者たちは鷹の話を聞いても全く信じていなかった。
「いやいや、あんなばあさんがー?信じられねーよなぁ」
鷹はムッとして、それを見ていた豹が提案した。
「わかりました。では、同じようにしてあげましょう。ただし、私はギルドマスターほど上手くできませんので、怪我するかもしれません。構いませんか?」
冒険者も少しイラッとしてしまい、突っかかっていった。豹がロックリザードを殴ったことなど、すでに頭から飛んでいた。
「上等だ。やってみろよ。行くぞー!」
「ふぅ…。ふっ」
すると突っ込んだ冒険者はすごい衝撃と共に地面に叩きつけられた。
「がはっ」
かなりのダメージを受けたが、豹は手を握ったままヒールをかけた。ヒールをかけながら他の冒険者に話を始めた。
「今のように私がやると実力不足で地面に叩きつける形になります。しかしギルドマスターは投げたことすら気づかないレベルでこれを行なっています。信じられないようでしたら、私からお願いしてギルドマスターに対決していただきましょう。いかがですか?」
少しビビってしまった冒険者たち。しかし虎が煽って焚き付けた。
「へぇー、散々ばあさんだどーだ言ってた割に、ビビってよー。大したことねーな。まあ、ランクも見直すだろうし、Fランクからやってこいよ!」
「あー!?誰がビビってるってー!?やってやろーじゃねーか!おい、帰ったらすぐだ!」
豹は虎の方をじとーっと見た。虎はすまん。と思いながらも笑っていた。素材回収も終わり冒険者ギルドに着いた。
「ギルドマスターからの依頼、終了しました。そのことも含めてギルドマスターにお話があるので、呼んでいただけますか?」
「かしこまりました。少々お待ちください」
奥からギルドマスターが出てきた。
「おや、今日は随分と時間がかかったねぇ。寝てたのかい?」
その言葉に冒険者たちはすぐに言い返した。
「おい、ばあさん、俺らと勝負しろ!勝ったらランクはそのままだ!いいな!」
ギルドマスターは状況を理解できず首を傾げていると、ギルド職員が説明をした。それを聞いたギルドマスターは豹たちの方を見た。少し怒っているように見えた。
(うわぁ、梅ちゃん、怒ってるかも)
3人は背筋が凍った。後でしごかれるかもしれないと覚悟を決めた。
「はぁ、わかったわかった。じゃあ、訓練場に行こうかね」
ギルドマスターの案内で豹たちと冒険者たちは訓練場なら向かった。
「さて、どーゆールールでやるんだい?」
「なんでもいい!どーせ俺らが勝つ!」
豹たちはまだそーゆーことを言っているのかとため息を着いた。
「ではこーしましょう。ギルドマスターは武器も魔法も禁止。あなたたちは武器も魔法もあり。1人ではなくまとめてでいいでしょう。いかがですか?」
「はぁ!?舐めんなよ!?こんなばあさん俺1人で十分だ!」
「おやおや、まずはあんたからかい?いいさ、いつでもきな」
「あ、ギルドマスター、いつもよりは加減は不要です。私が治せる範囲でやってもらって構いません。どうぞ、のびのびとやられてください」
するとギルドマスターはニコッと笑っていつもより楽しそうにしていた。
「では、お言葉に甘えさせてもらおうかね。死なない程度に殺してやろう」
(うわぁ、出たー。しごきモード。終わったなあいつら)




