第38話 ストレス
豹たちが冒険者冒険者ギルドに着いた頃、ミヤはというと。
「できたー!やったー!」
ミヤは飛び跳ねていた。それを見ておじいちゃん2人は驚きと共に満足感を感じていた。教えたことをすぐに吸収し、さらに自分で考えて実践してみるミヤ。教え甲斐があるとはこういうことなんだろうと感じていた。
「ミヤ、よくやったねぇ、すごいじゃないか!」
「うん、すごいぞ。本当に」
「でも、めちゃくちゃ時間かかっちゃった…」
ミヤは悔しい気持ちもあるようだった。
「ミヤ、あのね、1つだけ言っておくよ?これはおじいちゃんでも半年以上かけて練習したことなんだよ?それを1ヶ月ちょっとでできるのはすごいんだよ?自信持ちなさい」
ミヤはその言葉を聞いて顔を上げた。
「そーなの?じゃあ、自信持っていいのか…。でもね、私は贅沢なことに2人から教えてもらってるんだよ?この時間を無駄にしたくないから、どーしても焦っちゃうんだよねぇ…」
すると八雲が口を開いた。
「あのね、ミヤ。無駄な時間っていうのは何もしない時間や何も考えず毎日同じことを繰り返すことだとわしは思う。現状に満足してただ繰り返す、それは無駄だと思う。しかしミヤはわしたちの教えたことを素直に実践し、自分で考えて2歩も3歩も進んでいく、それは素晴らしいことだよ。だから無駄なんて思ってないよ」
「そーだよ。それにここまでこれたら、ここからは早いよ。だから大丈夫」
ミヤは少し泣きそうになっていた。そして頬を叩き気合いを入れ直した。
「よし、次、いきましょう!」
気合い十分のミヤを見て、おじいちゃんと八雲は笑っていた。
「ではやろうか。カイン、いいな?」
「はい、進みましょう!」
2人は事前に予定していた内容より進んだミヤの為に前倒しでやると決めていた。
「ミヤ、次はな…」
八雲の説明を聞いたミヤはえ?という顔をした。
「最初は一緒にやってあげるからとりあえずやってみるかい?」
ミヤはまだ信じられずにいた。でも2人が言うならとやってみる事にした。
「これがうまくできるようになったら、3人を迎えに行ってやろうな。わしが連れて行ってやるからな」
八雲の言葉にさらにやる気を出したミヤ。ここからミヤの成長がさらに加速する。
ワーク国王城
「ミヤたちは最近どーしてる?」
国王はミヤたちの動向を気にしているようだった。
「ミヤ殿は村へ戻り修行をしているようです。黒豹の3名と黎明というパーティーを組み、今は別行動のようです。元黒豹の3名はクライ女王国へ向かったようです。どうも女王様より指名依頼が入っておりましたが、どーもガンロックが忘れていたようで、仕方なく向かったようです」
「はっ、奴らしいな。相変わらず抜けていると言うか何と言うか」
国王が家臣と話していると、女王から書状が届いた。
「国王様、噂をすればというやつですね」
「はぁ、面倒な内容じゃなければいいが…」
国王は書状を見て、笑った。
「あやつ、ミヤをクライ女王国に連れてこいと言ったが、虎に断られたらしい。虎のやつやりおるわ。あの女は強敵なのにな」
国王は嬉しそうに話していた。
「まあ、我が国に縛り付けるつもりもないから、もし本人が行きたいと言えば止めるつもりはないがな。その時はわしも語らんといかん時じゃろう」
「国王様、その時はお供しますので」
国王は嬉しそうにしていたが、首を振った。
「その時はわしが責任を負う。お前たちは自由に生きなさい。ただ、その時までは頼むぞ」
部下は少し寂しそうな表情をしたが、首を縦に振って跪いた。
「さて、もう少し、ミヤたちの成長を見守ろうかな」
国王は書類仕事に戻った。
そして、クライ女王国冒険者ギルド
「さてさて、これをフリーの掲示板に提示しておいてくれ」
「はい、お預かりします。って、これフリーでいいんですか!?ロックリザードはBランク以上のパーティーですよね?」
「構わん、今回はこの3人にも同行してもらうから、死にかけても助けられるからね」
「わかりました、掲示しておきます」
このギルドではランク指定がある掲示板とフリーの掲示板があり、フリーの方はどんなランクでも受けることができるのだ。今回の依頼内容はロックリザードの討伐、条件は自信のあるもの、豹たち3名が同行する。ランクに制限はなく個人でもパーティーでも構わない。報酬は討伐なら金貨1枚。ギルド員がランク査定として同行する。以上だった。早速食いつく冒険者たちがいた。
「おい、金貨一枚だってよ!受けよーぜ!あの訳わかんねー冒険者のやろーどもが着いてくるのか?せいぜい足を引っ張らないでくれよ。ははは」
「おい、受付、これを受注するぜ!」
受付は本来ランクに見合わない依頼は受けさせないが、今回はフリーなので止めることはできなかった。
「はい、それでは同行する3名をご紹介いたします。豹さん、虎さん、鷹さんです」
「はっ、足は引っ張るなよぉ。どうせ雑魚だろーけどな。俺らはDランクだ、よろしくな!」
3人はイラっとするのを抑えるのに必死だった。自分たちはAランクであることは今回隠して行動すると決めていた。
「はい、お邪魔しないように気をつけますね。私たちも自分の身くらいは守れますので、皆さんもそのつもりでお願いします」
「はっ、死んでも文句言うなよ。死んだら喋れねーか!ははは。てか、盾デカすぎるだろ、どんだけビビりなんだよ。帰っていいぞー」
鷹の持っている大盾をバカにする冒険者たち。豹と虎が一気に限界を迎えそうだったが、鷹が静止した。
「ちょちょ、良いから良いから。守らなくて良いなら楽だから」
鷹もイライラしていたが我慢していた。
「まあ、鷹がそー言うなら良いよ。お前ら、後で後悔すんなよ」
虎がそう言い放った。冒険者たちは後にこのやりとりを後悔する。同行するギルド職員も揃ったので、出発することにした。
「行くぞ!金貨1枚、いただくぜー!」
豹たちはため息をついて、後ろをついて行った。
「くっそストレス溜まる」
虎は相当イライラしているが、豹と鷹も我慢していたので、抑えていた。さあ、いよいよ冒険者の指導が始まる。




