第31話 ミヤ様と時短計画
クライ女王国へ向かう道中、豹たちはあることに苦しんでいた。
「2人とも、ある問題を見つけました」
「どうした?」
「なに?」
豹はフライパンを取り出した。それを見た虎と鷹は何のことか察した。
「ご飯は誰が作りますか?」
「それのことだよな」
「本当だ。誰がやる?」
3人は少し考えた。考えはしたが誰がやっても失敗することは予想がついた。
「早くも私たちの命の危機が迫ってきています」
「よし、帰るか」
豹と虎が悩んでいると、鷹はふとミヤから受け取っていた物を思い出した。
(そーいえばミヤが何か渡してくれたな?あの時はとりあえず受け取ったけど、何だったんだろ?)
鷹は荷物をゴソゴソしだした。豹と虎は鷹が非常食でもだすのかと思って期待していた。しかし鷹が取り出したのはただの紙切れだった。
「何ですかそれは?」
「食物じゃねーのかよ」
2人の言っていることを無視して、鷹はその紙を開いた。鷹はその中身を確認すると、急に立ち上がり、豹の手からフライパンを奪った。火を起こして、料理を始めた。
「鷹、待ちなさい、落ち着きなさい、食材は有限です」
「おい、待て待て、止まれ」
しかし鷹は2人の忠告を聞かずに作業を進めた。
「ちょっと、食べてみて、ポトフ」
鷹が作っていた物はポトフだった。豹と虎は期待せずに口に運んだ。しかし、予想に反してかなり美味しかった。
「鷹、どうしたんですか!?これは」
「おい、ついに料理の腕も開花か!?」
と2人が驚いていると、鷹は先ほどの紙を2人に見せた。
「ミヤがいっぱいレシピ書いてくれてる。必要な材料、調味料、時間まで。これあったら、ある程度作れそう。とりあえず今日はポトフ作ってみた。どう?」
「くっそうめー」
「ミヤの味に近いです。素晴らしい」
2人は大満足の様子だった。鷹もその反応をみて嬉しそうにした。そして3人とも同じことを思っていた。
(ミヤ様ありがとうございました)
ミヤは離れていても3人の命をしっかり守っていた。そこからは鷹がミヤのレシピを参考にしながらご飯を作り続け、材料は現地調達をしながら進んで行った。そして1ヶ月、無事にクライ女王国に到着した。
「着きましたねぇ」
「ついたな」
「何とかなった。よかった」
3人はミヤのいない長期移動はもうやめようと誓い合った。それほどミヤの料理は自分たちにとって命綱だと実感していた。
「はぁ、ミヤちゃんの飯が食いてーなー」
「早く終わらして早く帰りましょう」
「俺、次帰ったら、ミヤに料理の特訓してもらおうかな…」
鷹のその発言に豹と虎はすぐに反応し、鷹の最優先事項だと決めた。3人はクライ女王国の門をくぐった。中はとても賑やかで、様々な商品が売られていた。3人が少し歩いていると、城の方から使いの人間が現れた。
「黒豹の皆さん、お久しぶりでございます。お待ちしておりました。女王様より、手紙を預かってまいりましたので、ご確認をお願いします」
手紙を受け取った豹はすぐに開け、中身を確認した。
「おやおや、これはまた優遇してくれていますね」
「なんて書いてあんの?」
虎と鷹は手紙を覗き込んだ。
【黒豹の皆さんお久しぶりです。長旅ご苦労様でした。お疲れでしょうからすぐに城へ来なさい。とは申しませんので、ごゆっくりなさってください。そしてまずは新人冒険者の件を進めて頂ければと思います。カイルはそれまで騎士団長と訓練させておきますので。まずはあのバ…ではなく、新人冒険者たちの指導をお願いします。2・3日後からでも構いませんので、お願いします。1ヶ月で新人冒険者、残りの期間でカインの訓練をお願いします】
とあった。そして、宿に関しては城に滞在して構わないということだった。
「とりあえず城には行かないといけませんね」
「そーだなぁ。とりあえず挨拶だけしておいて、少しゆっくりさせてもらうか」
「本当に、城に泊まる?」
鷹は少し嫌そうだった。
「あ、鷹はもしかして城だと人が多いから嫌ですか?」
「うん。ちょっと嫌かも…」
豹は鷹のことを考えて宿にしようと考えていると、虎が提案をした。
「城にしようぜ」
豹と鷹は驚いて振り返った。いつも鷹と一緒に城を嫌がる虎がなぜか今日は城に泊まることに賛成していた。
「虎、どうしました?頭でも打ちましたか?」
「虎、どうしたの?いつもあんなに嫌がるのに?」
2人の質問に対して虎は質問で返した。
「今回の依頼はなんだ?」
「新人指導とカイル様の稽古です」
豹の答えに鷹も頷いていた。
「それをどのくらいでやる予定だ?」
「2ヶ月目標」
鷹の答えに豹も頷いていた。
「ここに来るまでにどれくらいの期間かかった?」
「約1ヶ月」「1ヶ月」
2人は虎の質問に答えた。
「帰りもその程度かかるとしよう。俺たち、今、3人だけだよな?」
「はい」「うん」
「ミヤちゃんをそんな長い間待たすのか?」
虎の質問に豹と鷹ハッとした。
「できるだけ早く終わらす方法を考えて、早く帰ってあげるのが俺らの役目じゃね?」
珍しくまともなことを虎が言って少し驚いた豹と鷹だった。
「ですが、それと城に泊まるのと何の関係が?」
豹が質問すると、虎は笑って答えた。
「おいおい、豹、珍しく冴えてねーな。城に泊まらせてもらって、冒険者の指導の後、カイルの指導をすれば、期間を短くできるんじゃねーの?」
「確かに」
鷹は納得した。そして豹も少し考えたが、それがベストであると納得した。
「ま、こっちの予定通りに女王が対応してくれるかは微妙だから、その辺の交渉は豹、頼むぜ。交渉は俺らには向いてねー」
「うん、お願い。できるだけ人のいない場所で」
「わかりました。交渉しましょう。鷹、あなたの意見は無理かもしれません」
鷹は少しシュンとしていた。虎の意見を聞いた上でどういった内容で交渉するか3人は話し合った。そして、まずは城へ行くことにした。
「すまねーな、待たしちしまって。とりあえずこの後城に行くって伝えてくれるか?あ、手紙だけ書いたら行くわ!」
「かしこまりました。そう伝えておきます」
使いの人間は女王に3人が今から向かうということを伝えに帰った。
「では、私たちはミヤさんに手紙を書きましょうか」
「目標は1ヶ月で終わらせて、2ヶ月以内には帰るぞ!って書くか」
「そうだね」
「あと2ヶ月で帰る目標であることをしっかり伝えておきましょう」
「あとは、メモのお礼も伝えといて。あれないと死んでたって」
「あとは帰ったら鷹に飯の作り方教えてくれってこともな」
3人とも手紙を書くのはあまり好きではないはずだったが、ミヤへの手紙を書くことは嫌ではなく、むしろ色々と書きたい事があるから、それを絞るのに苦労しそうだった。手紙を出し終えて、城へ向かう3人だった。




