第26話 ギルドマスター
パーティー申請の書類をギルドマスターに渡したミヤたちは少しギルドマスターと話をしていた。秘書の響がお茶を持ってきてくれた。
「お茶どうぞ〜」
「響さん、相変わらず美人だなぁ。俺と結婚してくれません?」
虎がデレデレしていた。
「あらあら、私ももう良い歳ですからねぇ、ダメですよぉ」
「歳の差なんて気にしません」
虎は割と本気のようだ。それもそのはず、秘書の響は冒険者ギルド内でもかなり人気の女性だった。
「失礼します、ごゆっくり」
そう言って響は退出した。
「あー、今日も美人だったなぁ。あーゆー人と結婚したいなぁ」
「虎、あなたには無理ですよ」
「そーそー、無理だよ」
豹と鷹は笑いながら言った。虎はそういう2人の首を絞めて戯れあっていた。
「ところで嬢ちゃん、自分の鑑定などの程度扱えるんだ?」
「まだ全然使いこなせてないと思います。毎回出てくる内容も違うので。一応その時私が知りたいと思ってることは出てくるんですけど、毎回全てではないですね…。あとレベル差も関係してくるので、相手が強すぎると見えません。ただ、許可があれば、色々見えます。豹さんたちとのレベル差はあるんですけど、許可をもらえたので、色々見させてもらいました。ね?」
ミヤは笑いながら3人の方を見た。するとさっきまで騒いでいた3人は静かになり、動揺した。
「ほぉ、3人が静かになる情報か。嬢ちゃん、売ってくれ。ガハハ」
「ダメです!」「ダメだ!」「ダメ!」
3人とも全力で止めた。ミヤは笑いながら首を横に振った。
「そんなことしませんよ。皆さん自身もお互いのことは知らないんですから」
「ちっ。もったいない。金儲けできるぞぉ?」
とギルドマスターは笑っていた。
「じゃあ、わしの鑑定してみるか?自己紹介も兼ねて」
「良いんですか?許可だと知られたくないことも出るかもしれませんよ?」
「わしに知られたらまずいことなんてないぞー?だから構わん!」
その話を聞いて、
「ミヤちゃん、なんとしてもこのおっさんの弱みを握れ。絶対だぞ」
ミヤはえーという顔をしたが、鑑定を始めた。
「鑑定」
ピロン鑑定結果(同意済みのため、レベル差を無視し、より詳しい情報が鑑定できました)
ガンロック 50歳 レベル:98 ギルドマスター・元S級冒険者 称号:揺がぬ城壁 元王国最強の冒険者 妻の響とは元パーティーメンバーで、パーティーとしてもS級だった。勇者カインの次に王国最強の冒険者として知られていた。妻の妊娠をきっかけに引退し、現在はギルドマスターをしている。国王からの信頼もあり、若くして冒険者ギルドを任された。現在は冒険者ギルドで妻の響が秘書、娘のリコナが受付嬢として働いている。
「え、響さんが奥さん!?しかも娘さんのリコナさんが受付嬢!?どの人ですか!?それに50歳!?見えない…」
ミヤが思わず口にした言葉に全員が驚いた。
「嬢ちゃん、そんなことまでわかるのか!?」
「待て待て待て待て、響さんが、奥さん!?誰の!?」
「リコナさんがギルドマスターの娘さん!?はい!?」
「50歳…え?」
ミヤは一つずつギルドマスターに確認して言った。
「皆さん、落ち着きましょう、一つずつ聞いていきますね。まず、私が1番気になるところなんですが、ギルドマスターって50歳なんですか?」
「ミヤちゃん、1番はそんなことじゃない!」
虎が思わず突っ込んだ。
「いえ、申し訳ないですけどこの見た目で45歳はないでしょー。おかしくなったのかな…?」
ミヤは鑑定がおかしくなったのかと疑った。
「間違ってないわい!50だ!」
「そして、響さんが奥さんなんですか?」
ガンロックは少し沈黙した。
「おいオッサン、どーなんだ、言えー」
虎はガンロックの胸ぐらを掴み力強くゆすった。
「あ、あー、あってるぞ。面倒だから隠してたが…」
虎は泣き出した。
「俺は信じねーぞ、絶対」
すると騒ぎ声を聞いた響が入ってきた。
「騒がしいですよ、もー。どーしたんですか?」
「わしらが夫婦とバレた」
響は驚いた。
「え、なぜですか?」
「嬢ちゃんの鑑定でバレた」
はぁとため息をついて響はギルドマスターの隣に立った。
「はい、私とガンロックは夫婦です。これがバレたのなら、娘のことも?」
ガンロックは何も言わずに頷いた。
「仕方ないですねぇ、リコナも呼びましょうか」
そう言って響はリコナを呼びに言った。
「失礼します。ギルドマスター、お呼びでしょーか?」
リコナはまだ受付モードだった。
「リコナ、いつも通りでいいぞ。もーバレた」
「え、私たちのこと!?」
ガンロックと響は頷いた。
「なーんだ、じゃあ、いつも通りでいいんだね、らっくちーん」
「こら、緩みすぎです」
リコナは響に怒られた。
「改めて、私たち3人は家族です。ですが、内密にお願いします。ギルドで家族とバレると色々面倒なので。ちなみに国王様は知っていますので、そこは問題ないです。よろしくお願いします」
そんな話をされていたが、虎は全く話を聞いていなかった。
「響さんが、誰の奥さん?俺か?俺だよな?あんなオッサンじゃない。俺だよな?」
「虎さーん、帰ってきてくださーい。ギルドマスターの奥さんですよぉ」
「こいつには伝えてやろうかと思っていたが、タイミングがなかったんだ、すまん」
虎は椅子に座り直した。まだ信じたくないって顔をしていたが、一旦落ち着いた。
「そして、ギルドマスターは元Sランク冒険者で響さんとパーティーを組んでいたみたいです」
「ギルドマスター、Sランクだったんですか?初耳です」
「昔の話だよ。もー引退して20年くらい経ったかな?」
「そーですねぇ、リコナを妊娠して引退したので、それくらいですかね」
「だねぇ、私が20歳になったからねぇ」
「で、引退した後国王からの依頼でギルドマスター始めたってわけだ!だから今回の依頼もわしのところにきて、お前たちに流したってわけだ」
「なるほど。わかりました。すみません、虎のせいでかなり脱線してしまって」
「構わんぞ。とりあえず鑑定が本物だってこともわかった。国王のところへはいつ行く?」
「パーティー申請も終わったので、この後か明日の朝にしようかなと思っています。とりあえずあちらの都合に合わせますよ」
「そーか、なら国王に連絡を取ってみるか。返事が来たら伝えるから、少しゆっくりしててくれ」
そういうと、ガンロックは手紙を書き、リコナに渡した。
「急ぎで届けてきてくれ」
「はいはーい」
リコナがその手紙を持って王城へ向かった。いよいよ国王との謁見が近づいてきた。




