第24話 束の間の休息
朝になり、虎と豹が起きてきた。するとそこには汗だくの鷹と涼しい顔をしたミヤがいた。近づいて話を聞くと、鷹が
「スパルタ、死ぬ。ミヤは毎日これ、やばいよ」
と言った。それを見た豹と虎は自分たちが一緒じゃなくて良かった。と心の底から思った。そんな夜営と戦いを繰り返し、約3週間が経過した。今日、いよいよ王都へ到着する。
王城
「国王様、いよいよ本日黒豹の3名が鑑定の娘を連れてきます」
「ああ、いよいよだな。ふぅ…」
国王は大きなため息をついた。今日、いよいよミヤと対面する。国王は静かに初代の日記をしまった。
「やっと着いたなぁ」
「ですがご飯も充実し、いつも以上に魔物の討伐も楽でしたから、早く感じましたね」
「ご飯がいいだけで、こんな、違う?すごいよね」
黒豹の3人はミヤが入ってくれた恩恵をすでに感じていた。
「デッカーい、すごい、建物が全部大きい。人がいっぱい。食べ物もいっぱい。あれはなんですか?美味しそうな匂いがします。行っていいですか?あ、でもどうやって買ったらいいですか?」
ミヤは初めての王都に興奮していた。黒豹はキョロキョロしているミヤを見て、目を離すと絶対迷子になるなぁと思った。とりあえず国王への連絡の前に、ミヤのやりたいことを色々やらせてあげることにした。
「ミヤさん、まずどれから行きますか?」
「腹減ってるから、どれもうまそうだな。ミヤちゃん、決めていいぞ〜」
「コク」
黒豹の3人にそう聞かれたミヤは目を輝かせていた。
「あそこのお肉の店と、魚の店と、野菜も行きたいし、デザートも行きたい。どうしよう、幸せな悩みだー」
黒豹の3人はそのミヤの様子を見て面白くなった。
「じゃあ、全部行くかぁ」
「虎、何をバカなこと言ってるんですか、何軒かよったら、国王様のところへ行きますよ」
「でも、お腹、空いたよね」
虎と鷹はなかなかノリノリだった。そして、弟たちには甘い豹。
「はぁ、仕方ないですねぇ、国王様に言伝をお願いしておきましょうか。少しだけ遅れると」
「サンキュー、豹。任した。ミヤちゃん、まず肉から行こう!」
「行こう」
「はい、ありがとうございます。行きましょう!」
3人は豹に全てを任して走って行った。豹は仕方ないなという顔をして、国王に言伝をした。その後豹もミヤたちに合流した。
ある程度食べ歩きを終えた頃
「さて、そろそろパーティー登録しに行きましょうか」
豹がミヤたちもそろそろ満足しただろうと判断し、提案した。
「そうだなぁ、そろそろ行くかぁ」
「ミヤ、どう?」
黒豹の3人がミヤの方をみると、両手に串を持って幸せそうに食べていた。
(まだ食ってんのかよ!てか、さっき終わりそうだったのに、追加してるし)
流石の虎も苦笑いだった。
「絵、何ですか?幸せすぎて聞いてませんでした。ごめんなさい」
ミヤは恥ずかしそうに串を食べた。
「ごめんなさい、もう大丈夫です」
そう言うミヤの頰には、ソースがついていた。
「ミヤ、ついてる」
鷹が笑いながら言った。ミヤは急いで拭いた。
「では、改めて」
豹は改めて切り出したが、少し笑っていた。
「そろそろパーティー登録しに行きましょうか」
「はい、行きましょう」
ミヤは食べているときよりも嬉しそうな顔をしていた。
「ミヤちゃん、嬉しそうだな」
「はい、私の中でついに始まるって感じがするんです」
「そうですね、私たちも新たな出発ですね」
「これからよろしく」
そう話していると、ミヤが
「あ、パーティー名思いつきました。黒豹と全く関係無くなっちゃいますけど…」
「ぜひそれにしましょう!」
豹は食い気味に言った。
「まだどんなのか言ってませんよ?」
ミヤは笑いながら言った。
「黒豹でなくなるのなら、それで!私は皆さん真剣に考えていないのかと思っていましたから」
豹が心配していたことを打ち明けると、
「俺はそのままでいいと思ってた」
「同じく」
「実は私も」
虎、鷹、ミヤはそのままで行こうとしていたようだった。
「ほら、やはりそうでしたか」
豹が少し怒っていたが、ミヤが思いついた名前を伝えた。3人はすごく良いという反応をしてくれてミヤは嬉しそうだった。
「では、その名前でいきましょう」
「今思いついた割に良い名前になってたな」
「うん、かっこいい」
「良かったですー。思いつきだったのでどうかなと思ってたので。安心しました」
4人は改めて冒険者ギルドに向かった。
ミヤたちが王都に到着した頃、おじいちゃんの家
「そろそろ王都についたかのぉ」
「そーですね、そろそろ着いた頃ですかね」
2人は紅茶を飲みながら話していた。
「国王はミヤをどう扱うかのぉ」
「どーでしょう、今の国王は会ったことがないんでねぇ…」
おじいちゃんは何かを思い出していた。バリンという音がなった。
「おっと、コップが」
おじいちゃんがコップを割ってしまっていた。
「カイン、落ち着け。ミヤは大丈夫じゃ」
「えぇ、すみません。ふぅ」
「ちと、覗いてみるか?」
八雲がおじいちゃんにそう聞くと、おじいちゃんは不思議そうに首を傾げた。
「ミヤの現状をだよ。ミラー」
すると八雲たちの前に水の鏡が現れた。するとそこにミヤが映った。
「あーん」
ミヤが買い食いをしているところが映った。
「おー、うまそうに食うとるのぉ。何の肉じゃろ?」
八雲が普通に観察していた。
「なんですかこれ!?」
おじいちゃんは机の上から壊れた紅茶のカップを落とした。またパリンと割れた。
「これか?水とその他いろいろを混ぜたやつじゃ」
と説明する八雲。しかしおじいちゃんには理解できなかった。
「いや、こんな魔法知りませんよ!?」
「魔法かぁ…んー…」
八雲は何か言おうとしたが、やめた。
「まあ、普通じゃよ」
「それ、普通じゃありません」
おじいちゃんは苦笑いしていた。
「まあいいです。ミヤが無事で楽しそうにしているのがわかったので。ありがとうございます」
おじいちゃんは紅茶を入れ直し、それを飲みながらミヤを見守っていた。パーティー名をミヤが決めたシーンが映ると、
「いいパーティー名じゃないか」
「ですね」
2人も満足そうにしていた。




