第23話 初の夜営と特訓
シルバーファングを討伐した夜。
「ミヤさん、夜営は初めてですよね?」
「はい、初めてです。ちょっとワクワクしています」
ミヤは目をキラキラさせていた。
「見張りは俺らで回すか。豹、俺、鷹の順番で回すか」
「うん、それでいいよ」
「それでいきましょうか」
ミヤは状況がわからなかったので、手を挙げて質問した。
「はい、質問です」
「はい、ミヤさん」
虎は思わず学校の先生のようにミヤを指を刺して指名した。豹と鷹はその様子を見て楽しそうにしていた。
「夜営の時に見張りが必要なんですか?」
「そ、いつ魔物が来てもいいように1人は必ず見張りを奥のがセオリーなんだ」
「1人で足りるんですか?」
「もっと大所帯で移動する時は流石に1人じゃ無理だな。でも、俺たちみたいな少人数な場合は1人で大丈夫だ。それ以上必要な状況になったら、それこそお手上げだ」
豹は笑いながら言った。ミヤはさらに質問した。
「じゃあ、私が見張りをしなくていい理由はなんですか?」
すると笑っていた豹が真剣な顔をした。
「初めての夜営でいきなり見張りをすると、注意力が散漫になっちまうんだよ。目に入るもの全てに興味を持ってしまって、敵への意識が薄れて危険度が高まるんだよ」
「なるほど…確かに私今かなりワクワクしていろんな物が目に入っています」
ミヤがちょっと残念そうにすると、豹が急に笑い出した。
「まあ、今のも理由の1つだが、1番の理由は、ミヤちゃんには王都への道のりは楽しんでもらいたくてな。だから夜はしっかり寝て、昼間はしっかり楽しんでもらいたんだよ。だから、今回は俺らに任せてくれないか?」
ミヤは黒豹の3人の顔を見て、嬉しそうにした。さらに豹も補足するように話し出した。
「私たちも最初の冒険の時は舞い上がってしまって失敗したんです。それで寝不足になって次の日グダグダで大怪我しましてね。なので自分たちと行動する初めての方にはしっかり眠ってもらっているんです。怪我防止の為でもありますが、自分たちが経験した失敗を新たに経験させたくないんですよ。なので、今日は甘えてください」
ミヤは納得してお言葉に甘えることにした。準備などは一緒にできますよね?というミヤの言葉に負け、準備と片付けは全員で行うことにした。そしてミヤの担当が1つできた。それが料理だ。黒豹の3人は食べれたら良い精神が強く、調理をしない。魚も焼く、肉も焼く、野菜は食べない。という状態だった。そのため、ミヤがバランスを考えてご飯を作ることになった。今日は川に入り体が少し冷えたので、ポトフを作ることになった。今まで火魔法の適性がいなかったため、火おこしをしていたが、ミヤが入ってくれたので、難なく火を確保できるようになった。そして、料理。なんとミヤの料理はかなり美味しかった。見事黒豹の胃袋を掴んだのであった。
「おかわりありますからね」
というミヤの言葉に全員が無言で皿を差し出した。
「はい、どんどん食べてください」
作ったポトフはすぐに空っぽになった。黒豹の3人は満足そうにしていた。見張りの時間となり、ミヤは眠らせてもらっていた。
「ミヤちゃんが入ってくれることになって、本当に良かったなぁ」
虎が祈るように手を合わせた。
「夜営で美味しいご飯食べたの、初めてかも」
鷹も満足そうに話していた。
「さて、見張りはしておきますので、2人は寝ててください。今日は何時間ごとに回しますか?」
豹が確認すると、
「3時間くらいにするか?ミヤちゃんも疲れて9時間くらいは寝るだろ?」
と虎が言った。豹と鷹も了承した。そこから3時間ずつ交代しながら見張りをすることになった。
3時間が経過し、豹と虎が交代する時間となり、虎が豹の方へ向かった。すると近づくにつれ、カランコロンという音がなっていた。虎が不思議そうに近づくと豹がミヤが修行と言ってしていた石割りに挑戦していた。豹が昔からこっそり特訓していたことは知っていたが、まさかミヤの修行に挑戦するとは思っておらず、虎は驚いた。
「豹、交代の時間だ」
豹はその言葉にとても驚き、振り返った。
「見ました?」
豹は恥ずかしそうに聞いた。すると虎が
「兄貴の努力する姿なんて見慣れてるからなんも思わねえよ」
と言った。豹は少し照れながらも、にっこりと笑った。
「虎、ミヤさんは体術に関しては私たちより上かもしれません。2時間ほどやってみましたが、ミヤさんほど割れません」
豹は悔しそうに話したが、虎は逆だった。
「いやいや、兄貴、2時間でそこまでできる兄貴も異常だぞ?」
と笑いながら言った。豹もかなりの実力者なので、初めてでもある程度できたのだ。今までの経験と知識から、ミヤの修行を見て、ここまでの結果を出していた。
「兄貴は案外自己評価低いからなぁ。もっと自信持てよ!」
虎の言葉に複雑な気持ちになった豹だが、弟の言葉は信じる性格なので、案外すんなりと自信が持てた。
「では、虎が来てくれたので水を浴びてから寝ますね。ありがとう」
そう言って川の方へ歩いて行った。その際もどのように手を動かすか、どう踏み込むか考えながら歩いていた。その背中を見た虎は、
「はは、やっぱり兄貴はすげーや」
と自慢の兄であることを再確認していた。
さらに3時間後、虎と鷹の交代の時間、鷹が虎の方へ歩いて行った。すると先ほど同様、カランコロンという音がしていた。そして虎も豹と同様に石割りの修行をやっていた。鷹は走っていき、自分もやるというように隣に並んだ。虎は交代の時に豹もしていたと話し、鷹と笑い合った。
「本当兄ちゃんたちはすごいよねぇ。やってみようと思ったらすぐ行動できるんだから」
「まだまだ強くなれるかもしれないって思ったら勝手に身体が動くんだよなぁ。かっこよくね?世界最強とかって」
と笑いながらいった。だが、そういった言葉を素直に言える虎を鷹は尊敬していた。
「そうだね、じゃあ、その兄ちゃんを倒したら、僕が最強になるかな?」
と冗談を言い合った。
「ばーか、豹の方が断然つえーから、俺に勝っても2番だ。残念だな」
と笑いながら話していた。するとカサッと気が揺れる音がきた。2人は警戒していた。するとミヤが出てきた。
「お、おはようございます」
ミヤは隠れながら挨拶をした。なんとミヤはもう起きて来たのだ。
「お、おはよう、もう起きたの?」
「早いね、まだ寝てていいよ?」
虎と鷹心配して声をかけた。しかしミヤは、
「あ、いえ、いつもこれくらいに起きて修行始めるんです。でも、薪割りじゃなくて石割りなのでそんなに時間かからないいの忘れていました。散歩でもしようかなーって思ってたらそしたら2人の姿が見えたので寄ってきちゃいました」
すると、鷹がミヤに石割りの修行一緒にしようと提案した。ミヤは喜んで承諾し、一緒にやることになった。虎は石割りを丸3時間挑戦していて疲れていたので、朝まで寝た。




