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第22話 初体験、初戦闘

王都へ向かう途中の森

「ミヤちゃん、行ったぞ!」

「はい、準備OKです」

虎がミヤの方へ何かを追い込んでいた。

「ミヤ、もう少し引き付けて」

「後少し…今!」

ザバーンという音と共に、水飛沫が舞った。

「とれたー!」

ミヤは大きな魚を捕まえていた。4人は川で昼食を確保していた。

「やっと初ゲットです」

ミヤは半泣きで笑っていた。それもそのはず。1匹捕まえるのに午前中を費やしていた。黒豹の3人は取り慣れていた為、かなり早く確保できた。ミヤだけ確保しておらず、黒豹の3人が分けようとすると、自分で取ると言い張って、今の時間までかかったのだ。その間黒豹の3人も食べるのを我慢して付き合っていた。

「やっと食えるぜ〜」

「長かったです…」

「ミヤ、頑固」

黒豹の3人はヘトヘトになっていたが、ミヤは初めての経験でとても楽しかったようで、疲れではなく、達成感を感じていた。

「初めて自分の手で取った魚、嬉しい」

ミヤは今まで釣りはしたことはあったが、手掴みで取るのは初めてだった。黒豹の3人も初めてやった時は苦労した為、気持ちがよくわかった。が、ミヤが全く疲れていないことに驚いていた。

(薪割りが効いてるのか?)

3人は同じことを思っていた。毎日やっていると言っていた薪割り、それの効果なのかと思っていた。すると、虎があることに気づいた。

「あれ、ミヤちゃん、薪割りって今後どーするんだ?」

王都に向かう道中、薪割りの道具がない、豹と鷹も、確かに。という顔でミヤを見た。

「あ、それなら代わりに石割りをするんですよ!薪を割りすぎた時にやっていたんです」

それを聞いた鷹が恐る恐る確認した。

「ミヤ、それってどんなことするの?」

そうすると、ミヤはその辺にある石を拾い上げた。

「これを割るんです」

ミヤが説明を始める前に黒豹の3人は

(あ、普通な感じの修行だ)

と思った。しかしそれが大間違いであったことを知る。

「えっとですね、これをこんなふうに投げて…」

と言うとミヤはその石を上に投げた。その後、足を1歩引き、拳を構え、ふぅーと息を吐いた。

「ふっ」

とミヤが息を吐き出しながら拳を前に出すと、バリ。と言う音と共に石が粉々に砕けた。

それを見た黒豹は、

(あ、やっぱり人やめてた)

と思った。

「んー、やっぱりまだまだだなぁ…」

(え?今ので?)

「おじいちゃんなら、寸止めで粉々なのに…」

(寸止めで粉々って、拳圧で粉砕って事!?そんなの化け物じゃねーか)

「ミヤさん、おじいさんは何者ですか?」

豹があまりにも気になって聞いた。するとミヤが答えた。

「それがですね、おじいちゃんを鑑定したことがあるんです。そしたらですね、名前と人間ということしかでないんです。レベルとか称号とかなーんにも。よっぽどレベル差があるんでしょうねぇ」

「承認だっけ?俺らの時みたいにしたら、どーなんの?」

「ダメなんです。見てもいい?と聞いたことがあって、いいぞって言われたんですけど、変わらなかったんです」

少し前、魔法が使えなかった時に行った鑑定だから、まだ扱えていなかったのかと思った。家に帰ったらもう1度鑑定してみようと思ったミヤだった。そして豹はずっと考え込んでいた。

「どしたの?豹?」

虎がその様子を見て確認した。

「いえ、ミヤさんのおじいさん、どこかで見たことがある気がするんですよ…面影というかなんというか…」

豹がそう悩んでいると、また虎の勘が発動した。

「ミヤちゃん、じいさんの名前なんて言うんだ?」

「カインって言います」

「お、勇者様と同じ名前かよ!贅沢だなぁ」

虎のその言葉を聞いて、豹は昔見た勇者カインの肖像画に似ていたということを思い出した。

(まさか、勇者カイン!?いえ、ですが勇者カインは魔王を封印して命を落としたはず…しかも500年前の人物。有り得ませんね。雰囲気が似ていただけでしょう。勇者に憧れた親御さんがおじいさんにカインと名付けたのでしょう。まあ、気になっていたことが解決してスッキリですね)

「さて、魚を焼きましょうか」

「はーい」

全員で捕まえた魚を焼いていると、森の奥から何かの鳴き声が聞こえた。

「何か、来る」

鷹の言葉で全員が臨戦体制になった。すると奥から狼型の魔物が現れた。

「シルバーファングですね。狼型の魔物で、素早い動きをします。あとは群れで襲ってきます。数がまだわかりませんので、警戒を緩めないでください。ミヤさん、変な情報などは出てきますか?」

「見てみます。鑑定」

ピロン鑑定結果 シルバーファング 狼型魔物 状態:興奮 群れで獲物を襲う魔物。弱点:火・雷

特にありません。弱点は火と雷です」

「了解です」

「オッケー」

奥からさらに9匹のシルバーファングが出てきた。こちらも鑑定に問題はなかった。

「残りも問題ありません」

「合計10体。囲んできましたね。さて、やりましょうか」

(ミヤさん、この短時間で全て鑑定したんですね、すごい)

「前方5体は俺と豹、後方は鷹とミヤちゃんに任せるぞ」

(すげーな、鑑定があるだけで、組み合わせが決めやすいな。しかもミヤちゃんがいてくれるから足りなかった火魔法も加わった。最高じゃねーか)

「コク」

(すごい、いつもの倍は早く状況判断ができた。やりやすい)

「了解です」

(皆さんすごい、状況判断も指示も的確です。これが冒険者。すごい)

それぞれが思うところがあった。そして戦闘が始まった。豹と虎はいつもの戦い方で攻めた。

「ウォーターボール」「サンダーボルト」

シルバーファングは水を避けようとしたが、その避けた先に虎の魔法が飛んできた。

「グギャ」

虎の魔法を避けようとすると水魔法が飛んでくる。どちらも避けることはできず、水を浴びたシルバーファングに電気が走った。

「グギャー」

虎と豹はあっという間に5体倒した。一方ミヤと鷹もいい連携を見せた。

「ミヤ、どうする?」

「鷹さん、アースウォールで5体を囲むことはできますか?」

「できるよ?そうすればいい?」

「はい、お願いします」

「アースウォール」

鷹の魔法がシルバーファングを囲んだ。その後ミヤが魔法を準備した。

「鷹さん、1箇所穴を開けてもらうことは可能ですか?」

「うん、どのくらい?」

「んー、私の魔法が通るくらいですかね。そんなに大きくなくていいです。開けてもらえたサイズに合わせますので」

すると1箇所だけ穴が空いた。

「ファイヤーボール!」

その穴にミヤが魔法を叩き込んだ。アースウォールの中でミヤのファイヤーボールが爆発した。1撃で5体を倒してしまった。それを見た黒豹の3人はあんぐりとしていた。ミヤはというと、

「やっちゃったー、また力加減間違えたー。まだまだ修行が足りないなぁ」

と頭を抱えていた。ミヤはまた興奮して力加減を間違えたようだ。

「ミヤさん、すごいですね。1撃ですね」

「ミヤちゃん、でも今力加減間違えたって」

「ミヤ、アースウォールが壊れるかと思った。かなり分厚くしたのに」

黒豹の3人は苦笑いで言った。ミヤは恥ずかしくなり、顔を隠した。

「ごめんなさーい、次は気をつけますー」

何はともあれ、王都への道のりでの初戦闘、出足は順調だった。

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