第18話 秘密の共有
その夜
「ミヤは覚悟を決めたようじゃぞ、カイン」
おじいちゃんは少し寂しそうな顔をしていた。
「そうですか。ついにこの時がきましたか」
「成長は早いもんじゃな」
「そうですね、あっという間でしたね」
紅茶を飲みながら談笑する2人。
「あの力が悪用されないかだけが心配です」
「少しでも異変を感じたら、わしがどうにかするよ。忘れさせたり、近づけないようにしたり。最悪は、な」
八雲はニコッと笑ったが、おじいちゃんは寒気を感じた。
「あなたは本当にやり兼ねませんからね…私の時のように」
おじいちゃんと八雲の間には何かあったようだ。
そして黒豹の3人も話し合っていた。
「今回はミヤちゃんに救われたなぁ」
「ええ、ミヤさんがいなかったら、逃げの一手でしたね」
「うん、ミヤの魔法すごかった」
3人はミヤの魔法のすごさを話していた。そして、ミヤをどのようにして王都へ連れていくか考えていた。
「実はな、俺、任務とかじゃなく、ミヤちゃんとパーティー組めねーかなと思ってるんだ」
「あれ、虎と同じだ。俺もミヤと組みたい」
「おや、あなたたちもですか。珍しく全員の意見が合いましたね」
黒豹の3人は国王からミヤを王都に連れてくるように言われていた。しかし、その目的は聞かされていなかった。その任務に迷いが出てきていた。ただ、パーティー登録をするには王都の冒険者ギルドに行く必要がある。結局は王都に行く必要があった。そしてもう一つ。
「でもよー、パーティーを組むってなると、俺たちのこともだけど、ミヤちゃんの鑑定のこともどうするかだよなぁ」
「それなんですよ。私たちから言うのも変ですし、実は任務で聞いていました。と話してしまうとミヤさんに警戒されてパーティーが組めなくなってしまいます…それでは本末転倒なんですよね…」
「虎、何か、ない?」
鷹がいつもどうにかなってしまう虎の感を頼って。しかし今回は流石の虎もいい案が浮かばなかったようだ。
「今回ばかりはねーなー…なーんも思いつかねぇ…」
「まあ、時間は1ヶ月ほどありますから、しっかり考えましょう」
「コク」
「だな、また考えようぜ。とりあえず疲れた。寝る」
3人は疲れ切って眠った。
翌朝
黒豹の宿の扉がコンコンとなる。
「みなさん、おはようございます。ちょっとお話があってきました」
黒豹の3人は前日の疲れでまだ寝ていたが、ミヤはケロッとしていた。
「ミヤさん、お元気ですね。どうしましたこんな朝早くから」
豹がなんとか起きてきて対応した。が、ほとんど寝ている。
「皆さんに秘密を教えてもらいましたよね?なので代わりにというかなんというか、私の秘密もお話しようと思って来ました」
その言葉を聞いて一気に目が覚めた豹。
(まさか鑑定のことを話すつもりですかね。どうしましょう、知っていたというべきか、知らないふりをするべきか…)
「とりあえず2人を起こしますね、少し待ってください」
豹は焦りながら2人を起こした。
「虎、鷹、ミヤさんが来ていますよ。だらしない姿を見せないでください」
虎と鷹はムクッと起きて、背伸びをした。
「おはよ」
「おはよーっす。どうしたー?」
虎はまだ眠そうに聞いた。
「豹さんには言ったんですが、私の秘密を皆さんにお話ししようかなと思ってきました」
その言葉を聞いて、虎と鷹も一気に目が覚めた。
(鑑定のことかな?反応はどっちにする?どうする?豹、虎)
(豹、鷹、どーする?)
(わかりません、急に来られたので頭の整理がついていません)
3人は目で会話をした。だが結論は出なかったが、とりあえずミヤを部屋の中に入れた。どうやって話を切り出そうか迷っているミヤ。もし鑑定の話だとして、どう反応しようか必死に考えている黒豹。謎の緊張感が漂う。しかし、こういった状況を解決してくれるのはやはり、虎だった。
「ミヤちゃん、昨日の疲れとか残ってないの?」
「あ、はい、思ったよりも全然元気でした!でも、やっぱり少しは疲れがあったのか、薪割りいつもより30分くらいかかっちゃいました」
「今日もやったんだな」
(今日も300やったんか!?)
「毎日えらいですね」
(この子は人間ではなくなったんですかね?)
「ミヤ、すごい」
(なんか、ミヤ、怖い)
「昨日はみなさんが助けてくれたから、怪我もないですし、あまり疲れなかったのですよ。少しの筋肉痛だけです。本当にありがとうございました」
その後も少し世間話をした後、ミヤが本題を切り出した。
「それでですね、本題に戻りますと、みなさん、2属性持ちって秘密を教えてくれたじゃないですか?なので私の秘密もお伝えしようかなと思いまして…」
「そんなの別に大丈夫だぞ?あの場で隠し通してたら、命の危機があったってだけだしな。なあ、豹」
「そうです、あの状況で隠している方が私たちにもメリットがなかっただけです」
「コク」
黒豹の3人はできることなら、鑑定の話題を出して欲しくなかったようで、なんとか言わなくていい状況を作ろうとした。が、ミヤは御構い無しだ。
「いえ、それは私が嫌なんです」
ミヤの意思は固く、話さないと帰らないくらいの雰囲気だった。
「聞くしかないか」
「ですねぇ」
「うん」
黒豹の3人も覚悟を決めた。と言うよりも諦めた。
「実は私、鑑定という魔法が使えるんです。物や人を鑑定して、その情報を確認することができるんです。なので、ボブゴブリンやゴブリンジェネラルと戦った時、色々と情報を知ることができたんです。怖いですよね…。あ、でも皆さんのことは鑑定していないので、心配しないでください。これが私の秘密です」
黒豹の3人は黙っていた。少しして虎が口を開いた。
「ミヤちゃん、その鑑定ってどこまでの情報が見えるんだ?」
「あまりにもレベル差とか実力差があると名前くらいしか見えないことがあります」
ミヤの説明をきき、顔を合わせた黒豹。まだどうするか迷っていたようだが、虎が
「ミヤちゃん、実は俺たちもまだまだ秘密があるんだよ。鑑定してその秘密がわかったら口に出してもいいから、見てくれよ。その内容次第で、俺たちも謝らないといけないことがあるから…」
と、急に自分たちを鑑定するように言った。ミヤはまさかそんなことを提案されると思わなかったため、驚いていた。
「虎、急に何を言っているんですか。まだどうするか話していないじゃないですか」
「そう、ミヤに伝えるかまだ決めてなかった」
「そ、だから鑑定の結果次第で謝ろうぜ!で、謝ったあとで俺たちの気持ちを伝えようや」
虎は鑑定のことを知っていたかどうかをミヤの鑑定でバレるかどうかで決めようとしていた。ミヤはどういうことかわからなかったから、とりあえず虎のいう通りにしようと決めた。
「虎さんの感を聞いていたら、うまくいくんですよね?豹さん、鷹さん」
「ま、まあ、うまくいくことが多いですが、全くうまくいかないこともあります…」
「そう、本当に苦労することもある」
豹と鷹は素直な気持ちを答えた。
「じゃあ、私は虎さんの勘を信じますね!失礼します」
「おう、どうぞー」
「鑑定」




