第16話 決着。そして…
ミヤは今までの黒豹の戦いなどから魔法への理解が深まり、自分で考えて魔法を習得した。
「いっけー!」
ミヤはファイヤーランスをゴブリンジェネラルに向かって放った。しかし気合いを入れすぎてゴブリンジェネラルの頬をかすめるだけになった。
「あっ、やっちゃったー」
ミヤはかなり焦った。と言うより、かなり恥ずかしかった。しかし黒豹の3人は
(ミヤさんはファイヤーボールしか使えなかったのでは?急になぜ新しい魔法を?)
(ミヤちゃん、急にどうした?そもそもそんな簡単に新魔法なんて無理だぞ?)
(ミヤ、驚きすぎて、声が出ないぞ)
とかなり驚いていた。それはゴブリンジェネラルも同じだった。なぜなら、ミヤの魔法がかすめた頰がまだ治っていなかったからだ。つまり、今の魔法は自分を倒しうる魔法だと言うことだった。
「オイ、マテ、イマノハ、ナンダ!ソンナマホウ、シラナイ!」
ゴブリンジェネラルはかなり焦っていた。
「あれ、こいつ今、相当焦ってんじゃね?もしかして今の魔法効いてるんじゃないのか?」
虎の勘はやはりすごかった。
「おや、頰の傷がまだ治っていませんね。先ほどの魔法ならいけるかもしれませんよ」
「ミヤ、すごい」
黒豹の3人の言葉を聞いて、ミヤはホッとした表情を見せた。
「よかったー、これで虎さんをしんがりにさせなくて済むんですね?よし!」
ミヤは何よりも虎をおいて行くことが嫌だったようだ。
「ミヤちゃん、もう1回いけるか?」
「任せてください、次は外しません」
その言葉を聞いて、ゴブリンジェネラルは焦りまくっていた。
「マテ、ミノガシテ、クレ。モウ、ココカラ、ハナレルカラ。ミノガシテ、クレ。タノム」
しかしミヤは魔法の発動を止めない。
「あなたがいたら、虎さんが命をかけないといけないんです。他の皆さんの命も危険に晒すことになります。ごめんなさい。そして、私の成長を手伝ってくれてありがとうございました。さようなら」
ミヤは笑顔でそう言ったが、どこか虚しそうにも見えた。
「ファイヤーランス!」
今回はゴブリンジェネラルの胸を貫いた。ゴブリンジェネラルは声をあげる間もなく絶命した。それを確認できたミヤは倒れた。黒豹の3人は心配して走ってきた。
「ミヤちゃん、大丈夫か!?」
「ミヤさん、大丈夫ですか!?」
豹と虎は駆け寄って声をかけた。しかし鷹は、心配しすぎて、駆け寄ってすぐ、ガバッとミヤを担いだ。
「2人とも、早く村に帰るよ、走って」
というと鷹は2人をおいて走り出した。ミヤは恥ずかしくなって、
「ちょ、鷹さん、大丈夫ですよ、ちょっと気が抜けただけで。おろしてもらって大丈夫ですよ」
と言ったが、鷹は心配すぎて無視し、走り続けた。豹と虎はこうなった鷹はもう聞かないとわかっているのか、笑いながら追いかけていた。虎は後始末をしていないことに気づき、一旦戻り、ゴブリンジェネラルの素材を回収し、あたりをゴソゴソとしてからもう一度追いかけた。ミヤの村まで走り続けた鷹。家の前に着いてふと我に帰った。
「ミヤ、ごめん、焦って、心配で、ごめん、えっと、本当ごめん」
急いでミヤを降ろす鷹。後ろから追いついてきた豹が
「鷹、落ち着きましたか?」
と笑いながら聞いた。
「うん、ごめん」
鷹は申し訳なさそうにしていたが、
「鷹さん、心配してくれてありがとうございます。はずかしかったけど、結構休めました」
「ミヤさん、鷹は仲間思いで、心配性なんです。私たちが怪我した時もなかなかやばいんですが、今回はミヤさんのことが心配になってしまったみたいです。申し訳ありません」
豹が鷹のフォローを言っていると、後ろから虎が帰ってきた。
「おーい、お前ら、素材取ってきたぞー。今度報告に行くぞー」
虎はしっかりと素材を回収していた。その素材はマジックバックに入れていた。
「これ、なんですか?」
ミヤはマジックバックを見て不思議そうにしていた。それもそのはず。マジックバックは魔道具と呼ばれ、まだ世間には浸透していないものだった。
「これはマジックバックって言って、中に色んなものを入れることができて、時間を止めることができるから素材が腐らないんだよ。重宝してる」
「どうやってできてるんですかね?」
ミヤはもっと知りたくなり聞いたが、
「それがな、俺らも借り物だから、仕組みとか全然わかんねーんだよ。ごめんな」
ミヤは少し残念そうにしていた。すると、家の中からおじいちゃんが出てきた。
「おや、おかえり。中でご飯でも食べるかい?」
おじいちゃんはそう言いながら、ミヤたちの姿を見て驚いた。
「なんでそんなに怪我してるんじゃ!?ゴブリンにそんなに苦戦したのか!?」
と心配していた。ミヤは少し嬉しそうに
「おじいちゃん、ご飯食べながら話すね。今日あったこと」
ボブゴブリンと戦ったこと、ゴブリンジェネラルと戦ったこと、そして、新しい魔法を習得したこと、色々話したいことがたくさんあった。急いで家の中に入ると、八雲もいて、紅茶を飲んでいた。ミヤたちの姿を見て、
「お疲れさん」
と一言だけ言った。しかし虎の姿を見た八雲は、
「お前さんだけひどい怪我だな、大丈夫か?」
と言われて、自分の怪我の状態に気づいた虎。そして虎だけ回復していないことに気づいた豹。ミヤよりも酷い状態の虎を置いてきて走って帰ってしまったことに気づき、ショックを受ける鷹。黒豹の3人は焦って回復魔法をかけたり、ウロウロしたり大変だった。そんな中、ミヤは八雲に相談をする。
「八雲さん、ひとつご相談が…」
「どうした?」
と聞き返す八雲。その場では言いにくいことだったのか、ミヤは八雲に外にきてもらうようにお願いした。
「実は、黒豹の皆さんが私に自分自信の秘密を教えてくれたんです。だから私も自分自身の秘密を3人に伝えようか迷っていまして…」
八雲は黙ってミヤの話を聞いてあげていた。
「なので、えっと…鑑定のことを打ち明けようかなと…」
ミヤは悩みながら話した。八雲に相談をしたのも、自分の鑑定を知っているのは、八雲だけだった。今までずっと隠してきた。だが、八雲にはなぜかバレていたので、相談できる相手は八雲だけだった。ミヤは戦い中ずっと悩んでいた。黒豹の3人はミヤを助けるために自分たちの秘密を教えてくれた。そのことが頭から離れず、自分のことも伝えるべきなのではないかと。ミヤの悩みを聞いた八雲は
「ミヤ自身は今後どのように生きていきたい?あの3人と行動を共にしたいという気持ちがあるのなら、先に話しておくほうがいいと思うぞ。隠し通すことはおそらく無理じゃ。いずれバレるときがくる。そのときに関係が悪化してしまうよりも、今のうちに話しておいて、それでも認めてくれるのであれば、少しは安心できるんではないか?」
八雲の言葉を聞き、改めて自分の気持ちを確認するミヤ。そして結論を出した。
「私は、冒険者になりたい。これは今も変わりません。そして今後もパーティーを組むなら、黒豹の3人がいいと思いました。今後いろいろな冒険者の人に会うかもしれませんけど、やはり、今回の冒険で助けてもらったことや、いろいろなことを知っている黒豹の皆さんと今後も行動を共にしたいと思っています」
ミヤの顔は真剣だった。
「では、明日にでも3人には話すといい。じいさんにはわしから伝えておくよ」
「わかりました。ありがとうございます」
2人が家の中に戻ると、4人はご飯を食べていた。
「すまん、腹減りすぎて先に食べさせてもらってるよ」
「申し訳ない、私も我慢できませんでした」
「ごめん」
その姿を見たミヤは改めてこの3人と一緒にいたいと感じた。




