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もんもんぐんぐん
宇宙の特異点からほど近く。
雪に覆われた惑星で、ひとりの女が酒場を営んでいる。
客は来ない。こんな辺鄙な場所を訪れる者などいないのだ。
だが、その女は今日もひとり店を開け、誰かを待ち続ける。
そして、夜も更けた頃、諦めたように暖簾をしまう。
「……馬鹿野郎」
ぽたり、と涙が落ち、凍りついた。
あれからどれくらいの年月が過ぎたのか、特異点付近では時間の流れが違うという。
飲み干したはずなのに。
胸の奥にはまだ熱が残っている。
外では地吹雪が荒れていた。
雪はまるで拳のようだった。
窓を叩き。
屋根を殴り。
心を打ち据える。
みれん殴り雪。
誰が名付けたのか。
実によく出来た名前だった。
雪を踏む音を聞いた気がして、女は立ち上がり、戸を開ける。
吹雪の向こうには誰もいない。
もんもんぐんぐん。
忘れようとして忘れられないものを、辺境で待ち続けるひとりの女がいた。




