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10話

「誰だ...誰だ...ちくしょう...」

 ウイスタンは便座に座りながら頭を抱える。

 必死に記憶をたどっているのだろう。


「ビリー...あいつはジェイと一緒...」

「カート...あいつは俺と一緒に行動していた...」


 ウイスタンはぶつぶつと緑色の光に照らされながらしゃべる。


「カートは部屋の時...写真を見つけてくれた...」

「ビリーは監視をしていた...そしてアドナスは演技っぽいと...」

「カートはビリーが立ってぶち殺したと言っている...」


 ウイスタンは深くため息をつき、涙目で言った。


「わかんねえよちくしょうが...もう一回だ...」




 アドナスはひざまづきながらロープを締める。

 


 ウイスタンはもう一回繰り返す。

「ビリーはジェイと一緒に監視していた...」



 ビリーはウイスタンとカートを見ながら、ガサガサしている音に苛々している。



「カートは俺と一緒に行動...」


 

 カートはアドナスをじっと見つめる。



「カートは一緒にいるとき写真を見つけてくれた...」

「ビリーは監視をしていた...そしてアドナスは演技っぽいと...」

「写真...見つけてくれた...」





「おーい」

「部屋にこんなん落ちてたけど」



(カートはポケットに手を突っ込んで”ちょっと待ってくれ”と言わんばかりにウイスタンを見てる。)





 ウイスタンの汗がピタリと止まる。

 体が震え、顔を手で押さえつける。


「あ...」

 

 


 




 白い煙が奥の方からもくもくと出てきて、血が流れる。

 目からどんどん流れる。


 ビリーは目を大きくして口を歪ませた。

 アドナスは地面に倒れこみ、人形のように動かなくなる。

 

「...」

 カートはアドナスを見ながらロープをほどいた。


「くそが...!」

 ビリーはカートを睨みつける。

 全身から汗が出て歯がギシギシ鳴る。


「清々しい気分だ」

 

 言いながらゆっくりと立ち上がる。

 服には返り血がつき、黒い服が赤く染まっている。


「ふぅ...同じ演技をし続けるって大変だ。特にキャラを作るのは...」

 ビリーは歯を鳴らしながらカートを睨みつける。


「クソ野郎が...!」

「負け犬の遠吠え。所詮アドナスのお前に対する思いは...」


 カートはズボンについた埃などを手でたたく。

 その姿は何とも舐め切り、勝利を確信しているようだった。


「薄っぺらいものだったんだ」


「ぐ...!」


「というか僕は手を下してない。殺ったのはアドナスとケニー以外だけだ。出て来いよ」

 カートの視線の先には小さい穴が開いた段ボール箱がある。

 段ボール箱はガサガサと、ゴキブリのように動く。


「ベッチ君だ」

 

 思いっきり段ボール箱の中から刃物の先が飛び出す。

 次々と穴は開いていき、カスがそこら中に落ちる。


「ん...んー!」

 中からは異臭と人の足が出てきた。


「あああああ!」

 段ボール箱は思いっきり千切れ、中からはベッチが出てきた。

 

 ベッチはズカズカとカートへ近づいていく。


「ベッチ君は僕たちに薬を回してた。最高のパートナーだ。ケニーとアドナスを殺したのはこいつだよ」


 ビリーは目を大きくしてベッチを見ることしかできなかった。


「ベッチ君...こいつを痛めつけてくれ」

「分かった。ウズウズしてたんだ...」


 ベッチはビリーへ近づいていく。

 ビリーの前には巨大な影がどんどんと近づく。


「あ...ああ...」

 ビリーは震える。

 目からは涙が零れ落ちる。


 ベッチは笑う。

「遊ばせてくれよ」


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