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孤独だった僕と恋する少女―3

≪坂ノ下夏≫


 昼間のカンカンとした暑さの残る夕方の帰り道。住宅街を縫うように走る道はゆるやかな斜面となっており、上へ上へと向かうあたしの足取りは今日の疲労で鈍重となっていた。上の方からシャーッと下ってくる自転車のおっさんが恨めしい。

 あたしは今日の体育の授業での自分を後悔していた。

 らしくもない。いつものあたしだったらあんな挑発の言葉なんて聞き流していたはず。望月の挑発に乗って無鉄砲なやる気をみなぎらせて、最後の最後でシュートを外す――クラスで浮いているあたしがかっこつけようとして、なんて恥ずかしい展開なんだろう。


『かっこ悪いんじゃない? 男子からモテないわよ』


 そうだ。タイミングが悪かったんだ。よりにもよって上乃がついこないだ望月に振られたのがいけないんだ。全く人の気持ちも考えろってんだあのバカ……。


「……バカはあたしか」


 自分の気持ちを伝えようとしない奴が、自分の気持ちを理解してくれなんて都合がいいにもほどがある。それに上乃の気持ちを理解していないのはあたしの方だ。上乃は望月と付き合いたくて告白したのに、それを邪魔したのはあたしなんだ。


「ごめん上乃……でもしょうがないじゃん。私はこのままがいいんだから」


 夕暮れのオレンジ色に染まりゆく空にひとりごちた。バスケで最後にあたしの投げたボールがゴールまで届かなくても、こうして空に向けて言葉を投げかければ、今どこにいるかもわからない上乃に届きそうな気がしたから。


『おまえもあいつの方に飛び込んで行けって』

「そんなの……恥ずかしくてできるわけないでしょ」


 これまでずっと、好きなものを遠ざけてきた私にそんなこと……。

 車道をトラックが通り過ぎた。トラックの走行音があたしの溜息をかき消してしまう。歩く斜面は勾配を増していき、やがては高台へと続く坂道となっていた。


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