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第32話 マジカルんステッキ発動?!美魔女、前に立つ






 無数のドラゴンたちの的になったボクたち。彼らは一定の距離を保っている。少しでも彼らの癪に触ることがあれば、あのペンドラゴンのようなブレスを噴き出してきそうな気配だ。



「ねぇ、ジェイス……、この状況どうなってるの?」


 コソコソとボクに耳打ちをされるアンジュさま。彼らを刺激しないように小声で話されますが、目の前のドラゴンが眉根を寄せたように睨んで来てます。


「ア、アンジュさま、前を見た方が……」


 ボクはそう話すと、息を呑んだ。そんな沈黙の睨み合いが続く中、痺れを切らしたマリオが前に出た。


 え、マリオさん?!

 無謀すぎますって!!


 咄嗟にボクは手を出したが、ちっぽけなゴマ人のボクが巨人族のマリオを止められるわけはなくて。



「おい!お前らペンドラゴンの仲間だろ?なぁ、アイツどこにいるか知ってるか?」


 この緊迫した状況を全く理解してないです。


 無鉄砲なマリオにボクは頭を抱えた。




 ───────────ドシン。


 ──────ドシン。


 ──ドッゴン。



 群れの中からひと際、大きいドラゴンがこちらへと進む。威風堂々。その言葉が頭に浮かんだ。そのドラゴンを恐れているのか、畏怖しているのか、ドラゴンたちは頭を下げ道を開く。


 ボクたちの前に歩み出たドラゴンは顔や身体は傷が無数にあり、幾千の戦いに挑み勝ち抜いてきた風格と佇まい。鱗はペンドラゴンのような白銀ではなく、いぶし銀のよう。



 初めて見たドラゴンのはずなのに。



「───ペンドラゴンに、似てる」



 そのボクの零した言葉に皆の視線が集まった。


「え?まさか…そうな…の?」


「ゴマ人、嘘だろ?」


「ジェイス、コイツのデカっかいのが───」



 ボクへと向いた視線が一斉にいぶし銀ドラゴンへと向き、皆息を吸う。そして、



「「ペンちゃんなの?!」」


「「これが、羽トカゲか────!?」」


「「お前なのか!!ペンドラゴンっ?!」」



 巨人たちの咆哮が天へと穿たれた。



 皆さん、盛大に勘違いなさってますよ



 いぶし銀を穴が空くほど見つめついる方たちの背に声を投げる。


「───アンジュさま、オースティンさん、マリオさん……」



 頭が後ろを向いた。


「ん?」


 ちらっといぶし銀ドラゴンを横目で見るアンジュさま。そのドラゴンに対し、愛想笑いを浮かべ、再度ボクへと視線を戻された。


「なんか、ペンちゃん雰囲気変わったわね」


 凄いわ。と小声で感心なさっているアンジュさま。


「いや、どう見ても……違うドラゴンですよ?」



 ボクはしっかりと否定させて頂きました。


 見間違えるのは、

 友としてありえないですからね



「「「え!!!」」」




 ──ドンッ!!


 地が抉れた。

 衝撃に小石が飛び、ボクの傍らをら掠める。


「ごちゃごちゃと、五月蝿い下級種族ども……」


 耳ではなく頭に直接流れ込んでくる。

 金色の瞳がグンと高くなり、その位置からボクを見下す。


「この、声は……」


 いぶし銀ドラゴンと目が合った。ただ、視線がぶつかっただけなのに、ボクの芯が揺れ足の震えが止まらない。



「我らの境界に、足を踏み入れた罪────」



 嫌な汗が湧く。

 ボクのガクつく足は無意識に半歩後ろへと下がった。



「その身に教えてやろう」



 長い牙を見せつけるように口が開き、咆哮が鼓膜を突き破ろうとする。いぶし銀ドラゴンの背後で睨みを利かす無数ドラゴンたちも、共鳴し出す。


 ボクは耳を手で塞ぐという行為を考えることも出来なかった。



「おい、この状況……かなり、ヤバくないか?」


「……ああ。俺たちは羽トカゲたちを、怒らせちまったらしい……」


 オースティンとマリオはいぶし銀ドラゴンを見据えたまま、小さく話す。その時が来てもいいように、マリオは斧へと手を伸ばす。



「……戦う、の?それしか、ない……の?」


 アンジュさまはオースティンとマリオを交互に見やる。ふたりは小さく頷いた。


「それしかない。アンジュはとにかく逃げなさい」


 オースティンはアンジュさまの前に立つ。自らを盾にし、ドラゴンの視線から遮断させる。それに続くようにマリオは隣にたった。



「こんな緊張感は久々だな、オースティン」


 軽口をきくマリオがなんだか陽気にみえる。この緊迫した空気感を楽しんでいるようだ。


「そうだな。何百年ぶり、といったところか」


 オースティンは得物へと指先を向ける。


「ゴマ人。いや、ジェイス。娘を、……アンジュを頼む」


 オースティンは振り返らない。前に立ちはだかるドラゴンの群れに全神経を注いでいる。


 放たれたその声にボクの身体を拘束していた強ばりが失せていく。


「オースティン、さん……」


 ここから見えるオースティンの顔は確固たる意志を持っていた。ボクは指を堅く結んだ。


「───はい。オースティンさん。ボクが、必ず」



 アンジュさまを、守ります



「アンジュさま、こっちに……」


「いやよ」


「え、アンジュさま?……とにかく──」


「私は行かない」


 アンジュさまは頑なにそう述べた。髪が横に振れると、アンジュさまはボクを真っ直ぐに見つめる。


「パパを置いていけないもの。それに……」


 アンジュさまの指先があのステッキへと触れ、その指に備えられた。


「私にはこれがあるもの!!」


「ア、アンジュさまっ?!」


 ボクはここ数年でいちばん大きな声を出したかもしれない。不意に出たボクの指先は宙を掴む。


「その、ステッキは……」


 魔法は使えないんです……

 あれはボクの加護(スキル)なんですよ……



 喉まで込み上げる叫びを、ボクは口に出来ない。ここで話すべきなのにアンジュさまの夢を壊したくなくて……弱虫でウジウジ虫は踏みとどまってしまった。



「だから、大丈夫だから」


 アンジュさまは余裕そうにボクにウィンクをみせる。

 そして、アンジュさまはオースティンの隣に立ち、ふたりを驚かせた。


 アンジュさまはマジカルんステッキをいぶし銀ドラゴンに差し向ける。


「さあ、見てなさい、ペンちゃんのお仲間たち?


 お仕置きされる準備は、



 ────出来たかしら?」

お読み頂きありがとうございます。

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次回もお楽しみに☆

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