表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やる気のない使用人が勇者候補の相棒にされ、王女たちの恋の争いに巻き込まれる  作者: 猿飛銀時


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/18

第7話:モンスター狩りの第三試験パート1

読者の皆さん、こんにちは!どうぞお楽しみください!

---




長距離走のしばらく後――騎士科の試験会場。




生徒たちは今、会場からほど近い大きな塔へと向かって歩いていた。




太陽は真上にあり、容赦なく照りつける。騎士志望の生徒たちは疲れ果て、制服は汗で肌に張り付き、足取りは重い。中にはまっすぐ立っていられない者もいた。




「はあ…はあ…」


「もう…無理…」


「み、水…」




数人がその場に倒れ込む。膝を抱えてうつむく者。大の字になって空を見つめる者。次の指示を待ちながら息を切らす者。




ウリンも息を切らせ、腰をかがめて膝に手をついていた。汗が滴り、地面に小さな染みを作る。




それを見たリナリアは、考えるより先に足を踏み出した――しかし、




「背筋を伸ばせ!立っていられない奴は腕立て伏せ百回だ!」




ロジャーの怒号が雷のように轟いた。




騎士志望の生徒たちは一斉に背筋を伸ばした。疲れで足が震えても、逆らえる者はいない。ロジャーの眼光が彼らを貫く。




合格したいなら、従うしかない。




「遅い!もっとピンと伸ばせ!」




ロジャーの声に、背筋がさらに伸びる。




やがて騎士志望者たちは整列し、魔導士志望の列の隣に並んだ。魔導士たちはまだ余裕の表情だ――彼らは先の走りに参加していない。




彼らの前には、三人の試験監督官が立っていた。




魔導士試験監督官ヴァニア・デリシアは、穏やかな笑みを浮かべて立っている。その目は優しさに満ちている。




一方ロジャーは、今回は狼の耳を覆う魔法の兜を被っていた。あの事件以来、彼は大きな音に敏感になっている。




そこへ、小柄な女性が軽やかに現れた。




鮮やかな紫色の魔導士服。高い帽子。左手には、先端に白く光る球体を備えた木製の杖。彼女は大げさな仕草で登場した――まるで舞台に上がる役者のように。




「みなさーん!こんにちはー!元気ですかー?」




その声はあまりに陽気だ。




しかし返ってきたのは沈黙だけ。




「あれ?なんで黙ってるの?私が『こんにちは』って言ったら、みんなも返さなきゃ!それが礼儀でしょ!」




彼女は腰に手を当て、頬を膨らませた。




「もう一度!こんにちは!」




「……こんにちは……」




気の抜けた声が返る。まるで葬式の挨拶だ。




後方の列で、ヘルマンが小声で呟いた。




「ちっ…このチビ、うっとうしいな。俺たちが疲れてるの、わかんないのかよ」




隣のアリヤは微かに眉を動かしたが、黙っていた。




その瞬間――




女性の笑顔が消えた。




「……今、何て言った?」




声は静かだ。しかし先ほどの陽気さは微塵もない。氷のように冷たい。




杖が振られる。




瞬時に、魔力でできた巨大な手が現れ、ヘルマンを掴んだ。彼の体はまるで玩具のように宙に浮かされる。




「聞こえなかったと思ったの?私のこと『チビ』って呼んだでしょ?」




「ぐっ…!ち、違います…!」




魔力の手がさらに締め付ける。ヘルマンの顔が苦痛に歪む。




「わ、私はまだ…あなたの名前を…知らないので…」




「あ、そうだったわね」




魔力の手が消える。




ドスッ。




ヘルマンが地面に落ちる。周りの生徒たちは息を呑み、声を出す者はいない。




女性は再び愛らしく微笑んだ。先ほどの冷たさは消え、元の陽気さに戻っている。




「改めまして、私はキキ教授。魔法アイテムと魔法陣の担当よ。よろしくね?」




生徒たちはただ呆然と、その激変ぶりを見つめるしかなかった。




ロジャーが手を叩く。乾いた音が空気を震わせる。




「よし。本題に入る。お前たちの最終試験は――テライングの森での魔物狩りだ」




空気が一瞬で張り詰める。ただの緊張ではない――血の気配が漂い始める。




「実在の魔物を狩るんだ。ランクEからCまで。Eは1ポイント、Dは2ポイント、Cは5ポイントだ。合計10ポイントで合格だ」




「E…Cって…本当に戦うんですか?」


「当たり前だろ。遊び場じゃないんだぞ」




ヴァニアが続ける。




「もし怪我をした場合、あるいは10ポイント集めた場合は、アサブの現れる方角へ向かいなさい。そこに私たちのキャンプがある」




彼女は空を指さした。




一匹の妖精が彼らの頭上を舞っている。羽根が陽光にきらめく――それは魔導士試験で使われたのと同じ妖精だ。




「監視はこの子たちの視界を通して行うわ。何かあればすぐに分かるから――」




「よし、始めましょう!」




キキが元気よく杖を打ち鳴らした――ヴァニアが話し終わるのを待たずに。




瞬時に――




彼らの足元に巨大な魔法陣が現れた。




まばゆい光。




次の瞬間――




彼らは空中に放り出された。




「うわああああ!!」




悲鳴が響く。




「な、なんだこれ?!」


「飛ばされた?!」


「落ちる!落ちるぞ!」




もがく者、目を閉じる者、呆然と口を開ける者。




「えへへ、ちょっとやりすぎちゃったかも?」




キキは無邪気に笑った。




「キキ教授!?どういうことですか!?」




ヘルマンが叫ぶ。その声は風に消えかけている。




「これも試験の一部だと思ってね!」




「はあ!?」




ロジャーでさえ、ただ呆然と見守るしかない。魔法の兜が風圧でわずかに揺れる。




「歩いて行けばよかった……」




彼の呟きは誰にも届かない。




混乱の中、魔法を使える者たちは浮遊したり落下を遅らせようと試みる。




「フラワーペタル…!」


「ウォーターボール!」


「ファイアバースト!」




各々が必死に呪文を唱える。




アリヤは冷静に状況を観察していた。風の流れ、落下速度、周囲の位置――すべてを瞬時に計算する。




リナリアは魔法をうまく出せない。両手を前に突き出し、必死に呪文を唱えようとするが、魔力は制御できない。




そしてウリンは黙って下方を見つめていた――何かを探すかのように。




アリヤはウリンに近づき、何かを彼の制服に滑り込ませた。




「ウリン、リナリアを頼む」とアリヤ。




ウリンはその意図を理解したようで、小さくうなずいた。




次の瞬間、アリヤはウリンをリナリアに向かって投げ飛ばした――まるで槍のように、一直線に。




ウリンは空中で体勢を整え、リナリアを抱き寄せる。その体は軽く感じられた。




「きゃっ!」




「掴まれ!」




二人は魔力で体を覆う――




ドオオオン!!




二人は地面に着地した。砂埃が舞い上がる。




「大丈夫か?」




「あ、あたしは…平気。ありがとう…」




リナリアの頬が赤くなる。落下の衝撃だけではない。




「……怪我は?」




「ないわ。ウリンが守ってくれたから」




リナリアは自分の肩を撫でながら微笑んだ。




---




――――




一方その頃。




アリヤは一人の眼鏡をかけた魔導士を見つけた。その手は震え、必死に呪文を唱えている。しかし魔力は形にならず、風の制御もできていない。




「おい、魔法は使えるのか?」




「使、使えます…」




「よし」




アリヤはヘルマンを睨んだ。




「ヘルマン、俺の手を掴め。メガネが何とかする」




三人はさらに地面に近づく。あと数十メートル。




「トルネード・ウェーブ!」




眼鏡の男が叫んだ。




竜巻が発生する。




しかし制御は酷いものだった。三人は木に激突し、落下する。




「あいたたたっ!」




ヘルマンが叫ぶ。彼の体は枝に引っかかっていた――助かった。




「おい!なんで竜巻なんか使うんだ?!俺たちを殺す気か?!」




「す、すみません!」




眼鏡の男は青ざめ、何度も頭を下げる。




「喧嘩するな。魔物狩りに集中しよう」




アリヤは淡々と言った。服は枝で破れているが、表情は変わらない。




ヘルマンは眼鏡の男から離れ、服の埃を払いながら歩き出した。




「お前は来ないのか?」アリヤが尋ねる。




「こいつを連れて行くのか?これは個人の課題だぞ!グループじゃない!」




「心配するな。こいつはきっと役に立つ魔法を持っている」




「もし役に立たなかったら?」




アリヤは微かに笑った。




「餌にしよう」




眼鏡の男が震え上がる。顔が恐怖に引きつる。




「おい、メガネ、名前は?」




「ルディ・アルマンダです…」




声はか細い。




「よし、ルディ。これから俺たちと一緒に行動する。異論はあるか?」ヘルマンが言う。




「な、ないです…」




「よし、じゃあ行こう」




アリヤは背を向け、森の中へ歩き出す。




ヘルマンは肩をすくめ、その後を追う。




ルディは一瞬ためらったが――すぐに二人の背中を追いかけた。




森の奥から、何かの唸り声が聞こえる。




---




続く



ネオページ にもっとストーリーをアップロードしました


同じタイトルで

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ