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やる気のない使用人が勇者候補の相棒にされ、王女たちの恋の争いに巻き込まれる  作者: 猿飛銀時


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第13話: 予想外の敵が来た!パート 4

読者の皆さん、こんにちは!どうぞお楽しみください!

---




滴。




一筋の滴がウリンの肩に落ちた。




彼の目の前で、アリヤは膝をついていた――あの魔物の剣が自分の胸を貫いているのを押さえながら。彼は後ろのリナリアを守るために、わざと身を挺していた。




血が口元から滲む。




「このバカな人間が…お前の存在が邪魔なだけだ」




「アリヤ!」ルディが叫ぶ。




魔物は剣を引き抜いた。




ズルッ!




アリヤは横に倒れた。力なく。




「くっ…」




クラリッサとリナリアは後方に跳ぶ――距離を取る。ルディの防御壁は粉々に砕け散った。




スミレイは剣を抜く。魔物の背後に飛び込む。




ガキィン!




剣が弾かれる――魔物の防御は強固だ。




「おや…お前も死にたいか?」




スミレイは全力で剣を押し込む。


魔物は余裕の表情で受け流し続ける。




ルディは倒れたアリヤを見る。すぐにアリヤの体を抱え上げ、戦場から遠ざかるように走った。その直後、激しい雨が彼らを濡らし始めた。




魔物は足を上げる――スミレイを蹴り飛ばす。




ドガッ!




「ぐっ…」スミレイは遥か彼方へ吹き飛ぶ。




クラリッサは両手を掲げる。




ズルルルッ!




地中から巨大な根が現れる――魔物に絡みつく。強く。縛り上げる。二輪の花が咲き、その花弁の奥から鋭い針が光る液体を滴らせながら覗く。




「かかったわね!」




二本の針が迫る――




「燃え尽きろ」




黒い炎が魔物の全身を包む。根を焼く。すべてを焼く。




「なに?!」




「クラリッサ様!離れて!」




スミレイはクラリッサを抱え――遠くへ跳ぶ。




魔物は笑った。




「ハハハ…今どきの人間は随分と弱くなったものだ。お前たち、まとめて始末し――」




硬直した。




その言葉が口から出かかったままで、体が固まった。




何かが彼の意識を突き刺した。




音ではない。


感触でもない。




あまりにも速く走り抜ける鋭い感覚――




ビュウウウッ!




一振りの剣が疾走する――風よりも速く。




魔物に向かって一直線に。




「何だと?!」




魔物は遠くへ跳ぶ。かわした。




息が荒くなる。目を見開く。




「このガキ…ますます速くなっている」




その視線はウリンに注がれていた。




あの若者が立っている――以前よりも強大な魔力を放ちながら。金色のオーラが彼の全身を包む。数本の髪がわずかに浮き上がり、エネルギーの圧力で漂っている。




その目は――燃えていた。




静寂。




誰もが息を呑んだ。




リナリアとクラリッサはウリンの方を見つめ、手を胸に当て――息を止めている。




ルディが近づく。彼は穴の開いたアリヤの胸に手を当てる。パニックの表情がはっきりと浮かんでいた。




「ヒール」




緑色の光がアリヤの体を包む。




ヘルマンが近づく。ルディの肩を叩く。




「諦めろ、ルディ。あいつは――」




「嫌だ!」ルディは遮る。「こんな簡単に死なせたりしない!」




「でも――」




「なに?」




ヘルマンが指さす。




「あいつ…ただの影だ」




「え?」




アリヤの体が黒く変わる。ゆっくりと。溶けていく――黒い液体に。




ズルッ…ズルッ…




その黒い液体は素早く移動する。森の中へ潜り込む。困惑したままのルディを残して。




「実はな…」ヘルマンが話し始める。






---




✦ しばらく前 ― 森の中 ✦




「お前たちは先に行け。ここは俺が片付ける」




「でも――」ルディは躊躇う。




「大丈夫だ」ヘルマンはルディの腕を引く。「アリヤはそんなに弱くない」




クラリッサ、スミレイ、ヘルマン、ルディは走り出し、アリヤを残す。




ルディはうつむく。「心配じゃないのか?置き去りにして――」




影分身魔法。




地中から影が現れる。人型――だがその色は暗く、濃く、まるで闇そのもののようだ。




アリヤはその影の胸を押さえる。




「幻影」




影が変わる。ゆっくりと。――アリヤそっくりに。




「行け。彼らを守れ」




影はうなずく。そして走り出す――ヘルマンたちのグループを追って。




アリヤが彼らの横に現れる。一緒に走っている。




「え?!なんで逃げてるんだよ?!」ルディは眼鏡を落としそうになる。




ヘルマンは一瞬黙る。目を細める――そして微かに笑う。




『なるほどな…』




彼は隣の"アリヤ"を見る。少し違う――動きが滑らかすぎる。完璧すぎる。




『頼んだぞ、相棒』




一言も発さず、ヘルマンは走り続ける。振り返らない。






---




✦ 本物のアリヤの場所 ✦




アリヤは魔物たちの前に立っていた。




オーガ――前方に。


蜘蛛――背後に。


ゴブリン――左右に。




彼は微笑む。




「よし…そろそろ働くか」




アリヤは手を掲げる。指が踊る――空中に模様を描く。




「イリュージョン・バブル」




透明な泡が――彼の手のひらから現れる。膨らむ。広がる。拡散する――魔物たちの頭を一つずつ包み込む。




オーガが止まる。


蜘蛛が静止する。


ゴブリンが固まる。




彼らの目は――虚ろだ。しかし、その恐ろしい顔にゆっくりと笑みが浮かぶ。




グラアアア!




オーガが咆哮する――怒りではなく、満足げに。その手は、今や彼らの前に立つアリヤの影に向かって伸びる。




ズルッ!




巨大な手が掴む。握り潰す。




同時に、蜘蛛が巣を伸ばす――背後からアリヤの影に絡みつく。




「ケケケ…」




魔物たちは満足そうに笑う。彼らは、自分たちの手で苦しむアリヤを見ている。




だが実際は――




アリヤは彼らから数メートル離れた場所に立っていた。腕を組み、無表情で。




「はあ…ずいぶんと忙しそうだな」




目の前では、魔物たちが自分たちにしか見えない影と「戦っている」。オーガは虚ろな空気を握っている。蜘蛛は木の枝に巣を絡めている。ゴブリンは蠢く影を刺しまくっている。




『まるで眠りながら夢を見ているようだ――彼らは現実ではない世界を見ている』




アリヤは彼らの横を悠然と歩く。誰も彼に気づかない。




「シャドウ・サーチ」




彼の影が広がる――森の中に潜り込む。これらの魔物を動かしている力の源を探す。




静寂。




そして――




「見つけた」




アリヤは森の中へ足を踏み入れる。想像上の敵と「戦う」のに夢中な魔物たちを後にして。




そして――消えた。






---




✦ 別の場所 ✦




六匹の小さな魔物が輪になって座っていた。




小柄な体。先の尖った帽子。太い髭。緑色の肌。




彼らは星形の魔法陣の中に座っている。その魔法陣から光が放たれている――闇の源だ。




クッパ――ランクAの魔物。




「キッ?」




部屋の隅の影が動く。




アリヤが現れる。




「なるほど、お前たちがここでの問題の元凶か」




「キイッ!」


「キイッ!キイッ!」




驚く。しかし動けない――自分たちの魔法陣に閉じ込められている。




「騒がしいな」アリヤは首を振る。「魔法陣に閉じ込められてるお前たちは、俺を攻撃できないのが幸いだ」




彼は剣を抜く。膝を曲げ、体をわずかに前に倒す。




「さらばだ」




「キイイイッ!」




ドスッ!




一つの石が――魔法陣の外から飛んできた。




アリヤは横に回避する。素早く。




「今のは何だ?!」




キッ…キッ…キッ…




笑い声。クッパたちが笑っている。




影の中から、一体の魔物が現れる。




身長110センチ。がっしりとした体。太い髭。緑色の肌。クッパに似ている――だが違う。




より大きい。より強い。より脅威的だ。




「キッ!」




アリヤは目を細める。




「なるほど…もう一匹いたか」




キッ…キッ…キッ…




アリヤはしゃがむ。体を左に傾ける。そして――消えた。




次の瞬間、アリヤはその魔物の背後に立っていた。




ビュッ!




剣を振るう――空気を切る。




だが――クッパは消えていた。




「なに――」




クッパが再び現れる。アリヤの横に立っている。




ドスッ!




拳が――アリヤの腹にめり込む。




ドガッ!




アリヤの体は弾け飛ぶ。森の中へ。




「ぐっ…はあ…」




クッパが歩み寄る。その手がアリヤの足を掴む――ズルッ!――引き上げる。




アリヤは宙吊りになる。無力だ。




「もう終わったと思ったか?」




ビュッ!




別のアリヤが――クッパの背後に現れる。




剣が突き刺さる。クッパの体を貫く。




ガキィン!




「キイイイイッ!」




クッパは激痛に暴れ狂う。振り返る――アリヤを捕まえようとする。




アリヤは剣を抜く。後方へ下がる。




クッパはよろめく。そして歩く――魔法陣の中のクッパたちに近づく。




アリヤは観察する。目を細める。




「おお…そういうことか」




魔法陣の中のクッパたちは――動かない。ただ座っている。呪文を唱えている。




「お前たちは自分で戦えないから…奴に支援魔法を送りながら戦わせているんだな」




アリヤは微かに笑う。




「ずる賢いな」




クッパの傷が塞がり始める。




シュウウ…シュウウ…




緑色の光が彼の体内に入る――続いて青色の光。赤色の光。黄色の光。




魔物の体が大きくなり始める。筋肉が膨張する。その目は――赤く燃え上がる。




「これは何だ?」アリヤは笑う――小さく笑う。「奴ら、お前に栄養剤でも与えたのか?体がますます大きくなってるぞ!」




ウオオオオ!




咆哮が森を揺るがす。




「まずい――」




魔物が前進する。速い。




拳が――アリヤの顔面に迫る。




アリヤはかわす。小さな動き。正確に。




シュッ!




「どうやら…雨が降りそうだな」




クッパが再び攻撃する。止まらない。拳の連打。




アリヤはただかわす。ずれる。回る。かがむ。




一瞬の隙に――




アリヤは拳を握る。跳ぶ。クッパの顔面に向かって。




ドスッ!




拳が――クッパの目を捉える。




「グアア!グアア!」




魔物は目を押さえる。涙が――出る。悲しくてではなく、痛くて。




アリヤは回転する。クッパの背後へ。剣を掲げる――首を斬りつける。




ガキィン!




剣が――硬いものに弾かれる。




滴。




一筋の滴が地面に落ちる。血ではない。汗だ。




「皮膚が硬くなってる…」アリヤは剣先を観察する。「鋼の皮膚の魔法をかけられたようだな」




魔法陣の中のクッパたちは――微笑む。アリヤの悔しそうな顔を見つめて。




その笑みは瞬時に消えた。




アリヤが走り出す。彼らに近づく。その顔は――怒りに満ちている。




「キイッ!キイッ!キイッ!」




巨大クッパの咆哮が注意を引く。目を開ける――仲間たちが危機に陥っているのを見て。




片手が木を掴む。




ズルッ!




木が引き抜かれる。投げられる――アリヤに向かって。




アリヤはかわす。




ビュッ!




同時に、彼の剣が飛ぶ――クッパの目に向かって。




クッパはかわす。そして走る。アリヤに近づく。




アリヤは両手を上げる。ひらひらと振る――挑発するように。




クッパが拳を振るう――




ドガッ!




アリヤは倒れる。地面に伏す。




だが――




アリヤが再び現れる。クッパの背後で。手を振っている。




クッパは振り返る。巨大な手が掴む――ズルッ!――アリヤを空高く持ち上げる。




握り潰す。強く。




血が――アリヤの口から流れる。




滴…滴…




雨が降り始める。激しく。すべてを濡らす。




クッパの手の中のアリヤが――両手をその魔物に向ける。




ポロッ。




瞬間――




クッパの前のアリヤが変わる。小さなクッパに。




巨大クッパは驚く。周囲を見回す。




魔法陣の中のクッパたちは――木の下敷きになっている。潰されている。




そして先ほど彼が殴ったアリヤは――別のクッパだった。




「わあ…」




アリヤが影の陰から現れる。微笑む。




「酷いな、お前、自分の仲間を殺しちゃったよ」




ドサッ。




巨大クッパは沈黙する。




涙が――流れる。




思い出が浮かぶ――




幼い頃、共に訓練した日々。


共に笑った日々。


食べ物を分け合った日々。


ずっと一緒にいようと約束した日々。




旅立つ前のあの日まで――




すべてが彼の目の前に現れた。




今――




彼の手は血に染まっている。自らの兄弟の血で。




キッ…




小さな声。弱々しく。




その静寂の中で――




ビュウウウッ!




一振りの剣が――クッパの胸を貫く。




ドサッ!




その体は崩れ落ちる。ゆっくりと。雨が、安らかな表情を浮かべ始めた彼の顔を濡らす。






---




アリヤは深く息を吸う。空を見上げる――雨はまだ降り続いている。




「よし…これで全部のはずだ」




彼がまさに振り返ろうとした時――




ゴゴゴ…




森からの影が――動く。アリヤの影と融合する。




瞬間――




記憶が流れ込む。




ウリン。黒い魔物。金色のオーラを放つ剣。




アリヤ…助けて…




アリヤの目が見開かれる。




「ウリン――!」






---




続く






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