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やる気のない使用人が勇者候補の相棒にされ、王女たちの恋の争いに巻き込まれる  作者: 猿飛銀時


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第10話: 予想外の敵が来た!パート1

最後に読んだメッセージはエイプリルフールのジョークでした。


ちょっとした遊び心でやったんです。毎日たくさんの読者が来てくれるので、そういうジョークを思いつきました。


毎日この小説を読んでくださり、ありがとうございます。

---




✦ 別の場所――第三試験、始まったばかり ✦




クラリッサは空中で必死に体勢を保っていた。風が茶色の髪を打ち付け、緑色のドレスが嵐に舞う木の葉のように翻る。混乱の中、彼女の目はただ一人の姿だけを追っていた。




『ウリンくん…あそこに行かなくちゃ』




彼女は手を掲げ、体をウリンの方へ向けようとする。




「ウリンくん!喜んであなたを助けて、ここから無事に連れて行ってあげる!」




その声は、風の轟きの中でも必死に響こうとしていた。




ウリンが振り向く。少し驚いた様子で。




「はい…よろしくお願いします、クラリッサさん」




クラリッサは満面の笑みを浮かべる。心は花が咲いたようだ。




『やった!「クラリッサさん」って呼んでくれた!もうリナリアより一歩先を行ってるわ!』




彼女はすぐに手を掲げ、魔法を使おうとする。




「風の花――」




「ウリン!」




アリヤの声が彼女の集中を断ち切った。




ウリンの視線はアリヤの方へ向く。クラリッサは何かがおかしいと感じる。しかし彼女はすでに魔法を放ってしまっていた。




彼女の手から緑色の光が同時に現れる。巨大な花の茎が生え、彼女をゆっくりと浮かせる。




しかし――




ウリンの手が、彼女を握っていた手を離した。




「え?」




クラリッサは自分の空っぽの手を見つめる。




「ウリンくん?なんで手を離しちゃうの?」




右を見る。左を見る。探す。




そして目が止まった。




ウリンが――リナリアを抱えている。飛び降りる。下へ消える。




クラリッサの頬が熱くなる。恥ずかしさではない。なぜなら――




「うぅ…なんでウリンが抱えてるのはあの娘なの?私じゃないの?」




彼女は下唇を噛んだ。




『待ってなさい。あの二人、絶対に邪魔してやるんだから』




クラリッサは植物を操って、ウリンとリナリアの落下方向を追おうとする。




突然――




ウワッ!




強風が彼女を襲う。遠くへ押し流す。遥か彼方へ。




「え?待って!ちょっと――なんで――いやああああ!!」




彼女の声は風に飲み消された。




---




✦ しばらく後 ✦




クラリッサは目を開けた。




最初に見えたのは――闇。そして周りを取り巻く白い網。




「なんでこんな目に遭うのよ…」




動こうとする。ベタベタする。動きにくい。




蜘蛛の巣だ。




クラリッサの心臓が激しく打つ。




闇の中から、二対の赤い目が現れる。八本の脚。細かい毛。巨大蜘蛛――ランクCの魔物――がゆっくりと歩き、近くに絡まっている別の魔物の死骸に近づく。




クラウ…クラウ…




餌を喰らう不気味な音。




クラリッサは息を飲む。




『王子様のところに行きたいのに…なんでこんな場所に閉じ込められてるの…』




一匹の蜘蛛が彼女に近づく。口から涎が垂れる。ティッ…ティッ… 彼女の服に落ちる。




生臭い。腐ったような。ツンと刺すような臭い。




クラリッサは震えた。恐怖ではない――嫌悪だ。




「もし私に触れたら…」彼女の声は冷たい。「お前は死ぬ」




蜘蛛が咆哮する。ギャアアア! (まるでそう叫んでいるかのように。)その振動で、涎の滴がさらに飛び散る。




クラリッサは目を閉じた。




「言ったでしょ!」




彼女は一喝する。手を振るう。




蜘蛛の背後で、地面が揺れる。巨大な食虫植物が生える――ガブッ!――瞬時に、蜘蛛は飲み込まれて消えた。




それを見た他の蜘蛛たちはすぐにその植物を攻撃する。だが別の食虫植物が現れる。一匹。二匹。三匹。蜘蛛を一匹ずつ喰らっていく。




一本の蔓が這い寄り、クラリッサに伸びる。優しく、彼女を縛る巣を引き裂いた。




クラリッサは微笑む。その茎を撫でる。




「ありがとう、カッピーさん」




植物は揺れ、恥ずかしそうにしているかのようだ。




クラリッサは巣から歩み出る。周囲を見渡す。




『さて、ウリンくんはどの方角――』




突然――




バキッ!




木の陰から、影が飛び出した。




別の蜘蛛だ。より小さい。しかしその脚は――針のように鋭く、鋼のように強い。身を伏せ、飛びかかろうとしている。




咆哮――




ビュッ!




剣。閃光。蜘蛛の首が一瞬で刎ね飛ばされた。




魔物は倒れる。死んだ。




クラリッサは瞬く。




目の前に、一人の女剣士が立っていた。肩までの黒い髪。暗い色の制服。手にした剣――をゆっくりと腰に納める。




彼女は礼儀正しく頭を下げた。




「遅れて申し訳ございません、クラリッサ様」




クラリッサは安堵の笑みを浮かべる。




「いいのよ、スミレイちゃん。あなたのせいじゃないわ」




スミレイは顔を上げる。目は鋭いが、その視線は優しい。




「はい」


「クラリッサ様、何かご希望はありますか?」




クラリッサは腕を組む。




「ええ」




「現在のウリン様の位置はお分かりですか?」




「北の方角です。ここからそう遠くありません。すぐにお向かいになりますか?」




「もちろん――」




グゥウウウ…




腹の音。大きな音。クラリッサは腹を押さえる。顔が赤くなる。




「ふぅ…どうやらご飯を先にすることにするわ。早くお弁当の準備をして」




スミレイはうなずく。「かしこまりました。すぐにお食事の用意をいたします」


スミレイは背負っていた箱を下ろし、一つ一つ高級な料理を整然と並べていく。




---




✦ 休憩キャンプにて ✦




焚き火が燃えている。白い煙が高く立ち上る――助けを必要とする者への目印だ。




兵士たちと衛生兵が忙しく動いている。傷の手当てをする者、食事を準備する者、ただ休息を取る者。




ドスッ…ドスッ…ドスッ…




足音。速い。激しい。埃の塊が森の方から立ち上る。




一人の少女が走ってくる――オレンジ色の耳、縞模様の尻尾。その顔はやる気に満ちている。




「オラァァァ!」




シェラがキャンプに飛び込む。腕には少し傷がある――小さな引っかき傷だ。それでも彼女は満面の笑みを浮かべる。




「私が一等賞!」




チャンドラが後ろから続く。その足取りは落ち着いている。優雅だ。息遣いもそれほど荒くない。




「はいはい」チャンドラは小さく微笑む。




周りの人々はシェラの様子を見て首を振るだけだ。




一人の男が近づいてくる。黒々とした髪は短く整えられている。金色の瞳は鋭く、夜の大きな猫を思わせる。ビーストマン特有の尖った耳が頭の上に立っている――黒く、小さいが、警戒を怠らない。目つきは鋭いが、笑顔は優しい。




「おお、シオン!」




シェラが手を振る。




シオンは礼儀正しく頭を下げる。「シェラ様。お手をお貸しください。お手当ていたします」




「ああ、これくらいかすり傷――」




「シェラ様」




その一言。強い口調。シェラは即座に黙り、手を差し出す。




---




✦ 監視テントの中 ✦




監督官たちは輪になって座っている。妖精が映し出す魔法の画面に、一人一人の受験者が映し出されている。




ロジャーが一つの画面を指す――ウリンとリナリア。次に別の画面――ちょうどキャンプに到着したクラリッサ。




「まだ戻っていないのは7名のようだ」とロジャー。




ヴァニアは安堵の息を吐く。「よかった、死者はいない…今のところは」




突然――




アレックスが近づく。目を細める。「あれは…」




皆の目がアリヤの画面に向く。




オーガ。巨大だ。高い。ランクBの魔物。




「あれはオーガじゃないか?」アレックスはロジャーを見る。「ランクBの魔物だ。なぜあそこにいる?」




ロジャーは眉をひそめる。「わからない。あの辺りにランクC以上の魔物はいないはずだが…」




アレックスは薄く笑う。「どうした?ロジャーさん、目も悪くなったのか?」




ロジャーは鋭く睨む。その視線は突き刺さるようだ。




アレックスはわずかに眉を下げて応じる。ほんのわずかに。しかしそれで十分だ。




テント内の空気が熱を帯びる。




キキが沈黙を破る。「それで…我々が助けに行くべきか?」




「ええ」ヴァニアは力強くうなずく。「これは彼らの能力を超えているわ」




「よし――」




キキはすぐに床に魔法陣を描き始める。直径20メートル。杖が踊り、円の周りに古の文字を刻んでいく。




しかし――




画面の中で、アリヤがオーガの頭の上に立つ。剣を掲げる。




「待て」




ロジャーが手を上げる。




「どうやら…あいつらなら倒せるかもしれん」




皆の目が画面に集中する。




その時――




バタン!




テントの入り口が開く。




一人の兵士が走り込む。顔は汗まみれ。息は荒い。不規則だ。




「何…何があった?」アレックスが素早く尋ねる。




兵士は唾を飲み込む。その目は虚ろだ。




「敵に包囲されています!」




監督官たち全員が驚く。彼らはテントを飛び出す。




空――




巨大な紫色のドームが彼らを覆っている。半透明だ。しかしはっきりと見える。強固だ。




魔法の障壁。




アレックスは即座に指示を飛ばす。




「全員を一箇所に集めろ!攻撃に備えさせろ!」




「了解!」




「キキ!ヴァニア!この障壁から抜け出す方法を探せ!」




「はい!」




「オッケー!」




ロジャーはただ、信じられないという表情でアレックスを見つめる。そして――




彼は兜を脱いだ。




狼の耳がピンと立つ。音を捉える。




ドクン…ドクン…




鼓動。息遣い。足音。遠く。近く。大勢。




『我々は危険だ』




---




✦ 別の場所――森の中 ✦




「ギャアアア!」




アリヤ、ヘルマン、ルディは腰を抜かさんばかりに驚いた。




先ほど倒したはずのオーガが――動いている。




起き上がるわけではない。立ち上がるわけではない。




しかし――生き返っている。




腕が地面を叩く。体を押し上げる。立ち上がる。ゆっくりと。胸の穴が――塞がっている。肉が再生する。皮膚が融合する。




「な…何だこれ?」ルディは震える。




「やばい…」ヘルマンは剣を握りしめる。




「もしかすると…」アリヤは目を細める。




魔物が振り向く。赤い目が彼らを見る。




そして――




逃げろ!




ヘルマンとアリヤは即座に森の中へ走り出す。




「おい!待て!俺は…俺は歩けねえ…!」




ルディは泣きそうだ。




ヘルマンが止まる。振り返る。悪態をつく。




「ああもう…面倒な奴だ!」




振り返る。ルディを肩に担ぐ。




そして走る。




背後でオーガが咆哮する。地面が揺れる。




ドォン!ドォン!ドォン!




彼らは猛スピードで走る。オーガは追いつけず、遠くに置き去りにされる。ルディは空を見上げ、右手の方に白い煙が上がっているのを目にする。




「おい!右に曲がるべきだ!あそこに休憩キャンプがある!監督官に報告できる!」




「お前、バカか、メガネ?」とヘルマン。




「は?」




監視の妖精が突然、危険信号を発する――キラキラ…キラキラ…――色が赤に変わり、点滅する。




「つまり、敵がいる――あるいは攻撃を受けているってことだ」とアリヤ。「そして俺たちは避難するよう指示されている」




「じゃあ、どこへ行くんだ?」ルディが尋ねる。




「まずはウリンたち他の受験者を探す」




彼らは再び走り出す――




ガサッ!




影が茂みから飛び出す。




剣が煌めく。右側面からの斬撃――アリヤの首へ迫る。




シュッ!




アリヤは身をかがめる。横に回避する。




しかしヘルマンは――ルディを肩に担いだまま――避けきれない。




ドガアア!




激しい衝突音。




「痛ってえ!おい、誰だ――」




一人の女性がヘルマンの胸の上に座っている。剣を抜き放ち――その切っ先が彼の首筋に当たっている。




静寂。




女性は鋭く睨む。紫色の髪。ルビーのような赤い目。息は少し荒い。




ヘルマンは硬直する。胸が上下する。速すぎる。




ドクン。ドクン。ドクン。




心臓が激しく打つ。




「……」




「……」




風が吹く。木の葉が舞い、彼らの間を流れる。




---




続く




---

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