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第3章:同じ戦場、それぞれの戦争⑥
かくして、半年に及ぶ準備期間は瞬く間に過ぎ去った。
この間に起きた出来事はいずれも地理的には近しい範囲で発生したものの、その歩みは互いに大きく異なり、まるで関連性を持たぬ独立した事象として観測されている。
しかし、そこに関わるすべての者の足取りは、やがてただ一点──ひとつの戦場へと収束していくことになる。
『第四次ノッセル回廊会戦』
後世そう呼ばれる歴史的戦いは、大陸暦1270年4月1日に幕を開けたと記録されている。戦端を切ったのはもちろん、ヴィルヘルム麾下のローゼンベルク王国軍である。
その先鋒として、第101親衛戦闘団──すなわちヴィルヘルム軍団──が全軍に先んじて進発した。
出撃に先立ち、ヴィルヘルムは戦闘団の前に立ち、ただ一言、檄を放つ。
「諸君らの奮戦を期待する!始めよう……いや、終わらせよう!」
ヴィルヘルムの下に集った兵士たちは、皆が等しく、歴史の瞬間に立ち会えたことに震えた。
彼に付き従ってきた理由を、ただ一つの言葉で語るのなら──それは“感動”であった。




