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最終兵器「はだか」と、天敵女子のじょうろ

さすがにその場ですぐ上半身裸になるわけではなく、裸にされるのは放課後だけである。しかし、校庭での正座の際、シャツまで脱がされて体操半ズボンだけでの正座を命じられるのだ。


「たかが薄めの体操服、半袖も裸も大して変わらないだろう」


と思うかもしれないが、冬の北風が吹きすさぶ校庭では、天国と地獄ほどの違いがあった。あの「半袖」が天国に思えるほどだ。


この「はだか」の罰を受けたのは、私が通算で五回ほど。他の悪ガキ友達三人が一回ずつだった。先生の編み出した「はだか」であるが、それなりに効き目はあった。


さすがにいたずらをしてすぐに「はだか」が言い渡されることはあまりなかったが、一日の中の二回目のいたずらで「はだか」になった。そのため、悪ガキたちの間では「いたずらは一日一回まで」という妙な線引きをしていた。ただ油断していると、容赦なく一発で「はだか」にされることもあった。


悪ガキの私としては、その一発「はだか」のラインの研究に没頭することになるが、その基準は度を越したいたずら、そして「先生の機嫌」であった。最後の先生の機嫌を読み取るのが何より難しく、私は少しずつ、いたずらを控えざるを得なくなっていった。


放課後の校庭には、様々な罪状で正座をする生徒がいた。

ただの「正座」組、「半袖」組、 そして最底辺の「はだか」組が一緒に正座をする。


だが、ただの正座組は数分で許されて帰ってしまう。そこには女子もいたが、スカートを履いて正座なんて、足をどうしているか分からないしずるいと思っていた。「半袖」はほとんどが男子で、まれに女子。さすがに「はだか」は男子だけ(というか経験者は四人だけ)だった。


「半袖」になるような女子自体は、意外と平気で罰を受けているのであるが、その「半袖」女子との間で大変な事件が起きた。


当時の正座中、先生がずっとついているわけではなく、時間が来ると先生が来て許されるというパターンだった。当然、正座中の会話は禁止。「半袖」仲間がいることも多く、隠れて会話をしていたが、見つかると時間延長になる。


ある日、正座組が数人、「半袖」男子が私を含め二人、「半袖」女子が一人で正座を始めた。先生が不在の間、私ともう一人の男子でこっそり私語をしていた。先生が来る時間は大体わかるので、その時までには会話を終了させて神妙な顔を作った。


先生が来て、私語には気づいておらず大丈夫なはずであった。しかし、正座組が許されたその瞬間、その「半袖」女子がまさかの告げ口をした。


「先生、〇〇と〇〇が私語をしていました」


しかも呼び捨てだった。

しらを切ることもできたかもしれないが、その女子と私の先生からの信用度を考えるとどう見ても勝ち目はなく、素直に認めて時間延長。逆に女子はその場で許されて帰っていった。


翌日、私の胸には復讐心が燃え上がっていた。


「あいつ、よくも告げ口しやがったな。卑怯だな。絶対に許さない」


絶対やばいと分かっていながら、私は学校でその女子に報復のスカートめくりを敢行した。当時の女子は体操服の上から私服のスカートを履くのでパンツは見られないのだが、今思えば何をやっているんだかという感じである。


しかし、彼女はそんなことで泣き念入りするようなタマではなかった。泣くどころか、むしろ「罠にはまったな」という感じで、嬉々として先生に報告に走った。


即座に先生に報告され、私は、一発で「はだか」の罰を言い渡された。


◇


ここから女子の容赦ない仕返しが続く。


放課後、上半身裸で震える私。しかもその日の正座は私だけだった。そこにその女子がやってきて、立ち上がれない私を知って馬鹿にしてくる。ここで立ち上がったら、また別の告げ口をされるだけだ。


私が無視をしていると、その女子はじょうろを持って戻ってきた。冬なので水をやる花もないのに、である。


まさかと思ったが、彼女はそのじょうろで私に水をかけてきた。さすがに頭からはかけなかったが、上半身や半ズボンはびしょ濡れになった。


「花壇に水をやろうとして、かかっちゃった」


とか白々しいことを言いつつ、

「スカートめくりしたんだから、これくらいされても当然でしょ」

とも言う。


風が吹くと、裸の濡れた上半身は切れるような痛さであった。女子はじょうろを片付けて、なおもからかってくる。こちらもさすがに我慢できずに言い返したりしていたが、最悪なことにそこで先生がやってきて、しゃべっていたことを咎められて時間延長。当然、女子にはお咎めなしだった。


その頃には上半身は風で乾いていたので、先生はじょうろ事件に気づかない。半ズボンはまだ濡れていたので、先生に言おうかとも思ったが、男子のプライドとして「卑怯な」告げ口をすることはどうしてもできなかった。


女子は勝ち誇ったように帰っていったが、その後も私は一人で寒さに耐えた。女子のせいで時間延長され、じょうろの水で寒さもきつく、いつもの「はだか」の十倍大変だったと思った。


それ以降、私はその女子にはほとんど言いなり状態。

「女子は怖い」と身を以て知った。


天敵の女子は勝気ななんでもできる女子であり、クラスのリーダーであったが、男子のリーダーであった私が完敗したことでクラスは完全に女子の天下であった。何か決める時も女子の意見が通る。男女の交流はもともとあまりなかったが、その「女子の天下」は不動のものとなった。

読んでいただきありがとうございました!


天敵女子にあえなく敗けた「私」は、次話では新たなる戦いに挑むことになります。

面白いと思ってくださったら、ぜひ画面下の【☆】評価や、ブックマークをしていただけると執筆の励みになります!


それでは、次のエピソードでお会いしましょう。

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