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88 俺は偽者ルイスとなる?


 「へへへっ!嬢ちゃん?あんまり俺達を困らせないでくれ?お前の姉さんがどうなってもいいのか?」


 「…っ!!お姉ちゃんだけはだめにゃあ!!」


 「まさかお前の姉さんが自分を犠牲にしてまで逃がすと思って居なかったぞ~?」


 派手な装飾された服を着る背の低い男はニヤニヤしながら少女の腕を掴み引っ張る。少女をよく見てみたら、頭の上左右に猫のような耳がある…。あぁ…、あれがケットシー?


 「レイジ~っ?あの子~!ケットシー族だよ~っ!!」


 「あぁ!やっぱりか…。初めてケットシー族見るけど、あの耳が特徴的だったから、そうじゃないかと思ったよ…」


 「レイジ?もしかしたらですが、あのケットシーの少女ですが、お姉さんが逃がしてくれたって言ってましたわね?あの子が偽者に捕まってしまった子の可能性もありますわね…」


 「その可能性で間違いないかもしれないが…もう少し様子を見てみよう…」


 背の低い男は掴んでいる少女の腕を大きく振り払うと、少女は地面へと叩きつけられ転がってしまう。するとその男は強引に少女の着ているボロボロの奴隷服を引き裂く。


 「ひぃっ!!な、何をするの!?」


 「大人しくしろ。どうせお前達は魔族をかくまった重罪人だ!!」


 小さい胸が露に剥き出しになった少女は慌てて胸を片手で隠しながら後ろへ後ろへと後退りを始める。少女の後ろには、兵士みたいな格好をした男が居て逃げようと後退する少女の前へとやって来て、少女の両脇の下を手で掴む。


 「だから逃げるなと言っているだろ?諦めろ!俺が食ってやってもバレなければいいんだからよ!」


 「い、いやぁ!!やめるにゃ!!」


 その光景を見ていると、コタースが…。


 「レイジ~?助けてあげる~!?助けないとまずいよ~っ!」


 「でも、変装」


 「ああ…。でもどうすれば…」


 下手にここで出ていっても、話が広まりややこしくなる…。せっかく変装までしたのに…。バレたら偽者の耳にまで届けば厄介だ。どうすれば…。いや…、待てよ?


 (変装している姿がバレたら終わりなら… 変装していない俺なら…。一か八かのかけだ…。よし…)


 「ここは俺が先ず出る。コタースは万が一があれば、いつでも応戦できる準備を…」


 「分かったよ~!でもどうするの~?」


 「俺がレイジからルイスになればいいだけさ…」


 俺は、頭に着けているターバンやマントを取り、目の色や金髪になる魔法を解いて元の黒髪や茶色の瞳へと戻す。


 「俺が偽者になって前へ出ればいいだけさ」


 「で、ですが、本物が現れたと知れわたるのでは?」


 「どちらにしても直ぐには分からないはずだ。偽者は俺がここに居る事すらしらないし、まさか変装してここに来ている事すら分からないはずだ…」


  懐にしまってあった共鳴石を取り出して、仁さんに念を送る。


 (これから俺は偽者のふりをして前へ出ます。何かあれば援護をお願いします!)


 (分かったでござる。目を離さず見ているでござる。何かあれば拙者に任せるでござる)


 俺は仁さんの言葉を聞き終わるとゆっくりと、少女達の居る方へと向かう。やがて、一人の兵士に見える大男が俺の姿を気付くと、こちらをじっと見ている。その大男の様子に気が付いた背の低い男は、大男が向けている視線の方へと振り返る。


 「だ、誰だ!!…って、まさか?」


 「ああ。そのまさかさ。俺が誰か分かるよな?」


 背の低い男はゴマをするようにへつらい両手を揉み合わせる仕草を取る。その表情は少し引きつったようにも見える。


 「ま、まさかルイス様がこんな場所まで…」


 「何故、この少女にこんな事をした?」


 「い、いや!この少女が逃げ出したから、少しお灸を吸わせてやろうと…」


 少女を見ると、俺の顔をじっと見て怯えている。


 「じゃあ、何故に服を?何をしようとした?」


 「いえいえ!あまりにも言うことを聞かない為、暴れようとするから服を引っ張ってしまって破いてしまったんですよ!」


 背の低い男は俺を見ながらもヘラヘラしながら嘘を平気で吐く。その表情はまるで悪徳商人のような嫌な顔だ。


 「俺がその一部始終を見ていないとでも思ったのか?」


 「め、滅相もございませんっ!!本当に暴れるから…つ、つい!つい服をびりびりーっと!」


 「まさか、近々楽しいショーを開くのにお前はこの少女を強姦するつもりだったのか?!俺がこの子に何をしようとしてるか分からないはずではないだろうな?」


 「ひ、ひぃいいい!も、申し訳ありません!!命だけは!!」


 

 俺は少女の方へと歩み寄る。そして少女に小声で話しかける。


 「もう、大丈夫だから…。俺に合わせて?」


 「えっ…?は、はい…」


 ケットシー族の少女も震えながらも小声で答えてきた。俺は少女の状況を確認した後に、再び背の低い男に話しかける。


 「お前っ!」


 「は、はい!」


 「この少女は俺が連れ戻す。後はやっておくから帰っていいぞ?」


 「へっ?!」


 背の低い男が変な声を出した後、その男の後ろに居た大男が俺の前へと歩いてきた。


 「ルイス様よぉ~、そりゃあないぜ?話が違うだろうが!こいつらが逃げ出したら好きにしていいと言ったのはあんただぜ?まだ金も貰ってねぇじゃねぇか?なら、遊んでからでもいいだろ?」


 「残念だが、断る」


 「んじゃあ交渉は決裂だぜ?さすがのこの人数、どう相手にするつもりだ?勇者様よ!」


 「え、ええい!!お、お前達!ルイス様を少し痛め付けてやれっ!!」


 背の低い男が大声で叫ぶと、大男は自身の気を高めだす。多分、強化魔法を掛けたのだろう。次第に体から青白いオーラが浮かびあがる。そして、背中に背負っている大きな斧を構え出す。俺は少女の前に立ち腰にぶら下げていた剣…以前、ガッシュから貰ったミスリルソードを鞘から取り出して構える。


 「う、後ろにも、仲間が居るの忘れるなよ!!後ろの護衛達!勇者に矢を放て!!」


 俺や少女の後ろにいた護衛達も一斉に弓を持ち矢をつがえだし俺達の方へと矢じりを向けて構えだす。俺は共鳴石を使い、コタースとクリステルに話しかける。


 (クリステル!セイクリッドシールドを俺達に展開してくれ!コタースは後ろに居る護衛を!仁さんは大声の後ろにいる護衛を!)


 (分かりましたわ!)


 (準備はいつでもOK~!了解だよ~っ!)


 (うむっ!拙者も大丈夫でござる!)


 護衛達が弓を放つ瞬間、俺と少女の周りに青白いオーラを放つ壁が出現する。何十本にとおよぶ放たれた矢は壁に当たると地面に静かに落ちる。


 「んなっ!?」


 背の低い男がまた変な声をあげると、次はコタースの矢が俺の後ろにいる護衛達が一人、また一人と膝や肩に命中して当たり戦闘不能状態に陥る。更に、仁さんも高い建物の屋根の上から手裏剣を投げ出すと、大男の後ろに居た護衛達にも見事当たる。彼らも同様に肩等に刺さり痛みでもがき出す。


 「お前ら、これで分かったか?俺を倒そうなんて考えは起こさない方が身のためだぞ?」


 「フンッ!たかが護衛数人を仲間がやっただけじゃねぇか?今度は俺からいくぞ!勇者様よっ!」


 大男はゆっくりと前進してこちらへと向かってくる。その表情は俺を倒せるというような自身で溢れているかのように変な笑みを浮かべていた。

 


 


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※誤字脱字には気を付けるようにしていますが、結構あります…。あった際は教えて頂けると嬉しいです。


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