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80 クローン技術?


 アスガルド地方から逃げてきた魔族の夫婦を連れて、俺達が住む村に戻ってきた俺達一向…。


 「ありがとうございます…、ご恩は忘れません!」


 二人の夫婦は何度も何度も頭を下げてくるので、かなり恐縮してしまう…。


 「ああ!気にしないで!今、空き屋の確認をしているから…こっちで暫く待っててほしい」


 俺は、二人を自分の家へと案内すると…。


 「おっ!帰ってきたのじゃな!」


 スルトが俺の声が聞こえたからか、家の戸を開けて元気にパタパタと出てきた。


 「あ、あれ!?」


 魔族の旦那さんがスルトをまじまじと見るなりぎょっとした表情で驚く。


 「ま、まさか!アスガルド国の王女スルト様じゃないでしょうか!?」


 「うむ!!我の事知っているのじゃな!?」


 スルトは目を瞑り、両手を腰に当てえっへん!とポーズを取る。


 「あー、ちなみにルイスは我と将来を近いあった中なのじゃ!」


 「お、おいスルトぉ!」


 「なんじゃ?」


 スルトは俺の事を何故呼んだのか不思議そうな顔でこちらを見ている。そんな、魔族夫妻の顔は何が起きたか分からないような表情をして放心状態でこちらを見ている。

 すると、奥の方から母さんの声が聞こえてくる。


 「あら?ルイス?帰ったのね?おかえり~」


 「ああ!ただいま!母さん!」 


 奥の方から母さんが、居間の方へとやってくる。


 「あら?その方は?」


 魔族夫妻は母さんを見る…。夫妻は放心状態だった表情が目が点になり更に酷くなったように見えた。


 「あ、あああ!あなた様は!」


 「ゆ、ゆゆゆゆゆ!!」


 「ゆ?」


 母さんは二人に向け笑顔でその続きを聞こうとしている…。


 「ユミル王妃様ぁ!?」


 「い、生きておられたのですか!?」


 魔族夫妻はどうやら、育ての母親であるユミルを知っているようだ…。


 「あら?貴方達はたしか…。アスガルドの魔術研究員の?アルガスさんとカミラさん?」


 どうやら母さんも二人を知っているらしく…。

男性はアルガスさん。女性はカミラさんという名前らしい。


 「そうです!!生きておられてよかった…」


 「まぁ…、旦那は亡くなってしまいましたがね…。でも、今は私の二人の娘と息子と一緒に暮らして幸せよ」


 母さんは…、本当に優しく…。俺を本当の子供みたいに接してくれる…。本当に感謝しかない…。


 「き、君の育ててくれた魔族の母親とはまさか!?」


 「ああ!この人が俺の母さんだよ!」


 「「どっひぇーーーー!」」


 アルガスさんとカミラさん夫妻は更にびっくりしてハモりだす。そりゃそうだ。今日1日でたぶん、何年か分びっくりした事だろう…。



………。

……。

…。




 それからアルガスさん、カミラさん夫妻の家の準備が完了するまで、彼らの話を聞いていた。二人はアスガルド崩落する前は魔術研究員で働いていた。崩落後は逃げ惑うように一つの村に逃げ込んだらしい。しかし、崇拝教が魔族の命を使いとある研究をしているのを目撃はして、それを調査しているところ、追いかけられていたという…。


 「それって、ホムンクルスの実験?」


 俺は数ヵ月前のエルドアス王国襲撃時の事が脳裏に浮かんで疑問になった。


 「いえ、それよりもタチが悪い…。クローン作成の錬金術だ…。俺達は偶然にも、その実験現場を見て知ってしまったため、やつらに見つかり、殺されそうになったけど、何とかここまで逃げてこれたんだ…」


 「クローン?」


 初めて聞く言葉だったが…。隣にいた母親が…。


 「あの者達はついに禁忌をおかす研究を…。クローンというのは、その対象の血液や髪の毛…、あらゆる方法で自分そっくりのもう一人の対象を作りだす技術なの…」


 「つまり…、例えば、俺と同じ人をもう一人作る技術なのか?!」


 丁度、その時、ヒナルが料理を作り終えて台所から居間に戻ってくる。


 「えぇ!?この世界でもクローン技術が!?」


 ヒナルの世界…、いやいや、俺が産まれた世界にもそんな技術があったんだ…。


 「つまり、お兄ちゃんのたった一滴の血液があれば、もう一人のお兄ちゃんが作れてしまうって感じ。私の居た世界では禁止されていたよ…」


 その技術が目的で女神崇拝教は…。やつらは一体何をするつもりなんだか…。


 「それにしても、それは許せないね…」


  ヒナルもその件については真面目に聞いている。クローンについては否定してくれる。俺が一人増えるって事で嬉しがると思った…。まじに。


 「例えばヒナルは俺がもう一人居たらどちらも好きになれる?」


 「そんなわけないじゃん」


 ヒナルは首を横に振る。後ろで束ねた長い髪がふさふさと一緒に揺れる。


 「あー、これ、私の世界の話だけどクローン技術で作られた人って、必ずしもその人と同じ性格になるって限らないんだよね…。だから、私はいくらお兄ちゃんのクローンでも好きにはなれないと思う…。だってただ顔とかが似ているだけで、お兄ちゃんと性格が違うなら、それは私の好きなお兄ちゃんじゃないし…」


 「うむ!ルイスはルイスじゃからの!我も同じなのじゃ!」


 「世もルイス、お主だから世の背中に乗せてるのだ。ルイスはお主一人しかおらぬ」


 スルトもバハムートも二人して、クローンに否定している…。俺も皆のクローンがそこに居ても、俺が好きなのはここにいる皆だから、クローンの彼女達を愛せるか?言われれば無理だろう…。

 やがて、夫婦の住む場所の準備に行っていたコタース、クリステル、シュー、エアロが帰ってくる。


 「兄貴~っ!言われた通りやってきたよ!誉めて?誉めて? えへへ!!」


 シューはいきなり俺に抱きついてくる。抱きつき方が嬉しいのか力が入っていて意外と痛い…。


 「お帰り~。みんな。ありがとうな!」


 「うん~っ!みんなで頑張ってきたよ~っ!ウチ、頑張ったよぉ~」


 「ふふふ、ルイスのためだもの!当たり前ですわ!」


 「わ、私も頑張りましたぁ!!な、ナデナデってしてほしいです…。ルイスお兄様…」

 

 俺はクリステルとエアロにも優しく頭をナデナデとする…。


 魔族の夫婦は帰ってきた4人と俺のやり取りを見て…。


 「あ、あのー?ルイスさんって、凄い女の子にモテてるんですね…?」


 「ルイスさん?まさか全員奥さん?!」


 すると、いきなり横からシューが魔族の夫婦と俺の間からひょこっと体を出してくる…。


 「そだよー!!もちろん全員、ルイスに初を捧げたいくらい皆、好きなんだぜ!あー、私は既にルイスに捧げちゃったけどね!テヘ!」


 シューは片目を瞑り、舌をべーと前につきだす。なんと言うか可愛いんだけど…でも!


 「し、シュー!!!こらぁ!! テヘじゃねーよ! 夫妻にめっちゃ変な目で見られてるだろー!は、恥ずかしい~!」


 「いーじゃん本当の事なんだから!」


 「お兄ちゃん!!!ずるい!」


 「あっ!ウチを置いて~っ!!」


 ヒナルとシューとコタースが俺に抱きついてくる…。それを見ていた夫妻は、またここでも目が点となって、口がポカーンと開いてしまっていた…。


 「はいはい~。皆?そろそろやめないとアルガスさんとカミラさんが困ってしまうわよ?」


 母さんは手をパンパンと2回はたき、このどんちゃん騒ぎを止めさせようとする。


 サンキュー!母さん!


 それから、二人をこれから生活していく住む住宅へと案内し、ざっくりここでの生活の仕方を説明した。終わる頃にはもう暗くなっていた…。

 ただ俺の戦いはこれからだった…。あ、ある意味の戦いね…。疲れてるから休ましてぇ~~!!




………。

……。

…。



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