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74 騎士と恋人達との亀裂… その4

 ~ハロルド視点~


 それでもルイスは行為をやめない…。まるでオレが来たのを無視するかのように腰を降り続けて、エルフの喘ぎ声がこだまする…


 オレの怒りは頂点に達する…。俺は腰の横にぶら下げていた黒の聖剣を手にとり、ルイスに向かって斬り付けようとした…。しかし…。


 「ちょっと!ハロルド!!貴方!?」


 「やばいよね!!勇者様に!?何て事を!」


 「そんな未熟の剣じゃー、俺も斬れなければ女すらもイカせる事ができないぞ?」


 おもいっきり剣を降ったはずだが彼の体にぴたりと剣が張り付くように止まってしまう。


 「悪いが俺にはいかなる魔族の攻撃も通用しないんだ。」


 ルイスは腰を思いっきり突き上げると、二人して達してしまう。


 「あ、あっ…あああっあ…」


 「ハロルド?見てみなよ、このエルフ。イキすぎて顔がもう焦点向いてないだろ?そう言うことだぞ」


 オレの精神がおかしくなりそうだ…。もう完全に…


 「うわあああああああっ!お前を殺す!ルイス~っ!!殺してやる!」


 何度も何度も斬り付けるも攻撃は効いていない。やがてルイスは聖剣を取りオレに向けて一振剣を振る。光の閃光がオレに直撃し、外へと吹き飛ばされる…。


 「くっ、くそっ…」


 思ったよりもダメージは大きく…。オレの姿を見てルイスや彼女達は嘲笑う。


 「だから魔族の攻撃は通用しないといっただろ?そろそろ頃合いだね」


 ルイスは指をパチンっと鳴らすとオレの周りに光の渦が集まりだす。やがて渦が俺の体にまとわりつくと。


 「ほら、これが正体だ」


 (正体…?まさか…!!)


 オレは慌てて頭や耳に無造作にも手をやる。すると隠していたはずの角や耳が露になっていた…。


 「ハロルド…。貴方…私達を騙していたのね?」


 「やっぱり魔族だったんだね!こんなヤツに初を捧げようと思わなくてよかった~」


 「や、ヤバいっすよ!早くこの魔族殺した方がいいんじゃないッスか!?」


 「お、お前達!?違う!俺は騙してなんかいない!いつか打ち明けよ…」


 オレが言葉を言いきる前に幼馴染みが…。


 「貴方はずっと私達を騙していました。それでもまだ何かあるのですか?私達は魔族が嫌いなので…もうここで縁を切りましょう」


 「気持ち悪いから早く勇者様に倒されてくれないかな?っていうか、何、じろじろみているのかね?やめてほしいんだけどね」


 「エルフと魔族が仲良くなれるって思ってるッスか?!なれるわけないッスよ!」


 エルフはそこにあったルイスとエルフの体液がついた紙を丸めてオレに投げつけてくる。顔にびちゃっと当たる…。ルイスは立ち上がり俺に近づいてくる…。


 「白けたな…。」


 ルイスはオレの腹を殴り付ける…。もろにくらってしまい… そのまま意識を失う…。




………。

……。

…。



 夢を見ていた…。楽しかった思い出がフラッシュバックし昨日の事は夢だったんだと…。しかし、その夢の中でも彼女達はだんだんと離れていく…。


 「ま、待ってくれ!!」


 俺は彼女達に声をかけるが…。彼女達は振り向きもせず歩いていく…。やがて彼女達の前にはルイスがいた…。ルイスはこちらを見るなりニヤリとする…。 


 「ル、ルイス~~~っ!!!」


 次第に目の前が光輝きだすと…。


 「兄ちゃん!兄ちゃん!!!」


 誰かがオレを呼ぶ…。あぁ…妹か…。ゆっくり悪夢から目覚めるとそこには妹と助けた少女が俺を見守っててくれた。


 「あ、あれ… 俺は?」


 「兄ちゃんが街の中で倒れているって聞いて…。っていうより何があったの?」


 「いっつつつ…。あぁ…。勇者ルイスだ。ヤツに… ヤツにやられた…」


 オレは妹と少女に全てを話した。彼女達は魔族を嫌っていて俺が魔族としると直ぐに態度が急変した事、3人は勇者の手中に入ってしまい勇者に堕ちてしまった事だ…。


 「ひ、ひどい…。私達、仲良くできる思ったのに…」


 「オレはついカッとなってルイスに剣を突き立ててしまった…。もしかしたらヤバいのかもしれない…」


 その時だった…。この小さな村にたくさんのセトリア兵と勇者ルイス、そして勇者の手に墜ちた恋人達が集まっている。

 勇者ルイスが前へと出てくる。


 「ここに魔族が3人隠れていると聞いた。匿っているなら、差し出せ。まだ間に合うぞ。」


 村人に向けて言うが、生憎この村は魔族とも交流が盛んで良い村だ…。


 「ここには魔族なんかいないぞ!」


 「そうだ!!居たとしても素直には渡せない!」


 「ほう。勇者の命令も聞けないのか?」


 更に、続けて勇者に対して物申す人がいる。オレの知人の婆さんだ…。


 「ここは魔族と共に共生を選んだ村じゃ…。素直に出て行ってくれんかのう…」


 「お婆さん。これが最後だ。もう一度聞く。魔族はどこだ?」


 知人の婆さんは更に一歩前へと出る。そして…


 「お主は本当に勇者か?勇者が何故、普通に平和を願う罪の無い者の命を簡単に奪うんじゃ?」


 「魔族は敵だからだ!いかなる理由だとしてもいずれは人間に楯を突く!」


 「勇者ルイスといったのう?本当にあんたなのか?ここは小さい村じゃが、勇者ルイスは魔族と共に悪を撃ったと聞いたよ?あんたは本当にルイスなのかい?」


 そう婆さんに言われたルイスは手を軽く上げ…。


 「焼き払え…」


 その瞬間、兵士達は火のついた矢を放つ、他の兵士も次々と村人を殺戮していく…。そんな光景は今まで見たこともない…。あの恋人だった者達まで村に居た他の魔族をいたぶっている…。時折、勇者と口づけをしながら…。やがて、俺達が隠れている場所まで兵士が来ると…。


 「兄ちゃん!!私が囮になるから!貴方達は向こうから出ていって!」


 「何を言ってるんだ!?バカな真似はよせ!」


 「私はまだスキルが何か分からないけど…。兄ちゃんのスキルなら… いつかあの勇者… ううん…あいつを倒せる日が来る!」


 「おい!」


 妹は立ち上がり扉の取っ手に手を取り…


 「今まで…ありがとう…。その子の事…宜しくね…」


 「おい!」


 (嘘だろ!なぁ!! おい!!辞めろよ!!)

 

 オレも追いかけようとすると少女がオレの手に首をふる…。


 「今は行かないで…。あの子の考えが無駄になっちゃいます…」


 妹は走っていく。それを兵士が追いかけ始める…。あの足では追い付かれるのも時間の問題だ…。ごめん…!ごめん!こんな頼りない兄で…。オレのせいだ…全て…


 「あっ…ああっ…ぐぅっ!ぐすっ!!」


 くそっ、どうしてこうなった…。


 いや、全ては…。


 ルイス…。


 キサマのせいだ。キサマが全てを奪っていった…。


 オレは…、オレは次会う時までに…


 キサマより強くなって…


 キサマを殺す…。




………。

……。

…。




~ハロルドの妹視点~



 兄ちゃんと離れてから何ヶ月経ったのだろうか…。行く場所すら分からないまま何ヶ月もさ迷い続けている…。

 ここがどこかすら分からない…。とりあえずあの追手から逃げる事ができた。偶然農家さんの馬車が通ったから、藁に身を潜めながら逃げる事が出来た…。もう疲れた…。兄ちゃん…大丈夫かな…。助けてあげられなくごめん…。


 私は、絶望した。何故、魔族がこんなに惨めな思いを?何故?優しい人間はいないの?いても皆殺されるの?私は軽く気を失い転んでしまう…。


 私は、そう思った…。そんな時…。私の目の前に和気あいあいとフードを被った集団が歩いてくる…


 (人間だ…。隠れないと…。でももう気力が…)


 そう思って立ち上がる事が出来なかった…。

そこへ、フードを被った集団の一人が私に声をかけてきた…。フードの奥からでも見える赤い髪に真っ黒な目の凄く可愛らしく見える女の子…。


 「おおおお!!お主っ!!!魔族なのじゃ!?」


 「こらはしゃぐな!!」


 フードをかぶった男性がその女の子の頭を軽く叩く…。


 「い、痛いのじゃああああ!!お主はちーっとも女心を理解していないのじゃああああ!」


 「まぁー、仕方ないよ!じゃあボクなんてどうするんだよ?男と同じ扱いだぜ!?」


 「それは貴方が悪いからだと…。ね!お兄様!」


 「うんうん!アンタが悪い!アンタがやばい!いっつも女の子の事ばかり考えているアンタが悪いの? た、たまには私にも…」


 「姉さん…言葉がおかしい…です…。」


 「うん~っ、たしかに~っ、女たらしだよね~っ!うんうん~っ!わかるわ~っ!」


 な、なんなのこの人達…。絶対怪しい…。


 「それよりもだな!この子を!ミランダ!」


 「はい!!フィリシア様!!」


 「だからミランダ!様はいらん!」


 様ってなに!?偉い人なのかな…?


 「本当にこやつらと来たら…。すまんな…余はバハムート。竜神じゃ…」


 「ひ、ひぇ!?」


 なななななな、なんか頭のいっちゃってる幼女が、自分の事を竜神と!!


 「なんだ?お主は。信用しとらんのか?なら見せてみようかのう?」


 幼女はそう言うとフードの男性が幼女に…頭を軽くグリグリする。


 「そういうのはいいから!」


 あれ、この男性の声どこかで…。


 「はいはい~皆さん!この少女と一緒にクリステルさん特製の美味しいご飯食べましょうか?」


 「ぎゃあああああっ!そ、それだけは勘弁なのじゃ!お主に渡すのじゃ!」


 赤髪の少女はフードを被った男性のお腹をポカポカ叩く…。


 「ええええっ!俺!?俺なの!?」


 「あら?私の特製料理は食べれないでしょうか?貴方のために頑張って作ったのに… レイジさんのばかぁ~。」


 「レイジお兄ちゃん!!食べてあげなよ!」


 フードを被った男性の人、レイジさんって名前なんだ…。


 「レイジどの…。そろそろマジでお腹空いてきたでござる!!拙者の忍者飯もあるでござる!」


 「やったー!パパの特製忍者飯~!あ、アンタはクリステルさんの食べてあげなよ」


 「そう…です…。クリステルさん…悲しむ…です。」


 「そ、それよりこの子どうするんだよ!」


 レイジさん…。女の子にモテモテでいじられているけど…。優しそうに感じる…。


 その時だった…大きな突風が吹き荒れる…。フードを被った男性の顔が露になる…。


 「ルイス!突風がきたのぅ…荷物が飛ばされぬよう押さえるがよい!」


 幼女がフードを被る男性に言う…。ルイス…。ルイスって…。私は恐る恐る男性の顔を見る…。


その顔は…。


 「ひっ!!」


 そう…。数ヶ月前に村を一つ壊滅させた…勇者の顔だった…。


 「いやぁぁぁぁぁぁあああああああああっ!!」


 私は気を失ってしまった…。

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