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46 勇者、聖剣を抜く…


 ミランダの後に続き俺達は付いていく…。するとミランダは仕事モードOFFの表情になりこちらを見る。


 「ふう~っ…。やっと素に戻れる…。」


 ミランダはニコッとこっちを向いて…。


 「ずっと待ってたんだよ?!あの日、王国で会おう~ってルイス君言ってたじゃない!約束破るなんて!」


 「あ、あぁ…、たしか…に…」

 

 や、やばい…忘れてた!なんて言ったら怒られるよな…。


 「それにしても、王様との会話の時といい、フィリシア王女の会話の時といい…、あの3人の話になるとルイス君… 凄く怖い顔をしていた…」


 やっぱりバレてるよな…。


 「うん…、私も思った…。おにいちゃ… お兄さん?もしも私が…その3人みたいになったらどうなるかな?」


 「…」


 正直分からない。いくら好きになってもさ?


 「ねぇねぇ!アンタ!何の話してるのよ!私にも教えなよ!」


 「だから姉さん… 黙る…です!」


 フレアは持っている杖でぴょこっと軽く叩く…。


 「そうだぞ。二人とも!これは大人にならないと分からない問題でござる。お前達にはまだ分からないで言い事でござる。」


 「ウチだったら~っ、好きな人がそうでも嫌いになれる自信が逆にないかな~っ…」


 コタースの方を振り向くとコタースもチラリと俺の顔を見る。目が合うと顔を下に伏せてしまった…。


 「なのじゃ~…。これが男と女の違いなのじゃ!」


 えっへん!というポーズをとるスルト…。いや、お前も分からないのでは?と思うと笑いたくなった。決してばかにしてる訳じゃないよ。


 「うん~… 私なら何も言わずに縁を切るかな…。でも彼女達の気持ちも分かるかもね…」 

 

 と続いてミランダが喋る。


 「うん。今ならその人達の気持ち…わかるかも…。近くにいるのに手の届かない場所にいる…。触れたくても触れられない…。触れたら自分も壊れそう… そういう気持ち…。わかるかも…」


 ヒナルは何か意味深な言葉を吐く。この時の俺はそれがどういう事かはまだ理解していなかった。でもヒナルの言葉にその3人の凄く切ない悲しい気持ちも詰まっていると少し分からされた気がした…。



………。

……。

…。


 王宮、一番奥にある階段を降りていく。王宮の装飾から一気に周りの雰囲気が変わっていく…。かなり昔から存在している場所と伺える。青色の蝋燭がゆらゆらと…。物凄い魔力を肌で感じる…。


 「わぁ~綺麗…」


 「みゃお~!」


 フレアが辺りをキョロキョロしている。フレアの猫耳フードの中にいるクロも揺れ動く青色の蝋燭が気になるのか手を出そうとするが届かない…。


 階段を降りればかなり老朽化が進んだ大きな扉へとたどり着く…。


 ミランダは胸元のペンダントを翳すと扉が青く光だし動き出す。


 「凄い魔力を感じたけど…?」


 「ふふふ、流石ルイス君。分かった?」


 「あぁ…。怖いくらいだよ…」


 今までこんな魔力とか感じた事なかったのに…。


 扉の中に入れば空気が一気に変わる…この通路はまだ続いていて…周りにはさっきまでなかった白いもやが見える…。


 「なんか、周りがみにくいな…」


 「むっ?どうしたでござるか?」


 仁さんは気が付いていないのか?


 「いや、白いもやのせいで周りが見辛くて…」 

 「拙者には見えないでござるよ?」


 「ウチも~。もやなんてかかってないよ~」


 「アンタがえっちな妄想してモンモンにしてるからじゃないの?!」


 「みゃう!!」


 クロが何故かフレアを両前足でパシパシと叩く。


 「クロ~っ!!オマエもかぁ!みゃうみゃう!」


 とフレアはクロを指で撫でる。


 通路の奥に付くと円形の構造になった部屋になっている。目の前には大臣がいて、奥には聖剣らしい物がつきささった祭壇がある…。


ボンメルやグリップ部分の至る所に綺麗な神秘さを漂わせる虹色の宝石が装飾されている。その虹色の宝玉からは様々なオーラが浮かび上がっている…。ガードには光輝く金のような光が輝いているのがわかる…。


 「さぁ…勇者様…祭壇へ」


 俺は祭壇へと上がる…。そしてグリップ部分に手を触れると…。


 バチンッ!と音がする。慌てて手を離すがもう一度グリップに手を触れる。何度も電流みたいな音が聞こえる。


 「勇者様…。魔力を高め… 引き抜いてください…」


 「分かった…」


 指先に魔力を集中させると…。次第に電流が無くなる。完全に無くなった所で一気に魔力を貯めて…。


 「はぁああああああああっ!!」


 一気に引き抜く…。


 スポーンッ!!


 「ああああああっ! はっ?!」


 力込めなくても簡単にすぽっと抜けてしまった…。いや、普通こういうのって、力いれてバチバチさせながらやっと抜かない?!抜くよね?!いや、ちょっと力込めて叫び声出して抜いた俺…。カッコ悪いよね!?


 後ろを振り返れば皆がきょとーんとした表情で俺を見ている…。


 「は、恥ずかしい…」


 「ん、ウォッホン!!ん、んん…」


 大臣…なんか笑ってるの堪えているように見えるんですが…。


 「ゆ、勇者よ!!ここ何百年と誰も抜けなかった聖剣を良く抜けた!つい正式にルイス・ガーランドは真の勇者となる事をこの目で確かめた!皆!異論はないな!」


 「お~っ!!」


 大臣の周りにいる騎士もミランダも歓声をあげていた。




………。

……。

…。



 それから、王様に会い…。正式に勇者としての手続きがあり、各王国へと伝達し、証明を公開したいとの事で約1週間ほど王国で滞在する事となる…。


 今日の夜…。俺はヒナルにしっかりと思いを伝えるんだ…。ヒナルが返事をまっているから…。


………。

……。

…。



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