44 ルイス、寝取られた3人の現状を知る…
~ルイス視点~
ヒナルが出てくる。ヒナルは大聖女という何百年に一度という勇者と同じく一人しか存在しないジョブを持っていた。ヒナルはディスペルというヒナルが仲間や親しい人だと思っている人と触れた時にデバフ等を消し去るスキルを持っていた。
「…という事で、お疲れ様。ヒナル」
「うん」
俺はヒナルの頭を撫でる。疲れているのだろうか、表情に疲れが見える。
今日…。返事をの答えを早く、聞かせたい。そんな思いで一杯だった。
その後に、コタースとスルトが順番で適性検査を受けに入っていく。
「お兄さん?前に色々な人が私達を見て兄妹みたいに見えるって言ってたよね?」
「あぁ…、あまり気にするなよ?俺は母さんも父さんも居たからさ?ずっと一緒に暮らしてきたのは事実だし…。なんなら4歳前の時の事も覚えている。優しい子守り歌でよく寝かさしてもらってたよ?」
「うん…、それは分かっている…。でも、もしも私達が本当の兄妹だったら… どう思うかな?って…」
ヒナルは少し落ち込んだ表情で俺を見てくる。
「う~ん…、妹がいるっていう実感がないから分からないかな?でもなんで急に?あまりそんな事気にしたらダメだよ?」
「うん…。そっか…。まぁ、今のは忘れて?」
「ん?…わかった」
そう言うとヒナルは無言で俺に抱きついてくる。静かに泣いているのが分かる…。何かあったのかな?
そうしていると、一人の女性がこちらに向かって歩いてくる。よく見ると…。
「フィリシア?」
ゴールドヘアーの長い髪とエルフ耳がよく似合う、あの時のエルフ国の女騎士…。フィリシアがそこにいた。
「あぁ、つい先日だぶりだな。結果は聞いたぞ。流石はルイスどのだ。それにヒナルどもも…。」
「こんにちは、フィリシアさん」
ヒナルの言葉にフィリシアはニコっと笑い…。
「どうだ?私の言った通りだっただろ?」
「ああ。正直、自分でも信じられないくらいだ。ずっとあのアレックスが勇者だって思っていたから?」
「あんなクズが勇者ではないと私はすぐに分かったがな…」
ちょうど、ミランダもこちらにやって来る。
「お疲れ様です。フィリシア王女…」
あれ?ミランダ?今何て言った?
「今は他の少女達も適性検査受けているのであろう?」
「はい。まさか王女様がルイスさんと接点持っていたなんてビックリしました!流石は王女様です」
「フフフ、私もだ。まさか巡回中にあの場で出会えたのも何かの縁なのだろう」
ちょっとまて!今、ミランダ?王女様って2回いったよね?!王女様って!
「えっと…フィリシア…、いや… フィリシア王女…?貴方は…エルフ国の王女様だったのでしょうか?」
「…ん?そうだが?」
ぎゃああああああああっ!俺やっちまったよ!やばいよ!失礼しまくりでこれ打首だよ!!
「も、申し訳ありませんでした~っ!」
「わ、私も~!!」
俺もヒナルも頭を下げた…。
「フフ、何を今更。これまで通りで接してくれたらそれで許そう」
そっちの方が怖いんですけどぉ~!
「わ、わかった。フィリシア…王女…」
「だから、王女をつけるな。王女を!」
こ、コワひ………
「それにしても…、エルフ国…大変な目に合ったな…。号外新聞で見たんだが…」
「ルイスどのと別れてからすぐだ。あのクズが勇者じゃないと分かっていたら別の手を探して被害を少なくしていたのだがな…」
「まさか、アイツが偽物だったと知らなかったからな…」
勇者と祭りあげられ相当受かれていた彼は今は絶望のどん底にいるんだろうな…。
「ん?まさかあのアレックスを知っているのか?」
「ああ…、というよりも俺も元々は勇者パーティーだったし婚約者達も一緒だった…。恋人も何もかもすべてあいつに奪われたけどね…。あいつらは今、何してるんだか…。」
「私も会った事ありますが、アレは相当なクズ男で女ったらしなやつでしたね」
ヒナルも凄い事を言うなぁ~
そして、フィリシアの目付きが一瞬にして変わる。
「そうか…。そうだったのか… ルイスどのよ。今から言う事を心して聞いてくれぬか?」
「へっ?」
フィリシアは俺の両肩に手を置いて…。
「あの少女達3人は…アレックスによって魅了を掛けられていた…」
はっ?!?!?!?!どういう事だよ!!
「ど、どういう事…?!」
「彼女達の適性検査を再度受けた時に発覚した…。いつから掛けられていたか分からんがな…」
アレックスが魅了を掛け洗脳していたという事…?いつから…?!
いや…半年前のあの時からか…?アレックスが聖女を探しに来たあの日からか…?!
「とりあえず、彼女達は治療院で休ませている。まだ精神的に落ち着ける状態ではない。何するか分からんからな…」
「そうか…」
全てはアレックスのせいだ。俺はじわじわと怒りが込み上げてくる…。
「彼女達はいつも何度も何度も何度も謝罪の言葉を誰かに向けて呟いている… きっと恋人や好きな人であった そなたに対してだろう…」
「そっか」
「彼女達の元へ行ってあげてくれぬか?」
たしかに魅了されていたけど、今更会ってどうこうするつもりもない。今が幸せだし、本当に好きな人もいる。それ以外にも俺に好意を持ってくれているであろう子もいる。だから俺は彼女達に興味がない。むしろ、いくら魅了されていたとは言え、体はすでにアレックスに犯されている。正直、そんなヤツに抱かれたヤツらに会いにいくのは気持ち悪い。被害者だとは分かるが…、気持ち悪いものは気持ち悪い…。それでも大丈夫と思えるやつは相当なお人好しだろう。これは実際に寝とられた人にしか分からない気持ちだ。
「それはできない。今の方が大切だから…」
「お兄さん…」
ヒナルは何故か悲しそうな表情を浮かべる…。
「そうか…、なら仕方がない…」
3人とも、悪いが…、お前達の事は見てあげれない…。汚いとしか見れなくなったからだ…。
暫く沈黙が続くと…。一人、綺麗な赤髪の少女が検査部屋から出てきた。
のじゃ!のじゃ!と明るく出てきた…。
ルイスがクリステル達に思う気持ち。これは本当に寝取られた経験のある人の(作者自信も経験ある)思いだと思います。半端じゃないくらいの双方にとっての恨みは計り知れないです。嫌いな憎い男の体液がついた大切な人なんて嫌になります。普通なら…。しかし、クリステル達にはちゃんと救済があります…。それは是非、見ていただけたら嬉しいです…。




