42 真の勇者誕生。それは伝説級以上!?
俺達は、仁さんと、フレア、ケアル姉妹と一旦分かれてから、ミランダに学園の中へと案内される。地下の階段を降りる。レッドカーペットがその先まで続いている。非常に懐かしい。
今、凄くどきどきしている…。果たしてまだ分からないままなのか…、それとも自分のジョブが分かるのか…。できれば分かってほしいが…分からなかったら?思うとかなり困惑する。
そして適性検査を行う場所に来る。
「ふぅ~っ…」
「大丈夫ですよ。お兄さん…」
ヒナルは優しく俺の手を握ってくれる…。
俺は一人、検査部屋に入る。辺りは薄暗く中央の祭壇には巨大な水晶がある。15歳の頃と何も変わらない。だから尚更当時を想い出させる。
「久しいな…ルイスどの…。色々な話し聞いておる…。今のお主なら…もしかすると…。」
俺の担当する神官には見覚えがあった。15歳の適性検査の時に担当してくれた神官だ…。
「それでは準備ができましたぞ…。」
神官の言葉に俺はゆっくり前に進み、目を閉じながら…手の平に魔力を集中させる…。
水晶が眩しく光だした途端…、辺りが揺れ動く…。
「な、なんじゃこれは!?」
「じ、地震だ!」
前はこんなことなかったぞ!?俺の中で何がおこっている?!
すると一人の神官がボソッと…
「す、すごい…!これすごい!!!」
周りがざわつく。
水晶をよく見ると…。
その水晶は七色に輝いていた…。
「こんな事ははじめてじゃ!!!まさか!?」
そして、ゆっくり揺れは止まる…。
「な、なんじゃこれは!?」
え?なしたの?!また無能言われるのか…。
「出てきましたぞ…」
俺の心臓はばくばくしている。かなり緊張している…。
「お、お主は…」
早く、言ってくれ…。
「お主はレア7の"勇者"じゃ!!!!」
『お~~っ!!』
周りは歓声をあげる。まるで自分の事のように…。
「うむ。お主こそがまことの勇者じゃ!!伝説級以上のじゃ!!!」
俺が伝説… 伝説級の以上…?
は?!なんで!?だって今まで…。
「実感がないんだが…」
「して、スキルや特性じゃが…少し不可解な点がある。心して聞くがよい…」
何か不可解な点があるのか…。俺はやっぱり一筋縄ではいかないみたいだ…。
「スキルについては、オートバフ…。お主が味方だと想う者達全員にあらゆる能力の10倍以上のバフを与えているみたいじゃ…。故にそれはまだまだ成長する可能性もある…」
そうか…、だからみんなが…。ははっ、俺がみんなを守ってたんだ…。
「そして、特性としてはあらゆるスキルを変化させる能力があるみたいじゃ…」
セイントバーストの新技がいい例か…?
「それから、これが厄介じゃが…」
俺が一番気になっていた事だ…。
「悪い特性が2つ…。お主は何者かによりジョブやスキルを貸し出されてしまっている状態じゃ…それは呪いにも近い性質を持つ。そして2つ目じゃが…スキル、ジョブが貸し出されてしまっている間はお主はジョブもスキルも使えないという事になる…。」
思い当たる節はある…。そう…。唯一勇者として拝められて…、俺から全てを奪ったあいつ…。
「まさかアレックスか!?」
「そうじゃろうな…。して、最後にもう一つ…。お主には加護がある…。それは、大聖女の加護…。あらゆる呪術すらも寄せ付けなくできるお守りみたいな効果がある…。ただ時間制限があるみたいじゃが…これがお主の本来の力を元に戻していたのじゃろう…。」
これも思い当たる節があった…。全てはヒナルと出会てから…。ヒナルに触れたあの瞬間から俺は本来の力を取り戻せていた…。最近はあまりスキルが使えない事がなかった…。ヒナルと手を繋いだり、キスしてくれたり、一緒に寝たり…。常にヒナルが側に居てくれたから…。
ヒナル…。俺はお前の事が…。うん…離したくない…。好きになっていたんだ…。
今すぐ「ありがとう」と言い、この前の夜の答えを聞かせたい…。
大好き だと…。
「ルイス・ガーランドよ!!お主には勇者の称号をここに与えよう!!」
周りが一斉に歓声を上げる…。
物凄く実感が湧かないが…、俺は勇者だった…。でもなんで俺なんかが…。
とりあえず今はヒナルに会って気持ちをぶつけたい…。




