27 魔族という種族
200年も生きているロリっ子…だと!?そんな事よりも先代勇者を知っているのにも驚いた。
「ルイス!我はお主より年上なのじゃ!のじゃのじゃ!ふっふーん!」
可愛いけど、な、なんかむかつく…。
「ところでじゃのー?さっき…、勇者が使うスキルに似た波動を感じたのじゃ!それってルイスのスキルなのか?」
「まぁ…、俺が使ったスキルだ」
「やはり、お主…、勇者じゃないか?でも勇者はいるのだろ…?よく分からない話なのじゃ!」
スルトは腰を左右に動かす。赤い深紅の髪も一緒にゆらゆらふさふさと揺れる
「そういえば、ヒナルは聖女様なのか?」
「ううん…まだ分からないんだ…。これから適性検査を受けに行くとこ~」
「ヒナルは絶対に聖女様なのじゃ!しかも大聖女様!強い聖力がビリビリ伝わるからの!」
今度はヒナルを見て目を輝かせながら嬉しそうにピョンピョンと跳び跳ねる。
「そういうスルトはどうなんだ?人間とはちがうんだろ?」
「うん! 我は魔族じゃからな!」
え…。ま、まぞくっ!?普通に何言ってるの?!
「えええええっっ!!」
俺はつい、大声で叫んでしまった。すまんすまん!
「なんじゃあああ!耳がやぶけるのじゃ!魔族にも人間と仲良くしたい魔族がいるのじゃ!ふふ~んっ! そういうわけでこれからも宜しく… なのじゃ!」
まぁ、ましかに本当に人間に害する魔族ならもう既に襲ってきているはずか…。
ツンツンとヒナルが俺の頬を軽く突く。
「ねぇねぇ、まぞくって何?」
「魔族っていうのは魔界に住んで…」
話しかけている最中にスルトが横から喋り出す。
「違うのじゃ!!魔界なんて存在しないのじゃ!!我も他の種族と同じこの世界の人間なのじゃ!!」
「えっ?そうなの?」
「ただ、ちょっとばかし魔力が強い種族というだけで昔、神々から追放されただけなのじゃ…」
「追放って…」
俺が問いかけるとスルトは何故か寂しそうに…。
「ラビット族やケット・シー族、エルフ族等と同じなのじゃ…。ただ魔力が強い…、見た目が魔物みたいという理由でそうなっただけなのじゃ…」
「そういえばスルトもそれだけ高い魔力を持っている…って事になるよね?」
「今は無理なのじゃ…」
スルトはそう言うと、奴隷の首輪の下にあるもうひとつの首輪を見せる…。
「この封の首輪がある限りスキルすらつかえないのじゃ…。力だけはそのままでも、か弱い美少女だと男には負けちゃうのじゃ…」
スルトは続いて下を見ながら…
「そっか…」
俺にはどうする事もできないのか…?
「そういえば人間に悪さする魔族…、ああいうのは狙われないのか?そういう話も聞いた事がないから…」
「人間に悪さをするアレは神々が遊び半分で作った魔族に似たホムンクルスタイプの操り人形なのじゃ…。でも作るためには大きな魔力を持つ人間の命が必要で…」
「ちょっと!ちょっと待って!!大きな魔力を持った人間って…、まさか…。魔族の命を奪って…?!」
ヒナルはびっくりして驚く…。
「そうなのじゃ…。だから神々は自分達の遊びの為だけにはるか昔…、ヒューマン族に嘘を吹込んで魔族を迫害をしたのじゃ…」
そういう事だったのか…。昔の神々はなんてバカなんだろうか…。じゃあスルトが重要な人物として監禁された理由とは?俺はふと連想して思い付いた。
「じゃあ、スルトが捕まって監禁された理由とはまさか…?」
「それは分からないのじゃ…。まぁ、ホムンクルスを作られたのは遥か昔だからの…、たださっき話した黒ずくめの女が何者かで分かるはずなのじゃ!」
ヒナルは俺の顔を見てきて…。
「じゃあ尚更私達が側にいないと…また…。お兄さん…?私達と一緒にいた方がいいんじゃないかな?」
「そうだな。こんなか弱い女の子を預けてさようなら…っていかないしな…。落ち着いたらその首輪をどうやって外すか探してもいいし。ついでにヒナルも元の世界に送らないと…」
「なんと!!ヒナルは異世界から転移してきたのか!」
あっ!しまった!!俺はうっかりと喋ってしまった…。
「スルト…、この事は黙っていてほしい…。」
「いや、気にしないで大丈夫なのじゃ!我は広めるつもりもないしの!他言無用じゃ!!」
スルトは「のじゃのじゃ!」と連呼しながら指でピースサインを作りながらにニコニコする。ふとヒナルの方を見ると少し顔が落ち込んでいるようにも見えた…。ヒナルと目が合うと…。
「お兄さん…」
「ん?どうしたんだ?」
「もし…、もし私が元の世界に帰りたくない!言ったらどう…しますか?」
ヒナルは俯きながら下を見る…。とてもその表情が寂しそうに見えた。だから俺はこう答える。
「ヒナルがここにいたい言うなら、それはそれでいいし…。なんつーんかな…?俺がヒナルとこうして一緒にいればいいだろ?でも帰りたくなったら引き留めはしない。ヒナル自身が考えて行動したらいいよ?」
「お兄さん…」
「だから一緒にいる間は守ってあげる。何があっても!」
ヒナルと暫くいて何故か情が沸いてしまっている。今が凄く楽しい…。この子が来てから俺は何もかもが変わった…。だから、居なくなるのは寂しい…。思った…。
「おっ!!足音と声が聞こえてきたのじゃ!!助けが来たのじゃな!」
村の兵隊達が来て、捕まっていた村人の安全確認をしてから皆で戻る事になった。村人や捕まっていた人達からもありがとうとたくさんお礼を言われたり、村に報告しにいった二人も操られていたと説明をして、かなり忙しい1日だった…。というかもう朝日が昇っているし…。
宿に戻るなり、女将さんにも「英雄!」「凄い人が泊まった!この日は記念日にする!」等という扱いだった。俺達はジェイさんやルシルさんとも合流してそれぞれ各部屋に戻る。
今日は本当に疲れた…。最後は英雄扱い…。たまたまなんだよー!たまたま!
ふぅ…、あまり目立ちたくないんだけどね…。とりあえず…今日はまじ疲れた寝よう…。
………。
……。
…。
ぴーぴー… と小鳥の鳴く囀りが聞こえてきて、朝日の眩しさが目を閉じていてもしっかりと感じとれる。あぁ…朝なんだな…。昼でも夜でもない…。うん。朝だ…。それははっきりと分かる。もう少し寝てたい…が…。
(んぁ…、なんだこれ…)
下半身がやけに熱く早朝からロケット発射準備が完了している。それと何かがもごもご動いて…。やけに当たるんだよ…。下半身に…。
(なんだこれ…、やわらけぇ…)
もちもちした食感が指先から感じとれる。ちょっと固めのマシュマロだ…。
(感触が気持ちくて触り心地がね…)
次第に俺は夢の中から生還していく…。しかし、この感触は夢じゃない…!
「はっ!?」
俺は慌てて毛布を剥ぎ取る。見て…、冷や汗をかいた…
「はぁぁああああああっ!!」




