22 ルイス VS 盗賊
「ジェイさん。俺達も戦わせてください。さっきの話聞いた以上…、後には引けません!」
「だよだよ~っ!ジェイさんにゃー奥さんや可愛い二人の娘さんが待っているんだよね~っ?」
「私も、足手まといかもしれませんが… やってみます!そしてあいつらの呪縛から逃げずに自分で勝ってケジメつけたいです!」
ジェイさんはきょとんとした表情で俺達の顔を見るや、眼を瞑りながら下を見て…。
「ルイス君達…」
「それに確信はないですが…、ジェイさんのスキルを一時的に解放できるかもしれません!あくまでも可能性の話になりますが…」
そう…、ヒナルから一定時間授かる力…。俺は勿論、俺がヒナルと触れ力を与えて貰っている時間の間、オーガ戦でのコタースも普通にスキルを使えるようになっている。確信はないが…。
「やるだけやってみます!」
「ルイスどの…、それに皆も…」
ジェイさんは拳をぎゅっと力強く握りしめ…。
「かたじけないでござる…。もし…、危なくなったら逃げる事でござる!」
「任せてください!」
俺がそう言った後に、ジェイさんは両手を胸に持っていき…。
「拙者の忍法の一つ!とくと御覧あれ!!」
左手で握りこぶしをつくり、右手を握りこぶしの上に置き…、人差し指を上にして立てる…。
「忍法……! 煙玉!!」
すると…指先からもくもくと白い煙が出てきて辺りを覆った…。でも何故か、俺達や敵の位置が把握できる…。
「で、できたで…ござる!!ははは!!! 今の拙者は無敵でござるよ!」
白い煙の向こうからどんどん近づいてくる二人…。
「なぁんだ~?まさかこれって!?アレか!?」
「そうですわね~。遁術…。まさに忍法!!生き残りの忍でもいるのでしょうかねぇ~」
やはり、敵さんも元忍…。分かっているか…。その時…、他の盗賊もぞろぞろと奥から集まってくる…。
「な、なんだこれ!?火事か?!」
「ヒナル達が見えない!!どこにいやがる!!」
ヒナルを襲った連中3人も集まってくるのが見える…。相手には俺達の位置が把握できていないのか…?
その奥の方からまた一人…、普通の成人男性よりも一回り大きな男の姿が見えてきた。
「なぁーンだぁ~?この煙はよぉ~!?」
「ブッチャー様!奇襲攻撃かもしれません!」
「ン~なのみりゃーわかるだろ~!ばかかオメェはよぉ~っ!!」
ブッチャーと呼ばれた大男は腹いせに盗賊の一人の顔面をストレートに殴り付ける。
「ぶはっ!!」
盗賊の一人が吹き飛び…、大きな鈍い音とともに壁に打ち付けられた。盗賊の一人は倒れこみ痙攣を起こしている。
「いちいち、ンな報告はいらねぇンだよ…。おい!抜忍ども!位置はわかンだろうな?!」
「はっ!」
「おい!! "アレ"は大丈夫だろーな?!"アレ"がいなくなったら俺達はやべぇ! "あのお方"になにされるかわかンねぇからな!」
「は、はい!奥の牢屋にぶちこんでますし、相変わらずああだし!封の首輪もつけてあります!」
「ンなら、いい!」
大男の前から段々と二人の抜忍が近づいてくる…。さて、こちらも行動開始だ!!
「拙者にあの二人を任せて貰えないでござるか?あやつらは拙者の敵…。どうかやらせてもらえないでござるか?」
「わかりました!俺は、あの大男を叩く…。ヒナルとコタースは後ろから支援を頼む!」
「わかったよ~っ!魔法付与も十分だよ~っ!」
コタースの弓が緑色に輝いている…。
「私もまたスキルが使えるなら…、皆さんのケガの回復します!!」
「ルイスどの…。あやつらは拙者のスキルが使えるようになったのは知らないはず…。なので接近戦で攻めるでござる!忍術は切り札にしておきたいでござる!」
「了解!」
………。
……。
…。
-ルイス視点-
俺は自分自身に肉体強化をかけて高く飛び上がり高速でブッチャーの目の前へと駆け付ける。
「…ンなっ!?なンだおめぇは!?いつの間に!?」
俺は直ぐ様、ブッチャーの懐に潜り込み脇腹にミスリルソードで斬りつける…。
「ヒナルを連れ去った罰だっ!」
ブッチャーの脇腹に刺さった剣を抜き、直ぐ様右腕を斬り落とす。
「きっ、キサマァァァっ!!!」
右腕を切り落として、ミスリルソードをブッチャーの額に近づける。
(ここでセイントバーストを放ちたいが…、洞窟が崩れてしまうか…)
そのまま、ミスリルソードを額に突き刺す…。
「ぐぎっ、ぎぎぎっ…、ギザマ"ァ"ァ"ァ"!!」
「な、なに!?」
奴の額に突き刺した筈が、まだ生きている…。
「ぎぎぎっ…、っハァ…ハァ…ハァ…ハァ…、ッハッハッハッハ! "あのお方"の力はスンゲぇなぁ~!マジ死ななかったぜ!!残念だったな!!」
ブッチャーはそう叫ぶとぐちゃぐちゃな"右腕"を大きく振りかざし殴り付けてきた。
「ぐっ!!ッハっ!!」
俺は、殴られた拍子に剣と一緒にふき飛んでしまった。飛んで直ぐに地面に叩きつけられ何度か地面を勢いよく転がる…。まだ身体強化を付与しているお陰もありダメージは比較的に少ないが身体強化をしていなければ死んでたかもしれない…。ただそれだけではなかった…。ブッチャーを改めて見るや…、ブッチャーの斬り落としたはずの右腕が再生していた。
「んなっ!?」
「オメェらは、ここで大人しく死にやがれ!女どもは俺が楽しませて貰ってから奴隷として売ってやンからよぉ~っ!」
「やらせるかっ!!」
しかし、防御が間に合わない…。剣がない…。またブッチャーの攻撃が始まる…。右腕が変化して鋭く尖った大きな針のような形に変わる。
「あのお方の力はすンげぇぞ? すぐに楽にしてやる!安心して死ねや!」
ブッチャーは俺の頭を目掛けて突き刺そうとしてくるやいなや…。一人の少女の声が聞こえた…。
「セイクリッドシールドっ!!」
ヒナルの声だ!俺の目の前に青色のオーラの壁が輝きだす。一瞬の出来事だった。同時にオーラの壁に当たったと同時にブッチャーの手が止まり…。ブッチャーは青く光だし大きく吹き飛ぶ。
「ぐぎゃあああああっ!!くそがぁぁぁっ!」
ブッチャーは壁にぶつかり横たわる。ダメージは大きいみたいだ。
「ヒナルありがとう!!」
「お兄さん!!良かったァ…!!頭に術式イメージが浮かんで… 間に合った…」
(もしかしたら…!これならいけるかも)
「…っハァ…ハァ…ハァ… あのお方から貰った力なのによっ…!」
俺は、身体強化を再び付与してミスリルソードをすぐに拾い手に取り、大きくジャンプをして吹き飛んで横たわっている瀕死のブッチャーにまたがり、腹に剣を突き刺す…。
グシャッッ!!!
「ぎゃっ!! っツ… あのお方が…っ あのお方ががががっ!! おめぇえらをよ~っ… ぶちのめしてくれるにちがいなぁぁぁぁいいいい!!」
「うるせぇ! ヒナルを傷つけようとした報いだっ!!これならどうよ!!」
ブッチャーの腹に突き刺した剣先に魔力を込める…。これもイメージだ。そして…
「爆ぜろっ!!!セイントバーストっ!!!!」
ブッチャーの体内が光だし…。小爆発を起こす…。それと同時にブッチャーの肉体飛び散る前に体が白くなり…徐々に灰となり消えた…。




