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3コール
夜九時。
ラノベを、読んでいたはずなのに、ページが頭に入ってこない。
突然のバイブレーターにびっくりしてスマホを確認する。
通話ボタンを押す。
「もしもし」
「もしもし、暇?」
「ラノベ読んでた」
「暇だねーじゃあ」
「うん。まあ」
「ラノベ読んでたって何読んでたの?」
「あなたが好きな人は目の前に、ってやつ」
「なにそれ、私、私なの?」
「違う。違う。楓じゃないし」
「ははははっ。ウケるんだけど」
「ウケるなし」
「じゃあさ、私のこと好き?」
ドクン。心臓の鼓動が少しだけ早くなる。
「えーっとその、なんていうか」
「うっそーん。冗談でしたー」
「なんやねん」
「急に大阪!」
「冗談かよ」
「冗談じゃなかったらどうする?」
「おまえ、何言ってんだ。そろそろ寝ろ」
「はいはい、おやすみ」
「おやすみ」
少しだけ、耳に残った。
「好き」という言葉だけで。




