第38話 負けず嫌いのフェナリ
豪雨が降り注ぎ、一滴一滴が肌に当たるたびに生気が沁み込むようだった。
ボールと俺は雷雲の渦巻く高空から雨に乗って真っ逆さまに降下し、雨に打たれて不安げに見えるあの火の龍首を目指した。
火龍は首を高く掲げ、すべてを蒸発させるかのような暗紅の喉が再び輝き、怒りの龍火を俺たちに向けて噴き出した。
だが今回は空気が水分で満ちている。
炎が吐き出された瞬間、その外層は密集した雨幕に三分ほど削がれた。
「ジャイアント・ウォーター・キャノン!」
考える間もなく、両手を振るうと周囲の大気中の雨水が渦を巻いて掌に集まってきた。
俺はその千斤の重さにも等しい水球を下方へ叩きつけた。
砰! 水と火が衝突して濃い白煙が立ち上るが、水球は消えず、むしろ龍焔を押し戻した。
「もう一発だ!」
胸の陰りが一掃される。雨が降っている。水は無尽蔵にあり、魔力も惜しみなく使える!
「ウォーターキャノン――連射!」
俺はボールを指揮し、低空を往復する爆撃機のように、冷気と熱気が交互に生む強烈な上昇気流に乗って、豪雨の中を旋回した。
水弾を次々と凝縮し、火龍の頭部へ一発また一発と叩き込む。
現実世界では水が即座に炎を消すわけではないが、この大量の水分は火龍の体温と火力を著しく抑え込んだ。
そして何より、高速で噴射される水弾は破壊的な運動エネルギーを秘めている。
水砲の連打で火龍の巨体は震え、まるで連打を受けるボクサーのように頭が左右に揺れた。
ついに連続する衝撃の末、火龍は低い悲鳴を上げ、巨大な瞼が重く垂れ、完全に意識を失った。
「ボール、近づけ!」
俺はボールに命じ、火龍の頭上を滑空して接近した。
接近の瞬間、俺は手を離して半空から飛び降り、濡れて滑る鱗の上を素早く転がって、車輪のように巨大な眼のそばに飛びついた。
「とどめだ!」
俺は叫んで――「ウォーターカッター!」
全身の魔力を指先に凝縮し、近距離から高圧の水刃を火龍の脆い眼球へ突き刺した。
同時に指を虚空で一回転させると、あの切り裂く水刃は火龍の頭蓋内部を暴れ回り、内側から一周して抉り取った。
轟然たる衝撃とともに、第三の龍首は紅い光を撒き散らして崩れ落ちた。
俺は龍首の残骸から着地し、勢いを利用して転がり衝撃を受け流し、雨で濡れた砂地の上に立ち、ちょうどフェナリの目前に立ちはだかった。
泥水で白袍が汚れたその男を見下ろし、俺は荒い息を吐きながら笑みを浮かべた。
「残りは二つだ!」
フェナリは俺を見返した。
かつて優雅と神性に満ちていたその端正な顔には、今やただ一つの文字が刻まれていた――恐怖。
「くそっ!くそっ!くそっ!
くそっ!くそっ!くそっ!……」
彼はまるで発狂したかのように、歪んだ罵詈を歯の隙間から吐き出した。
かつての風雅で高慢な姿は消え失せ、代わりに徹底的に崩れた醜さだけが残っている。
そのとき、雷雲渦巻く天が突然静まり返った。
『フェナリ……我が忠実なる信徒よ。』
轟く雷鳴と雨音の合間に、女の声が聞こえた。巨大で深く、ぞっとするほどの忍耐を含んだ声だ。
俺は驚いて空を見上げると、厚い雲を突き抜けるように青、黄、赤、白、紫の五色の奇異な光が差し込んでいた。
光の向こう側から、天啓のような荘厳で神々しい声がゆっくりと降りてきた。
『我が力はまだ完全ではない。七つの聖壇の封印をすべて解き放てば、我らは再びすべての命を我が懐へ還そう。』
「いやだ!母よ!」フェナリは空へ向かって嗚咽のように叫んだ。声はかすれている。
「この者が雷雲を招いたのです。あなたの第四の首は、まさにこの場に相応しい。力を与えてください、我らは彼を打ち倒せます!」
と彼は懇願するように続けた。
天の声は一瞬沈黙し、やがて揺るぎない威厳を帯びて言った。
『退け。存在すべきでない風が吹き始めた。マルドゥクが来る。
今は復讐の力を持たぬ。もし執拗に戦いを続けるなら、我は力を引き上げよう。』
フェナリはまるで全身の力を抜かれたかのようにぐったりとした。
彼は振り向き、血走った目で俺を睨みつけた――まるで生きたまま喰らい尽くしたいかのような憎悪に満ちた視線だ。
「ちっ!今回は勝利をお前に譲ろう!」
彼は歯ぎしりしながら言った。
「だが、私は戻ってくる。覚えていろ!」
俺は一歩踏み出して彼を止めようとしたが、五色の神光が天から降り注ぎ、まるで光のエレベーターのようにフェナリを高空へと引き上げていくのをただ見送るしかなかった。
光が過ぎ去ると、密集していた雨雲は急速に消え去り、雨は次第に止んだ。砂漠に冷たい風が戻ってくる。
空っぽになった砂地を見下ろしても、
勝利の狂喜は湧かなかった。
俺はよく分かっている――
今回の勝利は終わりではないと。
マルドゥク、七つの聖壇、そしてまだ姿を現していない二つの龍首……あの男は、より恐るべき力を携えて必ず戻ってくるだろう。




