二章 2話 学生達の戦闘訓練
俺たちの初任務は5月26日になった。任務の内容は人獣の捜索、そして遭遇次第討伐となるらしい。
しかし、この学生部隊はまともな戦闘訓練をしたことがなかった。というか、今まで戦闘訓練を避けていたらしい。
ということで勉強も教えつつ、戦闘訓練もすることになった。ちなみに俺は大学を休みまくっている。
勉強は俺と副隊長が、戦闘訓練は全て俺が・・・って俺の負担が多くないか?
「はい。ということで今日のお勉強はここまで。20分後にトレーニングルームで戦闘訓練を始めますよー」
20分後、トレーニングルームに全員集まった。
「全員いるかー?戦闘訓練始めるぞー」
「隊長、私も戦闘訓練するんですか?」
「副隊長、君は俺と戦って1分持つかね?」
「いやー流石に私も副隊長ですよ?それに私たち身体能力や筋力は人獣と同じ・・・いやそれ以上かもしれないんですよ?」
「うーんなら、君たち8人がかりでかかってきなさい」
「隊長!?」
「俺たち、運動能力はかなり高いんすよ?」
「隊長ウチらより背低いんだから無理しないほうがいいんじゃないのー?」
「痛くても知らないっすよ?」
「いいから来なさい。1分で泣かせてやるよ」
戦闘訓練が始まった。まずは副隊長が仕掛ける。勢いをつけて大振りの右ストレートを放つ。
しかしそんな攻撃、空手黒帯の人間には全く通じる攻撃ではなかった。
とりあえず分からせるために、回し受けと同時に右腕をへし折った。
「ぅぅぅぅぅ・・・」
「はい次。」
「次は俺っすよ!!」
中川陸・・・こいつはどんな運動もできるらしい(本人談)。それに足の速さを自慢してくるのに腹が立ったし、高身長もイラッとしたから俺の十八番の下段回し蹴りで左足をへし折ってやった。
「痛ってぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
次向かってきたのは大山由貴・・・こいつも大振りの右ストレートか。とりあえず、実力差を分からせるためになんとなくこんな感じかなってノリで背負い投げをしてやった。
「ぅぅぅウチ女の子なのに・・・」
次は田村海斗。こっちは勇気を出しての前蹴りか。ま、足を引っ掛けて転ばすんだが。(メガネくいくい)
「この人おかしいって」
次向かってきたのは多田みのり。まぁ中学生で可哀想だから腕を掴んでしっぺくらいで許してやった。
「うぅぅ痛いよぉぉぉ」
次は天之川蛍・・・こっちは戦闘能力が多少ありそうな感じがした。のでまずは棒立ちで様子見をしてみた。
案の定、罠だと気付いたのか距離をとってきた。
「隊長さん、それ罠ですよね。私多少武術の心得があるので、そう簡単には行きませんよ。」
なるほど。どの武術を習っていたのか知らないが、とりあえずこの肉体になって新たに得た技を試してみることにした。ここは部屋の中で一つは使えなかったから、もう一つの技を使うことにしてやった。それは思いっきり空気を殴り風圧を飛ばすという技だ。この肉体と筋力を得たからできた技。案の定、これは交わすことができず吹っ飛んでいった。
「な、なんですかその技・・・」
「さぁて次はどっちが来る?」
「じゃあ僕が行きますよ」
夕闇朧・・・コイツも戦闘能力がありそうだな・・・
朧はジャブの連打か・・・なのでとりあえず全部受けてやって動きが止まったところにジャブの連打を繰り出してやった。
「ぐ、グエェぇぇぇ・・・」
「最後だぜ?長戸悠君?」
「た、隊長強いっすね・・・でも、俺も空手やってたんですよ」
なるほど・・・悠がこの8人の中で強いと感じたのはそれが影響だったのか。
「君は直接戦うとしようか。」
「行きますよ!!」
悠との殴り合いが始まった。正直悠の戦闘センスは俺以上だ。ジャブから正拳、蹴り、捌き、全て完璧とも言える。
なので、そろそろ俺が隊長になった所以を見せつけるとするか。
俺がなぜ選ばれたのか。それは、怒りの力だ。そもそもを思い出して欲しい。
人獣の強さ。それは俺たち災害に遭わなかった人類への怒りや憎悪、嫉妬などが、薬で強化された肉体や筋力にさらなる力を与えているのだ。そして、俺の性格は異常なまでの短気な性格なのだ。すぐにブチギレる性格。これが相性が良かったのだ。
「見せてやるか。俺の力の真髄の一部を」
体温が上昇していく。怒りの力で分かったこの肉体の使い方。この肉体は、自分の感情によって力の出力が変わる。
力を上げるごとに体の水分が蒸発していく。手足が怒りの力によって赤くなっていく。
俺はこの状態を『激怒暴走状態』と呼んでいる。
人獣なら『憎悪暴走状態』とでも言うべきか。
「た、たいちょ、う?」
「さぁ戦いの続きだ。君が相手にしてるのは、上層部が抑えることを諦めた人間兵器だぜ?」
「う、うおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」
向かってくる悠を殴り飛ばす。その後、激怒暴走状態が解除されていく。
まぁ実際には、怒ってるわけではないのだが2週間の訓練時期に発現してから使えるようになった能力だ。
「た、隊長、なんなんすかその力・・・」
「その力、どうやって使うんですか?」
結局、初任務までにこの力の解放をした隊員はいなかった。おそらくこの力、激怒暴走状態を発現するのには何かトリガーがあるのだろう。
そして、この数日で隊員たちはかなり強化された。おそらく、かなり戦闘できるくらいにはなったんじゃないか?
5月26日、任務地が決まった。場所は広島の厳島。どうやらここも人獣の被害が出たようだ。相手の数は3体。
ここまで分かってるなら他の隊に任せたらいいと思うのだが、何か事情があるのだろう。
「えーてことでまず任務地は広島の厳島です。そして、敵の数は3体です。頑張っていきましょう。」
「隊長、移動は車ですか?」
「いや、俺たち第七部隊は電車で行けとのことだわ。」
こうして俺たちの初任務が始まった。しかしこの任務で俺たちは人獣の目的を知ることになる。
そして・・・
知ってはいけない事実を知ってしまう。




