一章 1話 沖縄へ
こうして俺は、第六部隊に所属することとなった。
基本的に俺達は大阪よりに西側に存在する人獣の討伐及び駆逐が任務の主な目的である。
しかし、5月までは大阪より西側での人獣発生報告は無く、ただの組織の穀潰し的な存在になっていた。
その間、人獣の発生からこの組織が完成する経緯などを聞いた。
人獣が初めて確認されたのは1月の3日以降らしい。そこから東京を除いた関東圏を中心にSNSで化け物みたいな人間の情報が出回った。しかし、その化け物みたいな人間は会話能力がなく、人間を積極的に悪意をもって攻撃することがどんどん確認されていった。
1月の10日にはこれに対抗する組織を作られた。
また、人獣発生以外にも問題が発生した。
1つ目は、首都機能の問題である。東京が無くなった今、首都機能をどこの都道府県が果たすのか、SNSで話題となっていた。1月24日、残った議員や民衆の意見などから大阪が新たに首都になることとなった。昔、大阪であった都構想。これが2050年に達成された。また、この日に大阪を本拠地として、ABHOが作られた。
2つ目の問題として、外国との関係性である。
まず、前提として自衛隊は、東京災害に対応するため、ほぼ全ての自衛隊員が投入されたが、全滅した。
そこから、米軍の撤退とアメリカが本格的に日本を植民地にしようとする動き、ロシアの南下、中国軍の領海侵入からの上陸が発生。しかし、人獣に為す術なく撤退。
日本は国際的に独立してしまう事となった。
そして3つ目。東京陥落からの崩落。
東京は現在、地盤が崩落し地下深くへと沈んでしまっていた。これが自衛隊が全滅した原因の一つでもあった。
これが日本の現状となっている。
「そういえば、今日から活動が始まると聞いたけど俺はどこへ行けばいいんだ?」
「波瑠斗君!こっちだよ!」
「あっ、了解です!」
案内された部屋に入る。そこには既に4人椅子に座っていた。もしかして、第六部隊の人間は6人しかいないのか?
「おっ、全員集まったな。」
「隊長、まずは新人の彼と交流するのが先なのでは?」
「そうだな。てことで、改めて第六部隊へようこそ!
俺は第六部隊隊長の張間墨だ。よろしくな。そーだな…趣味は酒だ!」
気のいい感じのお兄さんって感じな人だな。年は26位かな?でもこの人も戦えば強いのか…
「次は私、霧ヶ崎優奈!君を助けた金髪のおねーさんだよ〜!趣味かぁ…うーんお菓子作りかな?」
俺を助けてくれた金髪のお姉さん。年は兄貴と一緒と言ってたな…この人も強いのか?
「次は俺だ。俺は後藤大輝。趣味は鍛えることだ。よろしくな。」
この人は見た感じ体格がゴツく身長も180くらいあるぞ…性格も頑固そうだな…
「はいはい大輝の趣味は猫カフェだろ?てことで俺は山田太郎だぜ。趣味は機械イジリさ。」
この人はオタクそうで俺と話が合うかも…
「…私一条愛よ。趣味は…寝ることよ。よろしく。」
この人はダウナー系お姉さんだな。この人も戦うのだろうか?、
てか、次は俺か…
「お、俺は紺青波瑠斗です!え、えと年は19で趣味はアニメとゲームです!」
「おっ、よろしくな!と、ここから色んなお喋りをしたいんだが、今回はそうじゃない。遂に俺たち第六部隊が動く時が来たのだ。」
空気が一変する。先程までヘラヘラしていた張間隊長の顔が険しくなる。
「今回俺たちが向かうは沖縄だ。」
衝撃的な場所だった。俺には縁のない地域だったし、そもそも人獣がそんな場所に移動していたことに驚いた。
「隊長、俺たちが向かうのは沖縄なんすか?」
「ああ。太郎、今から車の準備をしてくれ。」
ん?なぜ車?
「大丈夫なんすか?許可降りなかったのでしょう?」
「構わんさ、俺は酒が飲みたい。」
「あー隊長?私的には新幹線予約すればいいと思うんですけど…」
「いや、金が…」
「隊長、車なんすけど今全部使用中らしいっすわ」
「…マジ?」
「…隊長、今上からメールが来たわよ。」
「愛、読んでくれ。」
「君たちの移動に金を出せなくなった。徒歩で沖縄まで行ってくれたまえ。だって」
「アホかぁぁぁぁぁ!!!」
隊長の怒号と台パンが部屋の中で木霊する。
「あ、隊長!これから私たちはお散歩しながら沖縄に行くんですよね?」
「ははは俺たちの副隊長はすごい呑気なお嬢さんだぜ。」
俺は気づいた。この隊長が酒を飲む理由。上層部のパワハラと個性的な部下達をまとめるのにストレスが溜まるのだ。
「…あ、それからもうひとつあるわ。」
「今度はどんなパワハラなんだ…」
「ちなみにかなりの被害が出ているゆえ、走って行くように。だって…」
「俺たちが薬で強化された人間なのいいことに!給料100万出す事を免罪符に!俺たちを潰そうとしている!」
こうして俺たちは走って沖縄まで行くことになった。
「お前たち、俺たちは人獣と戦えるくらい強化された人間だ!とは言え、人間は人間だ!辛くなったらお散歩していくぞ!!」
結局みんな初めての任務ということもあり兵庫まで走った段階で、精神的に辛くなり徒歩でお散歩気分で沖縄まで行くことにした。
牛歩部隊と卑下されるようになるのはもっと後の話である。




