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東京陥落  作者: シロップ漬け
序章 災害の始まり編

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序章 3話 未来の選択

郷道さんの話を聞いた俺たちは戸惑っていた。これから先のこと。兄貴は大学のこと。俺は・・・バイト先になんて説明するか・・・

話の内容としてはこうだった。

まず俺たちを治療した薬は3年前、鈴木原博士が作ったものを改良したものでそれを服薬したことによる肉体の進化。ただし、このことは公になっておらず、俺たちの身柄はABHOに軟禁されるというもの。期間はこの問題が解決・・・つまり人獣の完全な排除後ということ。

そして、ABHOの戦闘部隊に所属させられるというもの。これは薬の影響もあるだろうが、俺と兄貴がかつて空手、俺が剣道もしていたことから、人の形をした生物との戦いを熟知しているからというのが理由となっていた。

あと1時間で返答を聞くとのことだった。俺たちが戦闘部隊に入隊することを約束すれば、身柄の拘束は解除される。断ればこの施設で一生軟禁される。19歳と21歳の人間にとって一生同じ場所で軟禁されるというものは地獄より地獄なのは明らかだった。


「なぁ兄貴・・・俺たちこれからどうしよう・・・」


「父ちゃんも母ちゃんもかなり心配してるよなーこれ」


「流石に1ヶ月も行方不明になり、最後に見掛けられたのが人獣被害を受けたバーガー店なんて・・・」


その後沈黙が続いた。俺たちには俺たちの生活がある。それを他人の都合によって簡単に変えられかけているという現状。


「交渉・・・してみるか?」


「確かに俺より兄貴の方が説得とか向いてるかもしれないけどさ、帰す気ないと思うぞ俺は。それに俺は働けたらどこでもいいかなって・・・」


その時ドアがノックされる。

兄貴は任せろと親指を立てる。


「そろそろ決断できたかね?こちらとしては君たちの意見がまず聞きたい。」


「えっと、郷道さんでしたよね?俺は紺青晴璃、兄の方です。」


「どうしたのかね?」


「お願いがあります。」


「我々ができる範囲なら聞こう」


「まず俺たちがABHOに入隊するのは構いません。ただ、ケジメは付けさせていただきたい。」


「ほう・・・ケジメ・・・」


「まず俺たちの現状として1ヶ月の間、両親と会話できていない状況が続いています。なので、まずは両親と会話させて欲しいのが1つ目です。」


「確かにそれはそうだな。と思って、数日前から君たちの両親はこちらの施設にお招きしているのだよ」


予想外の返答に俺はびっくりした。


「2つ目としては、我々の賃金についてです。」


「それは確実に出すさ。君たちには月100万円は出すと約束しよう。我々の都合で戦ってもらうのだから当たり前だろう?」


なんとなく不安の種が少し減った気がした。俺は専門学校を途中で辞めて近所のコンビニでバイトするだけの生活だったから、新しい人生が歩めそうで期待すら覚えた。


「ああ言い忘れてた。一応君たちのバイト先にはご両親が電話でもう働きに行けないという話はつけてくれたみたいだよ。」


ありがとう父ちゃん、母ちゃん。俺たちはこれから月収100万プレイヤーだよ。


「ありがとうございます。図々しいようですが俺のお話をさせていただいても?」


「もちろんだとも」


「俺の大学の卒業はどうなります?」


そこからは1時間ほど話が続いた。

結局、兄貴は大学に通いながら、戦闘部隊として働くことで決着した。その上、奨学金の全面負担の約束も取り付けたようだった。


「これで君たちは我々ABHOの戦闘部隊員として働くことが決まった。この機関は今年の2月に結成されたばっかりだが、君たちの入隊を歓迎する。」


そこから俺たちは両親と再会し、いろんな話をした。最初は、戦闘部隊で働くことを反対していたものの、最後は応援してくれるようになった。

そして、俺たちは戦闘訓練を積んだ。相手は俺たちに話をしにきた胡散臭いオジサンだった。

どうやら鬼灯さんはもともと自衛隊のレンジャー部隊出身だったらしいのだが、鈴木原博士の薬が自衛隊に配布される前に、自衛隊を抜けたとのことだった。

そして戦闘訓練はかなりハードなものだった。ずっと鬼灯さんにボコられ続けた。兄貴も俺もひたすらボコられた。

技の教え方はかなり上手だし、俺たちも成長を感じていた。だけどボコられた。かなりボコられた。

2週間だけだったもののかなり俺たちは強くなったと感じた。なぜか?鬼灯さんが戦闘部隊で最強の戦闘員らしく、誰も勝てないとのことだった。10人で挑んで10人全員ボコられるのが当たり前らしい。

そんな彼を追い詰めたというより、そんな彼に唯一本気にさせたのが俺たち兄弟だったらしい。だから戦闘訓練は2週間で終わることとなった。そして、俺たちはこの機関の現状を知ることになった。


まず戦闘部隊は現在6つらしい。第一部隊は最初に作られた最強の部隊であり、『佐竹秋次郎』という隊長が率いて

るらしい。第二部隊はあのオジサンが率いてる部隊で主にこの本拠地防衛が主な仕事らしい。第三部隊は『黒渕紗英』が率いてる救助活動がメインの部隊とのことだ。第四部隊は『藤原隼人』が率いる遊撃部隊で現在は中部地方に向かっているらしい。第五部隊は『霧ヶ崎桜』という体調が率いていて、主に武器での戦闘がメインの部隊らしい。

そして俺入隊する予定の第六部隊は『張間墨』が率いる部隊で主に本拠地の大阪より西側の人獣の制圧が主な仕事らしい。


「そーいえば俺は決まったけど兄貴はどこの隊に所属になるんだ?」


「うーん何も聞かされていないからなぁ・・・」


その時だった。


『紺青晴璃さん。紺青晴璃さん。至急、会議室までお越しくださいませ。』


「兄貴呼ばれてるぞ」


「俺って何かしたのか?」


なんて呟きながら兄貴は会議室へと向かっていった。

暇だったので食堂を散策していたら、初めて人獣に襲われた時、自分を助けてくれたであろう長い金髪の女性の後ろ姿を見た。


「すみませーん!そこの金髪の人ー!」


走って追いかける。その声に気づいたのか、金髪の女性は振り向く。


「私に何かようですか?」


「あ、あのバーガー店の事故で俺を助けてくれたのって・・・」


一瞬首をかしげたものの、すぐ思い出したのか、


「あ、あの時の男の子だったの!?体はもう大丈夫なの!?」


「なんとか。あの時のお礼を言いたくて・・・」


「いいよ別に、それが私たちの仕事だし・・・」


「俺、紺青波瑠斗って言います!!」


「私は霧ヶ崎優奈、今は第六部隊の副隊長をやっています!!」


なんという偶然なのだろうか。そこからは自分が第六部隊に入隊する予定であることや、兄貴が会議室へ呼ばれた話をした。


「霧ヶ崎副隊長は何かご存知ですか?」


「優奈でいいよ。うーん私は何も伝えられてないなぁ・・・」


そんな話をしている時だった。後ろからものすごい勢いで走ってくる音が聞えた。まぁ十中八九兄貴なのだが。


「大変だ弟よ!!聞いとくれ!!」


「この人が君のお兄さん?面白い人だね。」


「なんだよ兄貴」


「なんか新しく第七部隊を作るらしくて・・・」


「ほう」


「どうやらその隊は薬を飲んだものの、戦闘部隊に今まで参加していなかった中学生や高校生の子達を戦闘できるように育成する部隊らしいんだけど・・・」


「ほう」


「俺がその隊の隊長に選ばれちゃった」


「ほう・・・は?マジ?」


「波瑠斗君のお兄さんすごいねー!」


「この女の人は?」


「俺の所属予定の隊の副隊長さんだよ」


「あ、うちの弟がお世話になります。」


「いえいえ、こちらこそ彼のような真面目でしっかりした隊員さんを迎えられて嬉しいです!!」


こうして俺たちの新たな人生が始まった。俺も兄貴もこの数ヶ月でかなり人生が変わっただろう。だけど、どんな選択をしても俺たちは人獣を討伐し、元の世界を取り戻す。その取り戻すまでの長く辛い戦いの日々が始まった。

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