三章 8話 五本指との戦い
嵐山にて・・・
「俺を封印するって?」
「ああ。お前は俺たちの計画が終わるまで、封印させてもらう。」
「んん?どうやって?」
「とりあえずまずはその四肢を落とし、再生しないように切断面をふさぐ。そして軟禁させてもらう。」
「やれるものならやってみろよオッサン」
「ま、いずれ仲間になる関係だ。自己紹介だけしておこう。俺は新庄大和。趣味は戦闘行為。嫌いな事は女がやるような事全般だ。」
(ちっコイツ180cmくらいあるうえにガタイもいいな......戦闘となると不利か…...)
「お前はどうやら空手をやっていたようだな。さすが最強格の隊長といったところか。男らしさもある。」
(こんなに男らしさを求めてくる奴に対して、最近部下の女の子たちとスイーツ食べに行くのがハマってるとか言える空気じゃねぇな......)
「紺青晴璃!貴様普段食べているものはなんだ!趣味は!最強格の男がやっている男らしさはなんだ!!」
(しかも最近部下の女の子たちに着せ替え人形にされて女装させられてるなんて言えねぇな。それにガチな話どうでもいいだろ俺の事なんて......)
「俺の事なんてどうでもいいだろ。男らしさとか、そうゆうの興味ないし俺は他人の趣味を男らしさ女らしさで決めたり判断したり、その答えによって差別したりしねぇんだわ。お前と違って。」
「ほう......そういった回答か。」
「なんだよ」
「答えを濁すのは男ではないが、その他人を見下したり差別しない考え方は男らしいな!!」
(もう不意打ちしたろ......)
晴璃は大和に縮地で近づき不意打ちの寸勁を決める。
しかし大和の反応も早く、後ろに下がられ決定打を与えられなかった。
「ちっ」
「男が不意打ちか!!」
晴璃も一歩下がりもう一度いつもの構えを取る。
「猫足立ちか......」
(奴はこの構えも知ってるのか。だとすると空手は精通してるだろうな.....これかなり不利か......)
晴璃は猫足立ちから前蹴りを出す。もちろん大和はなんなく受け止め反撃に足払いをし晴璃をこかす。
晴璃は右側に倒れるが、すぐに立ち上がり、後ろに飛ぶ。
「おいおいこんなものじゃないだろ紺青晴璃!!」
「アンタ戦闘技術俺より高いだろ。」
「おいおいもう諦めるのかい?俺もお前もまだ覚醒して戦ってないだろ。」
「俺は別にお前と戦いたくないの。めんどいし本気出さないと出し、何より人獣被害が出続けてるの!その処理俺がしないとダメなの!!」
「知らないなぁ。お前が今から俺たちの仲間になるのなら戦いは止めてもいいぜ。」
晴璃はまた構えを取る。時刻は午後6時ちょうど。渡月橋で戦いが再開する。
互いに突き、蹴り、受けの応酬が始まる。しかし体格差と技術差で徐々に晴璃が押され始める。
クリーンヒットは無いものの、大和の突きの威力を受け流すことができなくなってくる。
「そこ。」
遂に晴璃は顔面に突きをもらってしまう。打ち込まれた場所は顎。
しかし、顎への打撃は脳震盪の原因になる。そして、人獣ほど筋力が強化された状態で顎を殴られる。
どれ程の勢いで脳が揺れるのだろうか。
晴璃は思わずその場に倒れ込んでしまう。
(や、ヤバい。体が言う事を聞かない……それにコイツ俺の事をダルマにするとか言ってたぞ……早く、早く動かなければ……)
「それじゃあ四肢は落とさせてもらう。」
その場で晴璃の四肢は捥がれてしまう。意識混濁の中、叫ぼうにも叫べずそのまま気絶してしまう。
─平安神宮にて─
「おい、副隊長。そっちはどうだ?」
「こっちですか。あー逃げられたのでずっと体長の戦いみてましたよ。」
「いや、逃がすなよ。」
平安神宮での戦いは、張間墨が覚醒して終わりを告げていた。
─嵐山渡月橋にて─
「紺青晴璃、コイツがもう少し戦闘技術を高めていたら危なかったな…」
「あら、その隊長さんは返して貰うわよ。」
「貴様、最上咲奈か。ちっ、お前と殺し合うのは分が悪いな。返してやるよ。」
「ゴリラにしては頭使うじゃない。」
「貴様との実力差は理解しているつもりだ。まさか、管理者を裏切り自分より弱い男のストーカーになっているとはな。」
「人が人を好きになるのって普通でしょ?」
大和はダルマ状態の晴璃をその場に置き、撤退していった。
(この手足……無理矢理引きちぎられたのね……これは当分再生に時間がかかるかも……それに嵐山に人獣の気配が無い……彼が人獣を殲滅した後にあのゴリラに襲われたってとこかしら。それにしても、五本指は他にもいるのかしら。いたら少々厄介ね。)
─第七部隊と紺青波瑠斗チーム─
「こちらの人獣討伐は終了です。あら、電話。」
「副隊長もしかして男でもいるんですか?」
「蛍黙って。はいこちら第七部隊副隊長……え?隊長がですか!?はい。分かりました。そちらに……え?これから一緒にデート?ふざけてないで隊長を連れ帰って。逆らったらもう一度牢屋にぶち込みますからね。」
「副隊長?」
「隊長が負けたそうです。」
「そんな!!」
「とりあえず、私たちはここで待機します。最上隊員が隊長を連れて帰ってくるまでここで待機です。」
「おーい副隊長さん!俺の方は終わったぞー」
「弟さん。実は……」
「何!?兄貴が負けた!?俺様子を見てきます!」
「いえ、ウチのストーカーが連れ帰るそうです。ですので、我々は待機をします。朧、あなたは周囲の警戒を。蛍。あなたは朧のサポート。私と弟さんで嵐山方面に向かいます。」
「副隊長!待機じゃないんですか?」
「待機はあなた達だけで十分です。それに、学校が終わったあの子達が加勢してくれます。」
「副隊長さん!早く嵐山の方に行かないと!」
「ええ。行きましょうか。」
波瑠斗と美桜の二人で嵐山に向かう。
向かってる途中でとある男と合流する。
「おや、君たちは……」
「鬼灯さん!すみません今から俺達兄貴の回収に……」
「ん?それってつまり……」
「隊長が負けたんです。」
「なるほどねぇ。僕も一緒に行こう。もし彼を倒したやつと出会ったら不味いからね。」
こうして3人は嵐山に向かう。時刻は18時47分。人獣の殲滅が見え始めた時刻であった。




