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東京陥落  作者: シロップ漬け
二章 学生戦闘員編

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二章 4話 増殖

「ハァッハァッ……」


これで何体目だろうか。おそらく300体は討伐している。正直、頑丈な体とはいえ、スタミナまでバケモノになっているわけではない。いや、スタミナもバケモノ級になっているのだろうが、島の往復、長時間の戦闘で正直、疲労困憊寸前だった。それに、島の奥にいるであろう隊員達の安否が気になる。今度こそしくじってないといいが。

奥から走ってくる2人の姿が見える。海斗とみのりだった。


「隊長!!例の女やっぱり島の奥にいました!!」


「蛍ちゃんを助けて隊長!!」


おそらくこの2人を逃がすために囮になったのだろう。

元々、俺と同じで極真空手経験者だから、タフなはずだ。だが、8人の首が転がってた時のことが頭の中をフラッシュバックする。


「お前ら7人で人獣討伐続行だ!!俺は蛍の元に行く!!」


「隊長!!俺も行かせてください!!」


悠が志願する。


「なら悠だけ着いて来い!!6人で人獣討伐の続きを頼む!!あと、みのり、お前は本部に連絡して応援を寄越すように要請してくれ!」


そう言って俺と悠は島の奥に行く。


「悠、戻ってくれないか?」


「た、隊長、やっぱり俺なんかじゃ…」


「いや、もしかしたらあの女まだいるかもしれん。奴は俺に勝てないことを知っている。だから……」


「あら?今の疲労困憊の君なら勝てるかもね?」


咄嗟に悠を抱え前へ飛ぶ。


「やっぱりまだいたのか……」


「ちょっと違うわね。私は自分のクローンを3体用意してたの。」


クローンを3体用意していたと言った。と言うことは…


「私がその最上咲奈本人よ。で、厳島神社で戦ってるクローンとあともう1体このどこかに潜ませてるわ。」


「どこにいるか教えてはくれないよな…」


「あら、あなた達の背後にいるじゃない。」


「伏せろ!悠!」


悠の頭上目掛けて後ろ回し蹴りをする。直撃。


「あら、私。なんでバラしたのかしら?」


「いいじゃない。どうせあなたはこの隊長に勝てないのだから。」


「悠、クローンを頼む。俺は本体を叩く。」


「本体との見分け方ってなんスか!?」


「本体の方が若干身長が低い!!多分俺と同じコンプレックスを抱えてるんだ!!だが、こうゆうタイプは本体の方が強い!!任せたぞ!!」


「あら、隊長さんも身長で悩んでるのね。気が合いそう。」


「こんな出合い方してなかったら俺もナンパしてたかもなぁ」


「あらあら嬉しいわね」


最上咲奈本体との対決が始まる。最上咲奈は刀を抜刀する。対して俺は素手だ。なぜ素手なのか?

少しだけ回想に移ろう・・・


「いや、さすがに素手は他の隊員が・・・」


「いえ、あなたの隊が武器を所持することはあなた以外の隊長会議で認められませんでした。また、これに対する異議や反論も認められていません。ご了承ください。」


「○ねや!!クソ人事部とクソ隊長ども!!」


回想終了


「あら?隊長さんは武器持ってないのね」


「ハァ...ハァ....」

(正直まずいな・・・疲労と焦りで思考が・・・それに眼鏡をしているからと言っても・・・持病の眼精疲労もかなり来てるな・・・とりあえず神社の方に逃げて、蛍の救助が優先か・・・悠タイマンになるが勝ってくれよ・・・!)


ー同時刻フェリー乗り場ー


「あなた達!まだ動ける!?」


「ウチはまだ行けるよ!!」


「僕は余裕です!!」


「俺も行けますよ!!」


「なら1人、厳島神社の方に行って!!蛍がホントに危ないかもしれないわ!!」


「ふ、副隊長!!増援の件なんですけど・・・」


「どうなったの!?」


「それが・・・今送れる戦力は鬼灯さんだけらしいんですが・・・」


「それで!?」


「ABHO最高戦力をそんなくだらないことを投入できないとの事らしくて・・・」


「はぁ!?・・・とりあえずその事を隊長に連絡して!!」


ー1時間前厳島神社付近にてー


「隊長の移動早すぎないですかぁ?」


「僕のスタミナがないばかりに・・・」


「私がまだ14歳で子供だから・・・」


「あ、いやいや私もよく休憩取ってるのであなた達のせいじゃないですよ・・・」


「へぇ・・・でもアナタ達は彼の足枷なのよ?」


蛍たちはその声に振り替える。


「あ、あなたが私たちの首を飛ばした・・・」


「そうよ?なーんか弱そうだったからつい・・・」


「僕たちを・・・どうする気ですか・・・」


「ん?別に?ただちょっとかわいがってあげようかなって」


その瞬間最上咲奈の前蹴りが海斗に直撃する。


「海斗君!!」


「ふっ!!」


次にみのりを蹴り飛ばす。


「あら、最後はあなたなのね」


「彼らを遠くまで飛ばして・・・隊長を呼びに行くとは思わないんですか?」


「ん?私にすぐに追いつかれるのに」


「私が足止めするに決まってるでし・・・」


最上咲奈の右ストレートで神社の中まで吹き飛ばされてしまった。

私は・・・隊長に任されたのに・・・好きな人に任されたのに・・・


「なーんかあなが隊長さんを見る目、いやらしいわね。もしかしてアナタ隊長さんのこと好きなのかしら?」


「関係・・・無いでしょ・・・」


薬の影響で普通の人間なら死ぬくらいのダメージでも耐えれるうえにすぐに怪我も再生する。

でも、痛みと再生でかなりしんどいというのは感じた。疲労とでも言うのだろうか・・・


「あの2人はもういいわ。今はなんだか不愉快なアナタをただ虐めてあげるわ。」


「あら、私こう見えてもともと極真空手をやっていて、かなりタフですよ?」


なんていったもののこの女、()()()()()()でしょ。

隊長が来るまで、1人で時間稼ぎできるかしら・・・


ー表参道商店街ー


「この女、俺たちの首を撥ねたくらいはあるな・・・」


「あら?声が漏れてるわよ?悠君?」


「お前が名前で呼ぶなぁぁぁ!!」


ワンツー、ジャブ、ストレート、どれも躱される。

今になって思う。隊長と訓練した数日俺たちは強くはなったのだと。だけど、隊長は全然本気なんて出してなかったし、俺たちもそんな隊長に甘えていただけだったのだと。

そして、今戦ってる場所が商店街ということもあり、人の死体の匂いがキツイ場所の1つだった。


「き、キツイな・・・」


「あら?やっぱり本物の人間はそう思うのかしら?」


「調整されたクローンは便利でいいよなッ!!」


クローンが近づいた瞬間、目の前に転がっていた木刀を手に取り、投げる。

まっすぐ飛ばなかったものの、一瞬動きが鈍くなった。


「そこだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


渾身の右の正拳突きをクローンの心臓部に当てる。その一撃で心臓が破裂する音が聞こえた。


「これで・・・とどめだぁぁぁぁぁ!!!」


隊長がやっていた踏みつけを真似して頭を踏みつぶす。数秒後、クローンの体が蒸発していった。

しかし、この数分の戦闘でかなり骨を折ら、かなりあたまも使ったためその場で倒れこんでしまった。

人獣に囲まれながら……


─厳島神社手前─

「あら?隊長さんはどこまで逃げる気なのかしら」


「部下の安否確認じゃボケ!!」


奥から人との声が聞こえた。


「蛍!!いるなら神社から出てこい!!商店街にいる悠のバックアップに行ってくれ!!」


その時だった。神社の中から蛍が飛ばされてくる。


「隊長…すみません…かなり苦戦してて……ってこの女!!」


「お前が戦ってたのはやつのクローンだ!!今、商店街で悠も戦ってる!!俺は本体とクローン同時に叩くから、悠の手助けに行ってくれ!!」


「は、はい!」


「あら?隊長さんはその娘の為だけにここまで来たのね。」


「私たちにやられることを分かってないのかしら。」


蛍はよろめきながらも商店街の方へ向かう。

俺は俺のやるべきことをするまでだ。

そろそろ俺も本気を出すべきなのだろう。


「最上咲奈、そろそろ決着を着けようか。」


「あら?遂にその気になったのね。」


「さっきクローンを倒した時は感情任せだったが次は違うぞ?俺の意思で激怒暴走状態を使う。」


「自分の意思で?さっきクローンを殺した時もあなたの意思だったでしょう?」


「冷静では無かったさ。だが次は冷静のまま激怒できる。一応言っとくけど、手加減はもうできないぞ?」


体が熱くなる。四肢が赤黒く染まっていく。

フゥーッと吐いた息が蒸気のように熱い。

この数時間の任務の決着は目前、いや結果は必然だったのかもしれない。

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