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宰相様とティータイム 2

「…えっと、出来れば、何か私でも出来そうな仕事を紹介していただけないでしょうか?そ、それで落ち着いたらおいおい住む場所を確保して…」


確かに、私がこちらの世界に渡って来てしまったのは不可抗力です。まあ、風の精さん達の気紛れなんですが…。


でも、だからと言ってこんな立派なお屋敷で、こんなに良くしていただいて、何もせずにこのままお世話になるわけにはいきません!


そもそも渡り人の保護とは、具体的にどのようなことなのか、と言うのは今日、宮廷の法務省で手続きをする際、説明をしてもらいました。


この国では、私のような渡り人に対して生活全般を保障してくれるらしいです。戸籍が作られ、住む場所や仕事などの斡旋。必要とすれば教育も受けれます。そして、その生活がより障害なく送れるように身元保証人の提供などです。この身元保証人は慣れない生活に対しての補佐と教育係というものが含まれるらしく、これに関しては、代々ほぼ間違いなく、カッパニーニ家の方々がなられたそうなので、もちろん私の保障人はグレンリードさんにしていただくことになりました。

そして、渡り人にも義務があります。だいたいは一般の方と変わりませんが、まず、他国への出国禁止と、月に一度王宮に身元保証人と馳せ参じ、王様と謁見しなければいけません。


…この謁見も気が重いのですが、もう一つの方が何やら嫌な感じがします。


それは、有事の際の協力の義務、というものです!


有事って、一体何があるというのでしょう…。


…なんだか、怖いので、あまり考えないこととしましょう…。問題は仕事なのです!


私、野原花子、生まれてこのかた17年間、アルバイトすらしたことのない一介の女子高生だったのです!


「ふむ、仕事、ですか?」


「はい。恥ずかしながら、私、今まで働いたことがないのです。学生だったものですから…。」


恥ずかしくて、思わず言い訳じみた言い回しになってしまう。


グレースさんは優しく私の髪をすきながら、答える。


「では、私の補佐、というのはいかがでしょう?」


………。


いや、それは…。人生初のお仕事が一国の宰相様の補佐だなんて…


「む、無理ですよぉ。一国の宰相様の補佐なんて…。しかも、私、字も読めないし、書けないんでした…。」


失念していました。私、読み書き出来ないんでした。ううッ、情けないです。


「クスクスクス。大丈夫ですよ、母もそうでしたから、理解しています。母などは難しい書物なんて読む必要がないと、ある程度覚えると特に後は何もしなかったらしいですよ。だからそんなに難しく考えないで下さい。初めは私や、そうですね、王の身の回りのことなどをしてもらい、後の時間を読み書きなど、勉強の時間に費やすのはいかがですか?勿論、私も分かることはお教えしますよ。」


う~ん、悪い話しじゃない、というか、これ以上のお話しはなかなか…て、あれ?今、王のって…



「ホッホッホッ。それは良い。謁見の時の王は見物じゃったからのぉ。」


「ええ。あの様に感情を露にした王はいつぶりでしょうか。」


「イヤイヤイヤ!な、何か殺されそうになったような気がしていたのは、私だけでしょうか!?」


「ホッホッホッ。いかにも。あの時はさすがのわしも王宮くらいは丸焦げになる覚悟をしたもんじゃ。」


「ええ。私も肝が冷えましたよ。」


イヤイヤ!そんな、今日は良いお天気だすね~、そうですね~的な軽い感じはなんですか!?


「ホッホッホッ。流石はハナコ殿よ。これは是非にでもその話し進めて貰わねばな。」


「そうですね。よろしいですか、ハナコ嬢?」


ここでも拒否権なしですか!?

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