宰相様とティータイム 1
「お帰りなさい!宰相様!!そしてお邪魔しております!!」
アイリーンさんの、グレース様がお戻りです、と言う言葉を聞くや否や、パタパタと玄関までお出迎えに参じる。
「クスクス。ただいま、ハナコ嬢。どうかグレースとお呼び下さい。」
宰相様が、執事のマルセスさんに上着を手渡しながら挨拶を返してくださる。は、鼻血が出そうです!
でも、でも!呼んでみたい、その御名前!
「グレース様…?」
「どうかグレースと。」
宰相様のフェロモン攻撃に撃沈しそうなの己を奮い立たせます。
「グレース、さん。」
宰相様改め、グレースさんは、フフッと笑い、では、それで、とおっしゃる。
ファ、ファンタジー万歳!!
「37歳!?み…見えません。どこをどう見ても20代です!」
ディナーの後、グレンリードさんと、グレースさんと、私で、夢のようなティータイムをしております。
と言っても飲み物がお茶なのは私だけで、お二人はお酒ですが。こちらでは成人が15歳で、飲酒に関しては特に制限はないようですが、あちらでは私はまだ未成年なので遠慮したのです。
グレースさんは、その麗しい外見に違わず素晴らしい方で、そして気さくな方でした。ディナーもご一緒して、すっかり仲良くなりました!しかし、年齢を聞いてびっくりです。
このきめ細やかなお肌はどう考えても20代です。しかも今年12歳になる息子さんまでいらっしゃるとか。今は全寮制の学校にいるそうです。奥様は…息子さんを出産後間もなく亡くなっているそうです…。
「ふふっ。ありがとうハナコ嬢。ハナコ嬢こそ、とても可愛らしいですよ。」
「私の場合は幼く見えてしまうのがコンプレックスなんですぅ。」
思わずそう口愚痴ると、こんぷれっくす?と不思議そうなお顔をされる。そんなお顔も素敵です!
この世界で、有り難いことに言葉に不自由はないのですが、たまに、伝わらない単語があるのです。
「えっと、短所…というか、気にしている欠点と言うか…」
そう説明すると、やや驚いたお顔になり、
「短所などと。可憐で可愛らしい、と言っているのですよ?」
そう言って、大きなソファーの隣に座るグレースさんは私の頭を撫でてくれる。
ああ、何でしょう、この感じは。い、癒されます!
「ホッホッホッ。ほんに、若作りで罪作りなやつでのぉ。」
「父上、それはないのではないですか?」
「ホッホッホッ。」
何時ものように笑うグレンリードさんと、苦笑いのグレースさん。
なんか、いいなぁ、この家族な感じ。
マミーにパピー元気ですかね。やっぱり、心配してるでしょうか。
直ぐに顔に出るのは私の悪い癖です。
グレースさんが一層優しく頭を撫で、髪をすいでくれる。
「ハナコ嬢には、是非ともずっと我が家に居ていただきたい。年寄りの相手をさせることになりますが。」
囁くように、最後の方は少し冗談めかして、そう言って下さる。
「年寄り扱いは不満じゃが、ハナコ嬢がそうしてくれるのはわしにとっても望むことじゃ。」
ああ、良い人達だなぁ。でも…。




