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9ー4

 次に目が覚めたら、少しだけ動けるようになってきた。


「ミカリン。俺、やっぱりジェイクの機械人形を母上に会わせることにした」

「会わせる?」

「そう。あの時、母上だけがジェイクにわかれを告げられなかった。だから、それをさせようと思って」

「やるじゃん」


 あたしが言うと、ジョシュアはうれしそうにはにかんだ。


「これから会わせようと思うんだけど、ミカリン一緒に来れるか?」

「いいの? あたし、部外者だよ?」

「俺のフィアンセだ。部外者なんかじゃない」


 思わぬセリフに頬が熱くなる。


「では、よろこんで」


 あたしはジョシュアの手を借りてベッドを降りた。この調子だと、歩くの大変そうだけど、さっきよりずっと痛みがよくなっている。


 なるほど。それでユイニャンは身体に傷一つ残さずに帰れたわけだ。


 よちよちした足取りで、ジョシュアの部屋に向かう。そこにはすでに、ジェイク様にそっくりな機械人形が直立していた。


「ジェイクの性格はインストールしておいた。あとは、母上が来るのを待つばかり」


 すると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。


「ジョシュア様。ジュリア王妃様をお連れして参りました」

「入ってくれ」


 王妃様は、侍女さんに導かれて部屋に入って来た。


 その瞬間、ジェイク様の機械人形を見て大粒の涙をこぼす王妃様。


「この子、どうしたの?」

「俺が作った機械人形です。母上だけがわかれを告げられませんでしたから」

「そう。ありがとう」


 王妃様はそう言うと、愛しそうにジェイク様を抱きしめた。


「お母上。くすぐったいよ」

「そうね、ジェイク。でもね、今だけこうさせて」


 王妃様の涙はしばらく乾かなかった。


 そのうちに、ジェイク様が言葉をつむぐ。


「僕は、お母上に生んでもらえてうれしかった。お母上に会えてうれしかった。僕を愛してくれて、ありがとう」

「ああ、ジェイク。それはこっちのセリフよ。わたくしもあなたに会えてうれしかったわ。理由はどうあれ、あなたを生むことができてすごく光栄だった。ジェイク、これまでありがとう」

 

 王妃様はジェイク様の偽物の髪の毛を優しくなでた。


「できればおねえしゃまにも会いたいな」


 あ! シャノン様!!


 侍女はすぐに部屋を出ると、シャノン様を連れて戻ってきた。


 その頃には王妃様の涙もだいぶ乾いていた。


「ジェイクだっ!!」


 シャノン様はジェイク様を見るなりそう叫んだ。そしてまだ小さい身体でジェイク様に飛びついた。


「ジェイク、だぁ〜い好きっ」


 シャノン様まで泣かせてくれるよ。


     つづく



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