9ー2
「さぁ、どこからでもかかってきなさいよ、アイシア」
あたしはアイシアを挑発する。
あいにく、生まれつき運動神経はいい方だから、彼女の攻撃は簡単に交わせた。
小刀なんてものをまともに食らったら死ぬからね。
「えいっ!!」
今度はあたしの番だとばかりにレンチを振り落とす。その直前に水魔法で攻撃を防ぐ。レンチはアイシアをかすっただけだった。
「ふぅ。なかなか勝負がつかないものね。ねぇ、アイシア。この小瓶はね、魔力が作られなくなる薬なの。一度飲めば永遠になくなるわ。どう? おとなしく薬を飲む? それともどっちかが倒れるまで戦う?」
「戦うわ」
仕方ないなぁ。ジェインさんごいるからこその乱暴なやり方しか頭に浮かんでこないんだけど。
あたしはアイシアの攻撃を脇腹に受けた。どすっとした重さと鈍い痛みの中で、口を開けたアイシアに薬を飲ませる。
こんな荒療治、あたしじゃなきゃできないんだからね。
「ミカリン? あんたバカなの? 死ぬ気?」
「うるさい。生きるし」
言ってる側から力が抜けていく。
アイシアは小刀から手を離して後ろに下がった。
「ジェイン、治癒をっ!!」
ジョシュアがなんか叫んでる。けどまぁ、結果としちゃ上出来じゃない? これでアイシアは静かになったんだし。
「ジョシュア様、傷が深くて僕ではとても治せそうにありません。城まで持つかどうか」
「よし、ワープだ」
「ちょっと待ってよ」
アイシアさぁ、この後に及んで引き止めるかな、あんた。
「あたしはどうなるのよ。つかまえるなりなんなりしなさいよ」
「悪いがアイシアの措置は後ほど使役を使わせる。ミカリンがまともに攻撃を受けたせいで、こっちも余裕がないんだ」
そして、ワープしたけど、これが痛い身体にすんごくしんどいっ。
「リリー、早く治癒を!! 医者を用意してくれ」
ジョシュアの声が遠くに聞こえる。
大丈夫だって。
生命線はみんなが驚くほど長いし、運命線もいいらしい。そんでもって結婚線が一本しかない。これだけが心残りだわ。
でもま、そろそろ休んでも文句言われないわよね。
つづく




