8ー3
学校が終わると、門のところでロイヤルミルクティ国の馬車が止まっていた。
あたしの姿を認めるなり、馬車からジョシュアが降りてくる。
「とにかく話を。ユイニャンは悪いが一人で帰ってくれないか?」
「はい、かまいません。それじゃあ、ミカリン。またね」
「う、うん。またね」
なんとなく返事をしてユイニャンに帰ってもらうと、ジョシュアにエスコートされて馬車に乗る。
こやつめ、いつの間にエスコートすることを覚えたんだ?
「行ってくれ」
ジョシュアが言うと、御者台に座ったジェインさんが馬車を走らせる。
「突然の訪問、驚かせてすまない」
「いいけど。わざわざ学校に来なくたっていいじゃん?」
「だが、その学校を休ませることになるわけだから、事前準備が必要になる」
難しいことばを使ったって、その手に乗るもんですかっ。
「冒険の旅に出るってどういうこと? ユイニャンを誘わなかったことから、あたしにだけ関係があるってこと?」
「そうだな。ユイニャンにはあまり関わってほしくないんだ」
「そっか。じゃあ魔女絡みってことね?」
「話が早くて助かる」
ジョシュアはめずらしく笑顔を浮かべている。ジョシュアの機嫌がいいのってめずらしいから気持ち悪いんだけど。
「実は、レモンティの滝から魔力を集める魔女がいるとリンレイから聞かされてな。調べてみたらアイシアだった」
「あの人、本当に面倒くさいんだけど。滝で魔力が集まるって本当?」
「と、いうか。リンレイの魔力を引き抜かれているのに近いんだ。だから、なんとか穏便にアイシアを説得したい。多少の抵抗は想定内だが、こういうのは同性の方がいいだろう?」
たしかに。でも、あの強気なアイシアを説得できる自信はないな。
「それともう一つ頼みがあるんだ」
「あら? 今日はやけに素直じゃない?」
「そう言ってくれるな。実は、母上のことなんだ」
ジュリア王妃様には一度会ったきりだけど、元気になったのかな?
「俺にはどうしても女心がわからない。母上の誕生日が近いのだが、花以外になにをプレゼントすればいいのかわからない」
おっと。かなりストレートな問題だわね。
「そこで、ジェイクを復元することに決めたんだが、どう思う?」
そりゃ、ジョシュアはプラグ男爵とコーダー夫人を製作した天才だけど、消滅してしまったジェイク様を復元するって、そんなことできるの?
「どうやるの?」
「それがな」
ジョシュアは緊張して唇をなめた。その仕草がどこか特別に感じて、おもわず息をつめた。
つづく




