8ー1
あたし、ミカリン・アールグレイ。十五歳。水魔法を少しだけ使うことのできる魔女。
家族のごちゃっとした理由から、レモンティの森の小屋でゆったり生活している。
今はちょうど学校の新学期が始まって、親友のユイニャンとしゃべっていた。
一時は瀕死の重傷だったユイニャンだけど、ロイヤルミルクティ国の手厚い看護の結果、傷一つない身体に戻ることができた。
「それでぇ? 休みの間、彼とはどこか行ったの?」
この場合の彼はレモンティ国の第一王子エリオット様のことを指す。
だってユイニャンってば、エリオット様と恋人同士なんだもん。
うらやましいぞ、ユイニャン。
「そ、その。お城を案内してもらったよ」
「へっ。お城ってレモンティ国の? やるじゃん、エリオット様。ご両親には会えた?」
「う、うん。なんか、認めてもらえたみたい」
かぁ〜っとユイニャンの顔が真っ赤に染まる。
おいおい。新学期早々熱々ですな。
「じゃあ次はプロポーズだね」
って、あれ? からかったつもりなのに、返事がなくてもじもじしてるってことは? これはもしや?
「え? もうプロポーズしてもらっちゃったの?」
ユイニャンは頭から湯気を出して胸元にぶら下げた指輪を見せてくれた。
やること早いな、王子様。
それでもって、ユイニャンはますます綺麗になってる。
「ねぇ、ユイニャン。基礎化粧品なに使ってるの? やっぱり王室御用達のやつ?」
「そ、そんなのじゃないよ。それよりミカリンの方はどうなの? ジョシュア様と」
「ジョシュア? あれ以来会ってないけど?」
さすがに毎日の素振りはできないけど、それなりに身体を鍛えているつもり。
だってまだ、くらげ島の謎がたくさんあるんだもん。
「そうなの? あたしてっきり、ジョシュア様はミカリンだと思ってた」
「なんのことかな?」
ユイニャンなのに、あたしにケンカ売ってる?
「あのっ、なんでもない」
ユイニャンがお茶を濁している間に先生が教室に入って来た。
「起立、礼、着席」
「はいみなさん、おはようございます。お休みの間の話を聞くのは辞めにしまして、今回は特別授業を行うこととなりました」
特別授業? なにそれ?
教室がざわめいていると、先生は咳払いをした。
「実は、最近くらげ島の治安が悪いということが問題になっております。みなさんの中にも、盗賊に襲われたり、野盗に襲われたりしたことがあるかもしれません」
は〜い。まさにあたしぃ〜。
「と、言うことで。これから体育館に移動して、全生徒による防御方法と戦闘法について学ぶこととなります」
……はいぃっ?
つづく




